Duran Duran

1978年イングランドで結成された4人編成のロックバンド、デュランデュラン。雑誌やMTVなど戦略的にニューロマンティックブームを上手く味方につけたヴィジュアル先行でイメージを確立した印象が強いアーティストです。
しかし、アレックス・サドキンのプロデュースによる1983年にリリースした3枚目のアルバム 「Duran Duran デュランデュラン / Seven And The Rag…」は全世界のマーケットをターゲットに据えたトータルバランスに優れたニューロマンティックというジャンルを象徴する作品に仕上げられています。この時代の流行を知りたい方にはぜひおすすめしたい1枚です。
アルバムリード曲は、メロディアスでダンサブルなポップチューンなサウンドに仕上げた親しみ易さを感じさせながらも、その音は凝ったものになっています。全体的にキャッチーで耳障りの良い曲ばかりですが、緻密に計算された様々な楽器が織り成すクオリティーのあるサウンドであることがわかります。
しかし、その後シングルカットされたナイル・ロジャースがリミックスを施してプロデュースした「The Reflex」、1986年リリースした4枚目のアルバム「Notorious」ではファンキーさを前面に出したサウンドがボーカルを引き立てる楽曲制作スタイルへと変化しています。

Kajagoogoo

1980年にレイトン・バザードでベーシストのニック・ベッグスを中心として結成されたア ール・ヌーヴォーを前身とし、ソロ活動をしていたリマールが加わる形で結成された5人編成の音楽グループがカジャグーグーです。
彼らの音楽は露骨に1980年代ブリティッシュ・ポップスの特色が反映されています。
また、カジャグーグー誕生には当時ではスーパーバンドになっていたデュラン・デュランが大きく関わっています。
1982年にリリースされた1枚目のアルバム「White Feathers」は、ニック・ローズとコリン・サーストンの共同プロデュースでメジャーデビューした作品です。
2曲目”Too Shy”は、不思議な浮遊感のあるメロディー、グルーヴィーなリズム、そこに絶妙なタイミングで乗るリマールの中性的なベルベット・ヴォーカルが印象的に仕上がっている作品なのでおすすめします。
それに加えて各楽器パートを担当するメンバーの演奏技術も高いのですが、リマールとベッグスのキュートなルックスやデュラン・デュランを意識したヘア・メイクでビジュアルイメージを作ってプロモーションを展開し、一躍アイドル・グループのように祭り上げられたため実力のわりにグループとして過少評価されていたと思います。
しかし、その後はギャラ配当でモメて解散に至りますが、ある意味で彼らがニュー・ロマンティック最後のアーティストになったと思います。

The Human League

ニューウェーブのブームの中、1979年にデビューしたイギリスのテクノポップグループ、ヒューマンリーグ。
一度は解散して後に再結成というパターンが多いバンドの中で、ヒューマンリーグはコアメンバーである3人のヴォーカリストを軸として1980年代、1990年代、2000年代も継続的に活動している数少ないバンドグループです。ヒューマンリーグの男性ヴォーカリストはフルメイクアップして美しく、気持ち悪さや見苦しさがないためグループのビジュアルイメージ作りに貢献しています。
1981年にリリースされた3枚目のアルバム「Human League ヒューマンリーグ / Dare 【SHM-CD】」は華やかなエレクトロポップサウンドに仕上がった作品です。アルバムの曲順・構成は意識せず全体的にキャッチーなメロディーが多く、どの楽曲もテクノ感が満載で特に3曲目”The Sound of the Crowd”のイントロ部分がシブく印象的で、アルバムからシングルカットされた10曲目”Don’t You Want Me”はダンサブルな曲調と覚えやすいサビのメロディーが魅力的なナンバーです。
低音の男性ヴォーカルと時々コーラスとして女性ヴォーカルがハモる、あるいは掛け合いというミュージカルに近いスタイルを取り入れたことでテクノポップグループの中では個性的なアーティストとして認知されています。

