【レポート】山内惠介、ファンクラブ
限定ライブで14名の作曲家の名曲に挑

山内惠介が、8月14日から16日の三日間、東京・日暮里サニーホールにて毎年恒例のファンクラブ限定ライブ<惠音楽会 SCENE 16>を行った。
<惠音楽会>は、2009年8月にティアラこうとう小ホールでスタートし、今回が16回目の開催となる。このライブは、山内の持ち歌を一曲も歌わないという趣旨で行っており、2017年は「流行歌を造ったメロディーメーカー VS 山内惠介」というテーマで、昭和・平成を彩った日本を代表する14名の作曲家送り出した名曲に山内が挑戦した。

今回は、6月15日昼の部の模様をレポートする。<惠音楽会>は毎回満員御礼となっており、今回も三日間・全5公演のチケットが全てソールドアウトし、計2000人のファンクラブ会員が会場に集まった。ステージには山内のライブではお馴染みの「惠介バンド」が並び、1曲目・仲村八大作曲の「夢で逢いましょう」(坂本スミ子)のイントロが始まった。ムーディーな雰囲気に包まれたステージに、ロング丈のジャケットに白い○○○のパンツで、山内のさわやかさを表すかのような衣装を身にまとった山内が姿を現すと暖かい拍手と歓声が起こった。ひとつのライブで多数の衣装替えをする山内だが、今回は十二単のように着込んだ上着を脱いでいくことで出で立ちが変わる趣向が凝らされていた。「惠音楽会は僕にとって、年に一度のお楽しみ。」という言葉から、山内にとって大切なライブだということが伝わってくる。
「先月末に日本歌謡界にとって悲しい訃報が届きました。その方は、平尾昌晃先生です。僕も平尾先生の曲をカバーさせていただいているんですよ。」という言葉で始まったのは、2010年に発売されたアルバム『北の旅情』に収録されている「霧の摩周湖」(布施明)だ。摩周湖で、ひとりたたずむ情景がありありと浮かぶこの楽曲はサビで高音を出すのだが、2010年の歌唱では高音を出すことに注力していた印象があるが、現在34歳になった山内が歌唱すると、こんなにも柔らかく切ないのかと涙腺を刺激される。平尾氏とのエピソードでは声マネも飛び出し笑いが起きたりと山内の中では楽しい思い出として胸に残っていることがわかる。
ハマクラこと浜口庫之助作品の歌唱前に、「ハマクラと言って、どなたのことか分かる方いらっしゃいますか?」という問いに、観客が「はーい!」と手を上げると「分かる方はね、だいたい年齢が分かるといいますか・・・」と口元を手で隠しながら笑顔で言うと、またもや観客から笑いが起こる。少しトゲのある冗談でも観客の心をステージへと引き込む山内のトーク力には感服する。「浜口先生の奥様の渚まゆみさんが、僕が惠音楽部で「星のフラメンコ」を歌ったことをご存じで、『山内君ありがとう。これからもハマクラのメロディーを歌い継いでくださいね。』とありがたいお言葉をいただきました。」と胸の温まるエピソードから始まった「みんな夢の中」(高田恭子)は、ゆったりと優しい歌声で奏でられた。

名曲の数々を幸せそうに歌い上げていく山内は、ファンクラブの会員に見守られる中リラックスした様子で、通常のライブで見せる力強い山内とはまた違う良さを見ることができる。6曲目は服部良一作曲の「買い物ブギ」(笠置シズ子)。全曲生バンドで演奏される楽曲たちはアレンジが加えられ、昭和らしさ溢れる楽しいブギのリズムで心も跳ねるようだ。
山内が次の曲に選んだのは、ユーミンこと松任谷由実荒井由実名義で作詞・作曲した「いちご白書をもう一度」(バンバン)で、1月には松任谷のラジオ番組にも出演したこともあり、何かと縁のあるひとりだ。ハイチェアに腰掛け歌う山内の、色気を感じるビブラートが会場に響いたこの楽曲は、今回のライブの中でも特に印象に残る一曲となった。
ここまで様々な名曲カバーを披露してきた山内だが、なんとアイドルの楽曲にも挑戦。筒美恭平作曲の「スニーカーぶる~す」(近藤真彦)、津倉俊一作曲の「サウスポー」(ピンクレディー)と意外な楽曲が選ばれた。アイドルというと可愛らしさを連想するが「スニーカーぶる~す」では、男らしさを感じるハリのある歌声を聴かせた。これまでは息子のように思われることが多かったという山内は、最新曲『愛が信じられないなら』を機に男らしさを増し、頼りがいのある眼差しや色気のある仕草などを見せるようになった。「僕もね、皆さんのおかげで演歌界のアイドル・・・」と控えめ(?)に言っていた山内だが、「サウスポー」では“あの”振り付けを取り入れながら可愛らしく歌うその姿はアイドル顔負けで、会場の熱気は一気にヒートアップした。演奏が終わると、あまりの激しいリズムにヘトヘトになった「惠介バンド」の奥野暢也(Dr)に対して「どうしたの~?水飲み過ぎですからね!」と軽口を叩く和やかな雰囲気から、バックバンドとの絆も感じられた。

