第十七沼(だいじゅうななしょう)『
ゲ●袋(エチケット)収集沼!』

沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、
その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第十七沼(だいじゅうななしょう) 『ゲ●袋(エチケット)収集沼!』
ダンスミュージック業界の森羅万象カワムラユキの「癖(へき)」
誰も集めなさそうなモノを密かに集める喜び。
今回は皆さんご存知であろう渋谷OIRANのママにして作詞家、DJなど多彩な才能を発揮するアーティスト「ヴィーナス」ことカワムラユキちゃんにド変態収集癖をカミングアウトしてもらった。
彼女の収集の対象は、なんとゲ●袋。いわゆる飛行機に乗った時、前の座席のネットに挟んであるエチケット袋だという。
最初はそんなモノ集めて何が面白いんだ?と思っていた。インタビューに向かった私の目の前に広げられた莫大な数のゲ●袋を見た瞬間圧倒されて言葉も出なかった。
(これでも、ほんの一部らしい)
「性癖なんですよ、性癖。収集じゃなくって性癖なのよ」

私がなぜゲ●袋を集めるかという質問に彼女はなんの迷いもなくこう答えた。

「それって、万引きをするスリルが性癖ってよく言われるけど、そういうのと同じ?」
と聞くと

「スリルじゃないんだな〜。包まれたい願望なのよ」

という。
包まれたい願望。
彼女は狭い場所が好きらしい。
ドラえもんが押入れに住むように、狭いところが大好きなのだ。何かに包まれていたい。そんな気持ちなのだろうか。
ネコや魚も何かのストラクチャーの側に接する性質がある。
彼女の家には大きめのベッドがあるのに、そのベッドで寝た事が無いという。
いつも部屋の角の狭いところに変な格好で張り付いて睡眠をとるという。
ド変態にも程がある!!
どうやって沼にハマったのか??
初めて彼女がその性癖に気がついたのは、子供頃の遠足の時だった。
初めてバスに乗って遠足に行く前、学校から御達しが有ったそうだ。
「オリジナル(お手製)の汚物入れを用意せよ」と。
ほとんどの小学生は「範囲内の金額で買うおやつ」で頭がいっぱいだ。
ところがカワムラユキはそのお手製のゲ●袋に異常な興味を示した。
いわゆる「汚いものを隠す」ために使われるGEROBUKURO。
フォービドゥン感、禁じられた何か、後ろめたさ、汚れたものを包み隠す秘密の行為。
きっとこの時に彼女の脳裏にそれらのキーワードが焼きついたのであろう。

「最初にGEROBUKUROを集め始めたのは20歳の頃かな?」

彼女は香港へ旅たつ機内の中で、小学生の時に受けた衝撃を無意識に思い出したのかもしれない。
しかし彼女は何かに掻き立てられた訳でもなく、自然に集め始めたのだという。
「他に収集癖はないの?」という私の質問に。

「全然ない」

と即答するカワムラユキ。
ではなぜそこまでGEROBUKUROにこだわるのだろうか。
あらためてGEROBUKUROの魅力を聞いてみた。

「やっぱり、隠したいもの、禁じられた存在を薄紙一枚で隠す快感。
紙が溶けて汚れたものが溢れ出すかもしれない緊張感」

だという。
しかし、実のところ彼女は一度たりともGEROBUKUROを使用した事がない。

「GEROる時はトイレに決まってるわよオホホホホ」

世界初のGERO袋エキシビジョン開催になるか?
確かにこれだけアーティスティックなデザイン、そして航空会社によって様々な趣向を凝らされ、綿密に作られた個性的なゲロブクロ達をみていると、とてもじゃないが使うきになれないのも頷ける。
一つ一つにお国柄がでたそのデザインは美術館で個展を開けるほどのバリエーションとクオリティーを感じる事が出来るのだ。
カワムラユキ本人も、GEROBUKUROデザインの監修や個展を開いてみたいと語る。
そして、もう一つ、彼女がこのGEROBUKUROを使用できない理由がある。
それは「思い出」だ。
あの時、あの場所で、誰かと会話をしながら持って来たGEROBUKURO。
失恋した時に泣きながら持って来たGEROBUKURO。
レコーディングで海外に渡航したとき持って来たゲロブクロ。
同棲していた彼氏にゴミだと思って捨てられそうになって殺そうかと思ったほど大切なGEROBUKURO。
一つ一つに思い出があるのだ。
この絶対使用する事の無いGEROBUKUROは、彼女の安定剤にもなっている。
彼女はこう言ったのだ。

「受け皿は整っている!後は吐くだけ!」

とは言いつつ、実際にはトイレで吐く女、カワムラユキ。
とても繊細な女性だ。
知らない人からもらっても全く嬉しくないという。
基本的には自分の手で持ち帰るか、友達から海外のお土産でもらうのが何より嬉しいらしい。
そんな話をしながら、私も何種類かのGEROBUKUROを手にとってみた。
すると、内部の加工が各社によって全く違う事に気がつく。
ツルツル感がそれぞれ全く違う。
マチ加工されている手の込んだものや、そのまんま郵便袋のような簡素なもの。
どうみてもこれ漏れちゃうだろうというような貧弱なものから、
半透明で中身が丸見えになるもの。
深い・・・。
これは深い・・・。
デザインも各社様々だ。
オリジナルのキャラクターのイラストが描かれたものや、ミニマルで強靭なイメージのある袋。
カラフルなもの、読めない漢字が書いてあるもの。
まるでGEROBUKUROとして機能しなさそうなデザインのもの。
愛しさと切なさアーンド心強さ?
彼女はこれらのGEROBUKUROを愛おしいという。
洗脳されたのか、私もだんだん愛おしくなって来た。
最初はこんなもの集めてド変人だと思っていたけど、カワムラユキの気持ちがとても良く理解できた。
そんなカワムラユキがとても愛おしく感じた。
さらに話していて気づいた事がある。
閉所が好きな彼女は、もしかしたら自らGEROBUKUROに身体ごと入って包み込まれたい願望があるのでは無いか?
母親の子宮に入っていた記憶がどこかに残っていて、ふるさとに帰りたいのではないか?
順位はつけたく無いが、カワムラユキと私とで、GEROBUKURO BEST3をチョイスしてみた。
こちらがその6枚!
最後に「沼」の読者に一言お願いすると。

「みんなもゲロ袋を集めよう!!ただ、くれぐれも体調管理には気を付けてね❤」

と言ってご機嫌に帰って行った。

あなたもまだ遅く無い。
一緒にゲロ袋沼の住人になろう。
ヴィーナス・カワムラユキ

バレアリック・スタイルDJ、渋谷道玄坂発のミュージック・ブランド「OIRAN MUSIC 」
プロデューサー。2000年に「灼熱」でデビュー後、2003年「Love Parade Mexico」に公式出演を果たし、10万人を前にプレイ。近年は選曲家、ナビゲーターとして渋谷のラジオ、神戸Kiss FM、block.fmにてレギュラー番組を担当中。
Twitter, instagram @venuskawamura
webhttp://oiranmusic.com/

7/22 加賀温泉郷フェス2017 @ 瑠璃光(石川県山代温泉)
https://kaga-fes.com/2017/index.php
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http://rubyroomtokyo.com/?p=13564
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