Depeche Mode

1980年にイングランドで結成された3人編成のロックバンド、デペッシュ・モード。
早くからイギリスをはじめとするヨーロッパでは人気が高かったのですが、アメリカでブレイクしたのは1980年代中盤以降(ニュー・ロマンティックブーム最終盤期)になります。 1981年にリリースされた1枚目のアルバム「【輸入盤】DEPECHE MODE デペッシュ・モード/SPEAK AND SP…」は、クラフトワークからの影響をよりバブルガムなエレクトロ・ポップサウンドで表現した音楽性と独特なマイナーコード(感覚)による陰鬱な世界観が印象的な作品です。
また、楽曲によってはオープンマインドなDJによるコズミックあるいはバレアリックスタイルで効果的に使用するというアイデアもあり得ると考えます。
例えば、11曲目”Just Can’t Get Enough”は、洗練されたダンサブルなディスコサウンドにアレンジしてもいいかもしれないです。オリジナル楽曲は、キッズゲーマー向きのような分かりやすくチープなサウンドという印象だけど、ブラックミュージックの中でもディスコのうねるようなファンクビートをテーマにメロディックなサウンドアレンジでも時代に埋もれない仕上がりになります。アーティストと楽曲のイメージとしては、2013年にリリースされたダフトパンクの”Get Lucky”です。

Alice Cooper

1970年代初頭にグラム・ロックの範疇にカテゴライズされていましたが、唯一無二のショッ ク・ロックを打ち出したことで多くのアーティストに影響を与えたミュージシャン、アリス・クーパー。
1972年に発表された5枚目のスタジオアルバム「Alice Cooper アリスクーパー / School’s Out 輸入盤 …」は、セールス的にも成功を収めたアルバムで、アルバムリード曲はキッズの何気ない空想をモチーフにシンプルな曲構成、ファンタスティックなギターリフ展開をストレートなハードロックサウンドに仕上げたキッズのロック・アンセムとなった印象的な作品です。
また、ヴィジュアル面での多角的なステージング(特に照明・演出効果)を打ち出し、シアトリカルなライブでオーディエンスを魅了するパフォーマンスは極東におけるヴィジュアル系元祖ともいえるロックスターです。

Visage

ヴィサージは1978年から現在まで活動しているイギリスのシンセポップグループです。
クラフトワークの影響を受け、電子楽器を多用した近未来的なサウンドとスティーブ・ストレンジの生気を感じさせない白塗り、デカダンなアイメイク(ゴシックメイク)、ジェンダーを超越したファッション性を取り入れ丁寧に作り込まれたヴィジュアルは、世間を驚かせ数々のフォロワーを生み出しました。
1980年のデビューアルバム「visage」はフューチャリスティックにトータライズされた作品です。4曲目”Tar”は鋭いシンセフレーズのイントロが印象的で、シンセ主導のサウンドにサックスを取り入れたお洒落で先鋭的なUKニュー・ウェーブサウンドに仕上がっています。7曲目”Mind of a Toy”は、チープなリズムボックスと生ドラムの併用が特徴で、このリズムボックスの淡々と刻むテンポが個性の源になっています。
レトロ調のメルヘンなイントロとアウトロがメランコリックな世界観を形づくるうえで独創性を発揮しています。
また、バンド活動期間は5年と短期ながら、そのセンセーショナルな出で立ちと退廃的な音楽性は音楽シーンのみならずファッションシーンにおいても絶大なる影響を与えています。

Ultravox

1975年ロンドンで結成された5人編成のロックグループ、ウルトラヴォックス。
ジョン・フォックス在籍していた初期のウルトラヴォックスは、パンク・ロックとテクノを 融合させた音楽を展開していましたが、革新性のある音楽をクリエーションする試みはビジネスとの両立を成功させるに至らない結果となり一時解散となりました。
要因としては、サウンドの方向性を決められなかったのではないかと考えられます。しかし、元リッチ・キッズのミッジ・ユーロが加入して再始動した最初のアルバムが1980年リリースされた4枚目のアルバム「Ultravox ウルトラボックス / Vienna 【LP】」は、テクノポップブームにも上手く乗ってキャッチーなメロディーセンスとミキシング・テクニックにより、サウンドの方向性がアーティスティックかつモダンなポップに昇華された作品に仕上がっています。
2曲目”New Europeans”は、イントロのギターのカッティング一つとってもクオリティーの高い1980年代を代表する完成されたディスコサウンドです。

