[第26回]今までにない悩みに、つい弱
音も…宮澤佐江、『王家の紋章』から
『ピーターパン』への苦悩と挑戦

ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』本番間近! 今回の役どころタイガー・リリー特有の難しさに目下直面中の佐江ちゃんが、2017年の折り返し地点で、2つの舞台についてお話ししていきます!

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします!
ーー今回は、7月に入って初めての更新ですね。「ミラチャイ」連載も、リニューアルしてから、ちょうど1年が経ちました!!
あーーーっ! そうですね!!
ーー「ミラチャイ」連載がリニューアルして、更新を再スタートさせたのが、昨年の7/8(金)でした(第1回)(旧連載)。なので、ちょうど1年。あの頃佐江ちゃんは、舞台『王家の紋章』の初演前で、お稽古の真っ最中でしたね。
あれからもう、1年なのかぁ。早いなあ。。
ーー本当に早いですね。今年も、もう半分が過ぎました。2017年も折り返し、いよいよ後半戦に突入ですね。
上半期、終わっちゃいましたねぇ。。 私、今年、何してましたっけ??
1月はパリに行って、2月下旬からは『王家』再演の歌稽古に入って。4、5月は再演の本番だった。
くぅーーッ!! 本当にもう、半年経っちゃったんですね。
ーーそうですね。ちょうど、1年の折り返し地点の今回は、今年前半を少し振り返ってみようかと思っていますよ。
また、ずぅーっと『王家』の話しちゃう? (笑)
ーー(笑)。やっぱり『王家の紋章』再演は、今年前半の大部分を占めていましたから。今年の出来事として欠かせませんね。千秋楽から日にちが経って、改めて思うことなどありますか?
千秋楽からさらに1ヶ月経ってみて?
頭のどこかに…
“名残惜しい”とか、“あのときに戻りたい”とか、“さみしさ”は、まったくないけど、今も、頭の中のどこかには、『王家』のことがあります。
今でも、家ではよく、『王家』の曲を歌ってるんですよ。
もうすぐ本番が始まる『ピーターパン』では、タイガーリリーという役をやらせていただくんですが、『王家』ほどは、たくさん歌う役どころではないんです。
だけど、ボイストレーニングのつもりで『王家』の曲を家で歌ってます。
家で歌うときは、『王家』の本番中に自分で録音をしていたものを流しながら歌っていて。本番中は、いつも裏声で歌っていたところを、地声で歌ってみたりしています。
ミュージカル楽曲は、自然とミュージカルの発声ができるように作られていると思うので、普通のアーティストさんの曲を歌うのと、やっぱり違うところがあります。
自分で歌っているだけだから、練習といえるか分からないけど。そういうちょっとしたことが、次の何かに繋がればいいかなって思ってます。
ーー『王家』との、そういう繋がりもいいですね。
今後、『王家』の楽曲をまたどこかで披露することはないと思うんです。
だから、誰かに聞かせるためにやっているわけではなくて。でも、ミュージカル楽曲を練習しておくことは、いいことなんじゃないかなって思うんです。
以前、自分で録音したのを改めて聴くと、“ああ、昔よりは少しだけど、うまくなったんだなぁ”って。そういう進化や変化が分かるんです。
この1年間は『王家』の曲ばかり歌ってましたから。
昔はJ-POPが大好きで、流行りの曲はすぐにダウンロードして聞いていたけど、今は、最近の曲もあまり知らないんです。
48グループにいた頃も、自分の学生時代と比べると、流行りの曲を聴くことは少なかったけれど。
でも、歌番組で一緒に出演したアーティストさんの最新曲を“素敵だな”と思ってダウンロードしたり、いただいたCDを聴いたりしていました。
それが、卒業してからは、アーティストさんとの関わりも少なくなって、“歌を歌う”ということから離れすぎていたというか。だから、さみしくて。
それもあって今は、自分が歌える『王家』の曲を歌ってます。
もし、また再再演があって、お話がきたらということも考えて、そのときに“成長できていたらいいな”って。そういう思いも、心の中にあったりします。
ーーずっと同じ楽曲に携わっていると、その曲を歌うことで、その時どきの自分の“声の調子”も分かるのではないですか?
そう、そうなんです!
