【Bentham】
常にファンをびっくりさせたいという
想いが
バンドを進化させた
切ないメロディーと切れ味鋭い演奏がさらなる広がりと奥行きを印象付ける1stフルアルバム『Re: Wonder』。一曲一曲、これまで以上にこだわりながら作った結果、ひと癖もふた癖もあるBenthamらしさが自然に滲み出たという。
アニメの世界観を崩さず、Benthamとし
てもカッコ良く
まずは7月12日にリリースしたシングル「White」について聞かせてください。TVアニメ『潔癖男子!青山くん』のOP主題歌である表題曲は、どのように作っていったのですか?
小関
OP主題歌をお願いしますというお話をいただいたんです。この曲もフルアルバムに収録することは決まっていたんですけど、そこはあまり考えずにアニメの主題歌として、いくつか提案したデモをもとにアニメのスタッフとやり取りする中で、この曲に決まりました。そこからさらにリクエストを受けてみんなでいろいろアレンジしていった結果、全部がサビメロのような今までにないスタイルの曲になりました。
辻
観ている人に飛ばされないようにというか、それぐらい興味を持ってもらえるようなアレンジにしてほしいというリクエストだったんです。
それでこういう不思議な曲になっているのですね。
小関
最初はテレビで流れる89秒でベストを尽くせるようにと考えながら作って、そのあとにフルコーラスを作っていったんですけど、やりたいことはちゃんとできたと思います。曲としてはBenthamっぽくないかもしれないですけど、最終的にアルバムに入れても馴染んでいるというか。楽曲としてしっかりと仕上がっていると思います。
いや、僕は逆にアルバムの候補曲の中から提案したものがOP主題歌に選ばれたんじゃないかと思っていたくらいなんですよ。いかがでしたか、リクエストに応えながらという曲の作り方は?
それは言わないほうがいいんじゃないですか?(笑)
小関
だから、柔軟に対応できるようになりたいと思いました。ただ、うちらの楽曲はどれもタイアップに使えるぐらいインパクトもフックもあると思っているから、ここから広がっていったら嬉しいです。もちろん譲れないところはあるんですけど、こういうことはいろいろやっていきたいと思うので、今回は本当に良い経験になりましたね。
「White」をアレンジする上ではどのようなことを意識しましたか?
小関
まず、アニメのファンをがっかりさせたくないということと、これをきっかけに僕らのことを知ってくれる人が“おおっ”となってくれるようなドラマチックな楽曲にしたいと思いながら、僕らが考えるアニメの主人公の青山くん像を丁寧に作っていきました。僕らの中に沸いてきた青山くんに対する愛情がしっかり出るようにというか、それが出れば観た人も“全然イメージと違う”とはならないだろうと思ったので、アニメの世界観を崩さないようにと。崩すやり方もあると思うし、Benthamがやるから意味がある場合もあると思うんですけど、初めての経験だったから、世界観を崩さないようにBenthamとしてカッコ良くというテーマで作りました。
辻
アニメのスタッフに聴いてもらう時にスタジオで一発撮りしたものでは分かりづらいということで、今回初めてDTMでデータをやりとりしながらアレンジしたんですよ。パソコン上でみんなで作業したものをもとにスタジオでセッションするということで、切り貼り的なことをやったせいなのか、ドラムがちょっと変わった叩き方をしているとか、普段みんながやらないようなフレーズが入っているとか、少しトリッキーな手法を盛り込んだアレンジの曲になっていると思います。
カップリングは「僕から君へ」と「 パブリック 」というファンにはお馴染みの2曲ですが、「僕から君へ」は同じアニメのイメージソングとして劇中にフィーチャーされるそうですね。
須田
アニメを観ていても同じアーティストの曲が2曲も流れるなんてことはなかなかないので、すっごい嬉しかったですよ。
アニメがきっかけでBenthamを知った人には、ぜひ26日にリリースする1stフルアルバム『Re: Wonder』も聴いてほしいですよね。前回のシングル「激しい雨/ファンファーレ」はメジャーレーベルからの第一弾ということで新しいスタートをイメージさせるストレートな作品でしたが、今回は結構Benthamらしい癖が出たのではないですか?
小関
そう思っていただけて良かったです。テーマを決めないで一曲一曲に対してみんなが100パーセントのアレンジをしたってことと、今までに比べてちょっと時間の余裕があったんですよ。だから、アレンジ、サウンドともにこれまで以上にこだわりながら作ることができたんです。それが良かったのかな。録っている時はいっぱいいっぱいだったから、もちろんいい曲が揃ったとは思っていたんですけど…。
須田
一曲一曲やり切っていたせいか、良くも悪くも振り返る暇がなかったんですよ(笑)。
小関
もちろん曲順を決める時に流れは考えましたけど、フルアルバムを作るということはあまり意識してなかったです。とにかく選りすぐった曲を最高のものにしようとだけ考えて、それに徹していました。