Roxy Music

1971年にロンドンで結成された6人編成のロック・グループ、ロキシーミュージック。
1972年にリリースされた1枚目のアルバム「ロキシー・ミュージック/ロキシー・ミュージック(限定盤/SHM-CD/HDCD)…」は、時代の本流に拘らず、常に前衛的な要素を取り入れて、美しいメロディーを重視しながら音楽にイメージやファッションの美的センスを巧みに融合させた独自のアーバン・ロックスタイルを確立し、大人のニューウェーブ・ロックサウンドに仕上がっています。
アート・ロックからプログレッシブ・ロックを経て、グラム・ロックブームを巻き起こす一翼を担う退廃的なネオ・ロマンティックな音楽性とアバンギャルドな演奏にゴージャスでグリッターなコスチューム、派手なメイクのアンドロジナスな(現在のトランスジェンダー・スタイル)ファッションが特徴になります。
1982年リリースされた8枚目「Avalon」以後は2度目の解散に至りますが、初期のプラスティックな音を使いながらもゆったりと残響音が広がる緻密なアレンジと丁寧なミックスを重ね、洗練されたアーバンなチルアウトサウンドに仕上がっています。1曲目”More Than This”はヨーロピアンにメロディーラインを形成した上質で前衛的なポップサウンドながら非常に耳に残りやすく、ラストアルバムのタイトルにもなっている3曲目”Avalon” は、控えめなエキゾチック・ビートとサビの女性コーラスの美しさが印象的なナンバーです。ロキシー・ミュージックは何度も解散を経て再結成されていますが、駄作と呼ばれるアルバム作品が無いので音楽好きの方にはすべておすすめしたいと思います。

Talking Heads

1974年ニューヨークで結成された4人編成のアングラでアート志向なインテリロックバンド、トーキングヘッズ。
特にヴォーカルのデヴィッド・バーンの特異なヴィジュアル効果を放つステージと独特なファッション性にインパクトのあるインディーパンクバンドでありプロレベルの演奏技術はありませんでした。
ただ、素晴らしい点は自分たちの演奏可能な範囲で最大の創意工夫とアイデアでもって独自のリズム感覚(グルーヴ)を体得するに至ったことです。
類似性のあるミュージシャンとしてはThe Clashを挙げることができます。その積み重ねが着実に実を結び始めた作品が2枚目のアルバム「More Songs About Buildings and Food」、そして3枚目のアルバム「Fear of Music」で覚醒します。
1980年にリリースされた4枚目のスタジオアルバム「【輸入盤】TALKING HEADS トーキング・ヘッズ/REMAIN IN Light」は、アフリカン・ ビートとロックを融合させた80年代を代表する作品です。
作品自体は、リズムからのアドリブをつなぎ合わせて完成させていたり、ワンコードで作曲されたそのミニマリズム、テクスチャを用いたのちのヒップホップ的ともいえるサウンド構築、プロデューサーのブライアン・イーノのアレンジワーク、一流のスタジオ・ミュージ シャンであるエイドリアン・ブリューの怪奇なギタープレイをはじめとする名手のサポ ートミュージシャンを大々的に取り上げて制作したアルバムという印象を受けます。
このアルバム作品の中では前半4曲1曲目”Born Under Punches(The Heat Goes on)”、2曲目”Crosseyed and Painless”、3曲目”The Great Curve、4曲目”Once In a Lifetime” のアフロビート、ファンク、ポリリズムをロックのメソッドで飲み込んだ画期的な楽曲をおすすめします。

Spandau Ballet

1979年にロンドンで結成された5人編成のロックバンド、スパンダーバレエ。
1980年のデビュー直後はニュー・ロマンティックを意識したサウンドとファッションが織りなすビジュアルイメージでプロモーションを展開していましたが、早めにシフトチェンジして独自のサウンドを切り開くことに成功しました。
1983年にリリースされた3枚目のアルバム「True」は、ブラックミュージックをベースにしたモダンなセンスとトータル性を重視した作品です。
一言で表現すれば大人のムード漂うダンサブルなAORという印象があります。
アルバムの中で6曲目”Heaven Is a Secret”は、アップテンポで少しファンキーなナンバーですが、ベーシストのスラップを多用したノリノリ感やパーカッションも効果的に取り入れられたなかなかの佳作です。7曲目”Foundation”は一番アップテンポでエレポップ風なサウンドですが、エモーショナルなヴォーカルが普通のエレポップにはさせない表現力があります。ラストの8曲目”True”はとてもシンプルなスローバラードなナンバーですが、間奏に入るサックス・ソロが都会の夜にこだまするような曲全体が持つモダンでアダルトな雰囲気を助長しているのでおすすめします。
このアルバム作品がリリースされた時代の音楽制作(1980年代以降)は、15・16曲という曲数が収録されていました。最初の前半1曲目・3曲目あたりまでに良い曲を集中させ、後半は捨て曲で埋めるという構成が主流でした。この手法だとリスナーはアルバム全体を聞く気持ちにはなりません。
しかし、現在では考えられない構成ですがこのアルバムは8曲しかないからこそ、構成が生きています。つまり、最後に一番良い曲を持ってくるということは、最後までリスナーを飽きさせずに聞かせる自信があるという現れなのです。
1970年代以前のアーティスティックな精神を伝えるアーティストとして彼らのようなバンドを大きく評価したいです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
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