後半は演歌が続いていく。2月16日に惜しくもこの世を去った船村徹作曲の「風雪ながれ旅」(北島三郎)では、「忘れもしない2月16日、新歌舞伎座で座長を務めた公演の千秋楽だったその日に訃報を知り、僕が小さいころ聴いていた美空ひばりさんの「みだれ髪」や「王将」も船村先生だったなと、僕が演歌歌手になるきっかけを作ってくださった歌ばかりです」と思い出と共に力のこもった歌声を聴かせた。そして、演歌を作ったといわれる古賀政男作曲の「影を慕いて」(藤山一郎)、猪俣公章作曲の「君こそわが命」(水原弘)を、山内の本領発揮と言わんばかりに歌い上げ、「今後も先生たちがお作りになったたくさんの名曲を大切に歌い継がせていただきたいと思います。」と、後世に演歌を伝えていく歌手のひとりになるであろう山内の歌手道への決意を語った。
「早いもので『流行歌を造ったメロディーメーカー VS 山内惠介』も最後の2曲でございます。次は中山大三郎先生作曲の楽曲、僕のデビューへのきっかけを作ったカラオケ大会の審査委員長が当初は中山先生でしたが、病でお倒れになって、ピンチヒッターとして中山先生からお願いされたのが水森先生でした。」と恩師、水森英夫との出会いについて語り、中山大三郎作曲の「無錫旅情」(尾形大作)を歌った。

NHKの食堂で森の横に並び食事をしたエピソードと共に三木たかし作曲の「北の蛍」(森進一)を披露した。「橋幸夫さん、森進一さんが17歳でビクターからデビューされたので、35年ぶりに新人を出そうということで僕はデビューすることができ、今こうして皆さんにお会いできるようになりました。」と感謝の気持ちを込めて歌い上げ、ステージを降りた。

アンコールの拍手が響くと、本編とは違うジャケットを羽織った山内が再びステージへ上がり、「最初の惠音楽会は、150人を収容できる会場から始まり少しずつ規模を広げ、今回はこれまでで一番大きい会場だと思います。皆さん本当にありがとうございます。」と感慨深さが垣間見れた。さて、今回のアンコールはというと、ここまで披露した14曲の中から一番拍手の大きかった1曲をアンコール曲として歌う、という面白い企画となっている。名曲尽くしの楽曲から候補として選ばれたのは、「いちご白書をもう一度」「サウスポー」「風雪ながれ旅」の3曲。最終的に1番拍手が大きかった楽曲は「サウスポー」で、奥野が「また激しいリズムを叩かなければいけないのか・・・!」と冷や汗をかくのを尻目に会場は大いに盛り上がった。
1曲を歌い上げこれで終わり・・・のはずが、「いちご白書をもう一度」のイントロが流れ出した。この粋な計らいに、山内は「え!?聞いてないよ!? 」とたじろぐが、すぐに歌に入り込み情景豊かに歌った。
前述したように<惠音楽会>は、山内の持ち歌を一曲も歌わないという趣旨で行っている。が、「さぁ皆さ~ん、まだ帰さないよ~。やっぱり最後は僕の歌が歌いたい!」ということで、最新曲「愛が信じられないなら」を披露。客席もここぞとばかりに息の揃った“惠ちゃん”コールで盛り上げ、会場が一体となった。ここで、9月13日に『愛が信じられないなら』の赤盤・青盤というカップリング違いのCDが発売されるとの嬉しいお知らせもあり、10月6日には東京・東京国際フォーラム ホールAという5000人規模の会場でのライブも控えている山内だが、「惠音楽会は僕にとって、年に一度のお楽しみ。」という言葉の通り、この大舞台に向けて英気を養えたのではないだろうか。山内のライブは元気と希望を与えられ笑顔を持ち帰ることができる。ファンクラブ限定ライブに限らず、通常のライブにもぜひ足を運んでいただき、ひとつ、またひとつと躍進を遂げていく山内の「今」の姿を見てほしい。

惠音楽会 SCENE 16「流行歌を造ったメ
ロディーメーカー VS 山内惠介」

2017年8月15日(火) @東京・日暮里サニーホール
[ セットリスト ]
01. 夢で逢いましょう(坂本スミ子)
作曲:仲村八大
02. 霧の摩周湖(布施明)
作曲:平尾昌晃
03. 星影のワルツ(千昌夫
作曲:遠藤実
04. みんな夢の中(高田恭子)
作曲:浜口庫之助
05. あの娘と僕 スイムスイムスイム(橋幸夫)
作曲:吉田正
06. 買い物ブギ(笠置シズ子)
作曲:服部良一
07. いちご白書をもう一度(バンバン)
作詞・作曲:荒井由実
08. スニーカーぶる~す(近藤真彦)
作曲:筒美恭平
09. サウスポー(ピンクレディー)
作曲:津倉俊一
10. 風雪ながれ旅(北島三郎)
作曲:船村徹
11. 影を慕いて(藤山一郎)
作曲:古賀政男
12. 君こそわが命(水原弘)
作曲:猪俣公章
13. 無錫旅情(尾形大作)
作曲:中山大三郎
14. 北の蛍(森進一)
作曲:三木たかし
アンコール
15. サウスポー
16. いちご白書をもう一度
17. 愛が信じられないなら