気づいて、ショック…
“裏声でしか出せなかったのに、今は地声で出せるようになった”とか。歌い慣れて、喉が覚えてくれた、というのかな。
でも、私の場合、“1年という時間をかけなければ、ここまでになれないんだ”と気づいて、ショックを受けました。。
でも、「本番は1年後です」って言って楽曲を渡されることは、外国ではあるのかもしれないけど、まずないと思うんです。だから、いただいた楽曲にすぐ対応できるように、そうならなきゃいけないと思うんですけど…。
そうそう! この間、濱田めぐみさんのラジオにも呼んでいただいたんです。そのときもいっぱいお話をしました。
めぐさんも「初演のときは、“王家ロス”あったよね」って言ってました。
再演が終わった後は、皆、“やりきった! ”とか、“乗り越えた! お疲れさま! ”っていう思いがそれぞれにあったからか、「すっきりと、違う気持ちになれたよね」って、めぐさんも言ってました。
ーー以前、初演の本番をしながら、“次のお稽古”へ向かう共演者さんを見て、“さみしくなる ”という話をしてくれましたよね。(第5回)
そのときの気持ちは今でも覚えてる(笑)
共演者さんから「次の作品の稽古へ行く」って聞くと、ええッーー!? さみしい(泣)っていう気持ちに、いつもなってました。
でも再演では、最後が大阪での公演ということもあってか、共演者さんたちも次の作品のお稽古へ行ける状況ではなかったんです。
だから皆の中に、大阪での本番を楽しみながら、オフのときも“他のことは考えずに今を楽しもうよ”っていう空気感が流れていたというか。
それもあって、初演のときのように“さみしい”って思わなかったんだと思います。
だから、地方公演はすごく大事!! 今回、学んだ!! あと、地方公演でおいしいもののよさを知って、舌が肥えちゃった。えへへ(笑)
今は、『王家』のDVDが発売されるのが待ち遠しいです。自分を観るのは恥ずかしいけど(汗)
ーー10月には、DVDの発売も予定されていますよね。
はい!
撮影カメラが入ったのは、再演の幕が開けて数回目の公演だったから、DVDを見たら、
ゥワヮァァァァァ…(汗)
って、恥ずかしくなっちゃうと思う。だから、今、迷ってる。DVDを観るか、見ないか! もし、メイキングが入っていたら、それは絶対に観る! だけど、本編はまだ考え中。。
自分がどう見えていたのかDVDで見たいけど、
ああ…。こんなだったんだ…
って、そのときには戻れないのに反省ばっかりして、いつもヘコむことばっかりだから。今回も絶対にそうなる。だから観るか、迷ってる! でも、すごく楽しみです。
AKB48の後輩『王家』大好きに
AKB48の後輩で、高橋朱里っていう子がいるんです。
朱里は『王家』の舞台を観に来てくれて、すっごい長文の感想をくれたんです。
朱里とはもともと仲がよかったんですが、“ミュージカルが好きだ”ってことは知らなくて。舞台を観て本当に感動してくれたみたいで、
「どうしたら曲が聴けるんですか? 」
って、聞かれたので、「CDも出ていないから、曲は聴けないんだよね」って言ったら、「動画サイトにアップされている動画を観てます」って言ってくれて。
エーーーー!! そんなに感動してくれたの!?
と思って、DVDが発売されることを言ったら、
「予約しました! さや姉と観る約束しました!! 」
って。いい子やなぁ。。 って思いました。朱里はすごく『王家』にはまっちゃったみたいです。でも、そういうのはすごく嬉しいです。
DVDは、舞台を観に来てくれた人も、来れなかった人も、たくさんの人に観てほしいですね。
ーー待ち遠しいですね。
10月ですから、すぐにきますよ(笑)
ーー(笑)。そして舞台は『王家』から、本番を間近に控えた『ピーターパン』に移りましたね。
はい!
役の難しさを実感
今回私がやらせていただく“タイガー・リリー”の役は、今までのどの役とも違っていて、今、難しさを実感してます。でも難しいからこそ、すごくいい経験になるんじゃないかなって、思っています。
ーータイガーリリーは、インディアンのプリンセスなんですよね。
はい。今は、試行錯誤しながら立ち稽古中です。(編集部註:取材日は7/7)
まだ完全には整っていないんですが、役の難しさを感じながらお稽古してます。
ーーこれまでになかった“難しさ”がある?
そうですね。演出家の藤田(俊太郎)さんに
「佐江ちゃんのそのままでやっていいよ」
って、言われるんです。だけど、今はまだ、どうやっていくかをさぐりながらやっているという感じで。
インディアンの役なので、台詞もこれまでの台詞とは違っているんです。何ていうのかな…。
ーーインディアン語、ですか?
