解散危機、メンバー離脱。。。それでもBON JOVIが走り続ける訳。

解散危機、メンバー離脱。。。それでもBON JOVIが走り続ける訳。

解散危機、メンバー離脱。。。それで
もBON JOVIが走り続ける訳。

30年以上まさにロックの最前線で活躍してきたBON JOVIだが、全てが順風満帆というわけではなかった。3枚目のアルバム「Slippery When Wet」が全米8週連続1位を記録して大ブレイクしたが急激な世界的ブレイクによるプレッシャー、長期ツアーでの疲労やメンバーとの関係の悪化による解散危機など様々な危機を乗り越え成功を収めてきた。しかしその中でもバンドの歴史上最も衝撃的といえる出来事はつい3年前の2014年に起こった。

デビューからのオリジナルメンバーであり、バンドの右腕としてボーカルのジョン・ボンジョヴィと人気を分けていたギタリストのリッチー・サンボラがツアー途中で離脱したのだ。ツアーは代役をたてて続けられたものの、その後リッチーは「家族との時間を大切にしたい」という理由で正式に離脱したとジョンが発表。

この出来事はジョンが「一時期歌うことが出来なくなった」という程ショックなものだった。バンドの今後の活動が危ぶまれたが、彼らは歩みを止めなかった。新ギタリストとしてPhil Xを迎え入れ、2016年に完全新作アルバム「This House Is Not For Sale」を発表し、全米チャート初登場1位を記録した。
BON JOVI「This House Is Not For Sale」
アルバム表題曲「This House Is Not For Sale」はこれまでのBON JOVIサウンドが30年という歴史をぎゅっと凝縮して深みを醸し出しす爽快なロックチューンだ。リッチー不在で初めて作られたスタジオアルバムに込められた思いとは。あまり知られていないであろうバンドの歴史とともに、BON JOVIがなお走り続ける理由をこの曲を通して考えてみる。
4枚の壁とはリッチーを含めたバンドのオリジナルメンバー4人であると取れる。その壁が一枚外れた事で30年以上変わらずに居続けたHouse=バンドがいよいよ崩れそうになったのだ。かつてBON JOVIは1994年にオリジナルメンバーの一人であったベーシスト、アレック・ジョン・サッチの脱退も経験している。その際は、円満脱退だったようで今はアレック自身も長年の夢だったバイク屋を経営し、一夜のみながらライブに飛び入りしたりとメンバーとも友好的な関係は続いているようだ。
その後も、今はバンドの正規メンバーとなったヒュー・マクドナルドが見事にその穴を埋めた。しかし、リッチーはBON JOVIの大半の作曲に携わってきただけでなく、ギターサウンドと素晴らしい歌唱力でBON JOVIサウンドのまさに大黒柱だった。そしてなによりもジョンの精神的な支柱だった。曲の冒頭からリッチーの脱退における悲しみが色濃く映っている。

「ストリートが燃えている」とあるようにもはやBON JOVIには逃げ道はなかった。周りを取り巻く環境が悪くても、家が壊れそうになったとしても家を売る、つまり解散する事は選べなかった。30年以上ボスとしてBON JOVIを動かしてきたジョンのバンドに対する責任はそれだけ大きかった。そしてそんなボロボロの家でも売らないと決めた清々しい潔さも垣間見える。その証拠にルックスの良さにも定評があったジョンはリッチー脱退後、髪を短くし白髪のままで表舞台に戻ってきた。ジョンはインタビューにて「白髪になったってもう髪を馬の尻尾みたいな色に染めたり、カツラをかぶったりしたくないんだ。」と言う。割れた窓、蝶つがいが外れた扉も隠さずに受け入れるという決意のもと、BON JOVIは再び走り出したのだ。
ここまでバンドが積み上げてきたもの。愛着と呼ぶには重すぎるそれは逆風に吹き飛ばされそうになったBON JOVIを押しとどめた。そしてどんなに辛くとも、夢は希望は消えないというメッセージを強く押し出している。長く活動していると新作を作らず、昔のヒット曲だけをやってツアーを回るバンドも少なくない。ジョンは「そうしなきゃいけなくなる前に辞めるよ。」と語る。デビューから30年以上経った今も進化をやめないバンドの姿がここにある。
「信頼」は5枚目のアルバム「Keep the Faith」以降、BON JOVIにとって大きな意味を持ってきた言葉だ。急激な世界的ブレイクにより新作を作る際のプレッシャーに押しつぶされそうになり、そしてアルバムを出すたびに2年以上もかけて世界を周り200公演以上を行うツアーに駆り出される。肉体的にも精神的にも限界に達し、バンドは一時解散寸前まで追い込まれた。しかしその後それぞれのソロ活動を経て「Keep the Faith=信念を貫く」という強いタイトルのアルバムを引っさげて劇的なカムバックを果たした。そうしてバンドはいつも信頼という絆で危機を乗り越えた。

その後も、キーボードプレイヤーのデイヴィッドが電動ノコギリで手を負傷したり、リッチーが離婚騒動でアルコール中毒になってしまったりと何度となくバンドに困難が訪れた。だがその度にBON JOVIは絆を深め何かを学び取り、それを歌に込めて戻ってきた。「もう鉄球くらいでは壊せない」とあるように、もはやBON JOVIの絆は何があろうと脅かされるようなものではない。誰の手も届かないような次元にあるのだ。

歌の随所で高らかに歌われるこのフレーズ。進化を止めない強さと同時に、どんなことがあっても変わらずにここにいるという安心感を漂わせる。リッチーがいなくなり、ファンは少なからず動揺しただろう。

バンドはどうなってしまうのだろうと。しかしBON JOVIは長年応援してきてくれたファンに対するメッセージとして絶対帰ってくるよと歌っている。辛い別離を乗り越えて、BON JOVIがなお走り続ける理由。そこには30年以上BON JOVIという家を支えてきたファンの存在があったからなのだ。

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