シングル『愛が信じられないなら』

<赤盤><青盤>
2017年9月13日発売

<カフェ盤>
2017年3月29日発売
CD:VICL-37256 / 1,204円+税
[ 収録楽曲 ]
1. 愛が信じられないなら
2. 珈琲カップ
3. 愛が信じられないなら(オリジナルカラオケ)
4. 珈琲カップ(オリジナルカラオケ)

<ダイヤ盤>
2017年3月29日発売
CD:VISL-37257 / 1,204円+税
[ 収録楽曲 ]
1. 愛が信じられないなら
2. 黒いダイヤ
3. 愛が信じられないなら(オリジナルカラオケ)
4. 黒いダイヤ(オリジナルカラオケ)

<唄盤>
2017年3月29日発売
CD+DVD:VIZL-1132 / 1,667円+税
[ 収録楽曲 ]
1. 愛が信じられないなら
2. 愛が信じられないなら(男性用オリジナルカラオケ(KEY=Cm))
3. 愛が信じられないなら(女性用オリジナルカラオケ(KEY=F#m))
[ DVD収録内容 ]
1. 愛が信じられないなら(ミュージックビデオ)
2. 愛が信じられないなら(男性用カラオケ・ミュージックビデオ(KEY=Cm)歌詞テロップ入り)
3. 愛が信じられないなら(女性用カラオケ・ミュージックビデオ(KEY=F#m)歌詞テロップ入り)

ニューアルバム『ウラ・ベスト』

2017年7月19日発売
VICL-64810 / 3,000円+税
[ 収録楽曲 ]
1. 夢見る恋人たち
作詞:仁井谷 俊也 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
2. 寒い橋(ニュー・ヴォーカル・バージョン)
作詞:星野 哲郎 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
3. シンガポールの夜は更けて(ニュー・ヴォーカル・バージョン)
作詞:星野 哲郎 作曲:水森 英夫 編曲:前田 俊明
4. ソウル別れ雪
作詞:星野 哲郎 作曲:水森 英夫 編曲:前田 俊明
5. 残雪根室本線
作詞:鈴木 紀代 作曲:水森 英夫 編曲:前田 俊明
6. 柳川雨情
作詞:下地 亜記子 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
7. 純情ナイフ
作詞:松井 五郎 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
8. あゝ涙が叫んでる
作詞:松井 五郎 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
9. ちょっと、せつないな
作詞:松井 五郎 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
10. ただひとつの花
作詞:松井 五郎 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
11. 瀬戸内最終便
作詞:麻 こよみ 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
12. 六本木界隈・夢花火
作詞:売野 雅勇 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
13. 夕張川から
作詞:奥山 英明 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
14. 演歌道中 旅がらす
作詞:鈴木 紀代 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお
15. 星あかりの夜
作詞:喜多條 忠 作曲:水森 英夫 編曲:伊戸 のりお

<山内惠介コンサート2017 ~まだ見ぬ
歌の巓(いただ)きを目指して!~>

9月11日(月) 愛知・愛知県芸術劇場
9月14日(木) 北海道・ニトリ文化ホール
9月15日(金) 北海道・ニトリ文化ホール
9月19日(火) 大阪・フェスティバルホール
9月22日(金) 福岡・福岡サンパレスホール
10月6日(金) 東京・東京国際フォーラム ホールA

<山内惠介熱唱ライブ2017~新たなる歌
の道・あなたと共に~>

8月30日(水) 神奈川・相模女子大学グリーンホール
10月14日(土) 北海道・北ガス文化ホール
10月16日(月) 北海道・小樽市民会館
10月17日(火) 北海道・岩見沢市民会館
10月19日(木) 北海道・網走市民会館
10月20日(金) 北海道・中標津町総合文化会館
10月23日(月) 北海道・室蘭市文化センター
10月27日(金) 山梨・コラニー文化ホール
10月28日(土) 群馬・館林市文化会館
11月03日(金) 栃木・足利市民会館
11月17日(金) 埼玉・深谷市民文化会館
11月18日(土) 長野・須坂市文化会館 メセナホール
11月22日(水) 埼玉・川口総合文化センター・リリア
11月24日(金) 千葉・松戸 森のホール21
11月25日(土) 群馬・ベイシア文化ホール
11月28日(火) 埼玉・ウェスタ川越
11月29日(水) 茨城・茨城県立県民文化センター

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