そうですね。
単語と単語をつなげたような台詞というのかな。だから、いつものまま「そのままでやっていいよ」って言われていても、それが難しいというか。
タイガー・リリーは“凛”としていて、“芯の強い”女性なんです。
ーーこれまでは、宝塚出身の役者さんも、タイガー・リリーを演じていらっしゃいましたよね。
そうですね。
自分をどこまで出すか、出さないか
私の中にも“強い”部分はあるけれど、でも、“強さ”にも色んな種類があると思うんです。私の場合は、タイガー・リリーのような、“まっすぐ芯の通った強さ”ではないと、自分では思っていて。
だから、タイガー・リリーの強さを“演じる”ことはできても、そこに自分がもっているものを、どう出すのか、それとも出さないほうがいいのか。
「宮澤佐江が持っている“気質”が出ていないよね」
って、演出家さんではないけれど、他の方から言われたこともあって。でも、それをどうやっていくか、まだ、さぐりながらやっている段階です。
ーーその点、『王家』のときは、舞台の設定は“古代”ではあるけれど、キャロルは、“現代”の女の子でしたからね。
そうなんです。
古代人じゃなくて本当によかったと思っていて。だからキャロルの場合は、役づくりというものを、そこまで意識せずに臨めたんです。だけど今回は、役づくりというものをしないと、成り立たないんじゃないかと思っています。
でも、今までにない経験だからこそ、すごくいい経験になると思うんです。
これから自分を信じてタイガー・リリーを作っていって、本番では完成させたタイガー・リリーを、皆さんに見ていただけると思っています。
本番が始まってお客さまの前に立ったら、魂が生き始めると思うんです。
それが今、自分で見えていて。だからこそ、今は“もどかしさ”も感じながら試行錯誤している、という感じです。
ーーひと口に“ミュージカル”とくくれませんね。毎回、悩みも変わってきますし。
悩んで成長していく
そうですね。毎回、変わる悩みを“楽しい”と思えるようになれば、気持ちもラクになると思いますけど…。
早く、“楽しい”って思えるようになりたいな。
本番になると、いつも楽しいんだけどなぁ!
ーー本番前のこの時期は、これまでも何かしらの“悩み”がありましたよね。
うん…。
あ…、私、もう、弱音吐いてる(汗)
でも、多分、こういうのも“慣れ”なんだと思います。
今は、“自分の思っていることを悪いと思わないようにしよう”と、心がけています。自分に自信がないから、人に言われたことを鵜呑みにしちゃうことが多いんです。
でも、鵜呑みにするのがいいことなのかどうか、最近は考えるようにしています。
自分が“こうだ”と思ったものを追求すべきか、それとも人に言われたことを自分になかった“新しい考え”として受け入れるか。
これまで、人に言われたことに対して、それに“応えていきたい”と思ってお仕事をしてきたんです。いつも“誰かのために”仕事をしてきているから。
ーー『ピーターパン』の開幕まで、もうあとわずかです。(編集部註:取材は7/7)
ん? 海外?
え!? あわわ(汗)
ーー今日は、7/7で七夕ですからね。
あーん、今年はまったく七夕を意識してなかった。でも、「ピーターパン」がいいものになるといいなぁ。
それ以外は、願い事なしッ!
ーー(笑)。そんなさみしいこと言わないでください! プライベートでは?
お仕事以外だと、今は何をしているときが一番楽しいかなぁ。。
海外のことをネットで検索している時間が、一番楽しいかなぁ。。
ーーもしかして、この夏の予定を立てているとか?
はいッ! もう、行くところ決まってるんですよぉーー!
数日だけど、夏の間に行ってきます! 暑いから日焼けしちゃうなぁーー。日焼けして肌が黒くなるから、ナイルの女神は今年の夏で、卒業でっす!
ーーうーむ、興味津々です。それでは次回は“佐江ちゃんの今年の夏”をテーマにお聞きしていくことにしましょうか。
はーい!
ーーそれではこの続きはまた次回の「ミラチャイ」連載で。今回も、たくさんのお話、ありがとうございました!
ありがとうございました! 毎日暑い日が続いているけれど、皆さん、体調はいかがですか? 熱中症などにはくれぐれも気をつけて! 次回は、この夏の出来事などもお話していきます。どうぞお楽しみに!
撮影:増田慶 スタイリング:藤井エヴィ ヘア&メイク: 伊藤遥香
次回の更新は、7/28(金)予定です。

ウレぴあ総研

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