日本のプログレッシブロック10選 圧
倒的サウンドで1970年代を席巻したア
ーティストを紹介

GODIEGO

1975年に結成された6人編成のプログレッシブロックバンド、ゴダイゴ。当時の日本、プログレッシブロックはメインストリームではありませんでしたが、その中でプログレを世に広めた存在です。
1979年をピークに社会現象的人気だったゴダイゴですが、実は前衛的だった音楽は日本におけるプログレッシブのパイオニアでもあります。
2ndアルバム「DEAD END」は、彼らのアルバムの中では最もロック色が強く、袋小路(デ ッド・エンド)の様な混沌とした社会状況をテーマとしたコンセプトに基づいた作品に仕上がっています。暗く重苦しいコンセプトながら多様なジャンルのエッセンスを盛り込み、タケカワユキヒデの優しい歌声の癒し効果でさほど暗さを感じさせず豊富なアイデアを詰め込んだ楽曲も、 ミッキー吉野のピアノ、ハモンド・オルガン、シンセサイザー、クラビネットと様々なキーボードを駆使して奥行きのある音楽空間を作り上げる能力、躍動感に溢れるピアノ演奏能力をはじめとする凄腕メンバーによる演奏技術や表現力も素晴らしいです。
日本人離れした楽曲や演奏に加えて、歌詞が全て英語なのでヴォーカリストが日本人でなかったら日本のミュー ジシャンとは気づかない印象の強いバンドだと思います。 また、この当時の赤と黒を基調にしたジャケットはかなりクールで、「袋小路」というイメ ージを小難しいイラストなどではなく、メンバーの写真で表現できるあたりはデザインとしても観念的なものが先行していたニュー・ロックの変遷を感じさせます。
日本のプログレバンドを語る上でかかせないバンド。必聴です。

Flower Travelin’ Band

内田裕也がプロデュースしたバンド、フラワー・トラベリン・バンド。1970年から3年間、2007年から現在も活動しているロックバンドです。プログレッシブロックのほかにサイケデリックやハードロックの要素を併せもつバンドです。
1970年にデビューしましたが、日本よりカナダやアメリカに進出して成功しました。現在ではヨーロッパでも日本を代表するバンドのひとつとして必ず紹介されています。ヴォーカルはジョー山中。歌詞を全部英語にしたのも外国で成功の理由だったのではないでしょうか。しかし、活動当初の日本では、歌謡曲がメインで技巧的なバンドや英詩は受け入れられませんでした。なので、当時のリスナーであっても、彼らの存在を知らない人も多いかと思います。
お勧めしたいアルバムは1971年リリースの2枚目「Satori」です。アルバムは全体的にサイケデリックとプログレッシブを融合した幻想的な雰囲気ですが、和風のメロディを取り入れているので日本的情緒が漂います。これぞ和風プログレ。ジュリアン・コープやデビッド・ボウイも高く評価するほどのレジェンド。ジョー山中の他界後の現在も、世界を股にかけて活動を続けています。

カルメン・マキ&OZ

カルメン・マキは1969年から活動しているロックミュージシャン。
ジャニス・ジョプリンに憧れたカルメン・マキの、力強く情緒あるヴォーカルが素晴らしいバンドです。お勧めのアルバムは75年リリースの「カルメン・マキ&OZ」。
当時イギリスで流行していた、ハードロックとプログレッシブロックをとても上手くプラスしています。春日博文の哀愁あるギターソロには涙が出そうになります。「私は風」など11分を超える長い曲もありますが、全く長く感じません。逆に、「もっと聴きたい!」と思うほど。アルバム収録曲は全て名曲、日本のロックが始まった頃においての名盤と言える作品です。
カルメン・マキのパワーのある歌声と歌詞がバンドのハードな演奏と最高に絡みあう、日本人による最高のブリティッシュロックぜひ聴いてみてください。

四人囃子

四人囃子は1971年から活動しているロックバンド。
1971年の結成以来、活動休止と再開を繰り返している伝説のバンド、四人囃子。1970年代のブリティッシュロック黄金期に、ブルースロックやプログレの影響を大きく受けて作り上げられた、これこそ日本のプログレッシブロック。
必ず聴いておきたいのは、1974年のデビューアルバム「一発触発」です。プログレッシブロックに代表される幻想的な歌詞や、1曲が10分以上という長さ、そして何といってもメンバーそれぞれの素晴らしい才能が集結した素晴らしい作品。何しろ当時は18歳でピンクフロイドの「エコーズ」を完全演奏できるバンドで有名だったということ。その噂もうなずけるほどの優れた演奏力が存分に楽しめます。このアルバムは日本のロック史上欠かせない存在となっています。

サディスティック・ミカ・バンド

サディスティック・ミカ・バンドは1972年結成されたプログレッシブロックバンド。
1972年にデビューしたバンドですが、メンバーは日本のロックを創設したとも言える超豪華ミュージシャン達が揃っています。加藤和彦、加藤ミカ、角田ひろ。そして高中正義が初期メンバーです。
お勧めアルバムは、1974年にリリースされた2作目「黒船」です。1973年の初アルバムがイギリスで好評を得、それを聴いたクリス・トーマスがプロデュ―スをオファーしたそうです。ペリーの黒船襲来をコンセプトにした今作は、ピンクフロイドやビートルズをプロデュースしたトーマス氏の手により、日本のプログレという枠だけではくくれない、世界的に評価される作品に仕上がっています。
この後。サディスティック・ミカ・バンドはロキシーミュージックの全英ツアーに同行します。難解プログレというよりは、明るくてファンキーなノリに近いかも知れません。一流ミュージシャン達の演奏を聴くだけでも価値のある、日本のロックにおける最高傑作と言っても過言ではない名作です。

Apryl Fool

エイプリル・フールは1968年に約半年間のみ活動した日本のロックバンド。ボーカル・小坂忠、ギター・菊池英二、キーボード・柳田博義、ベース・細野晴臣、ドラム・松本零という当時の日本の音楽界を代表するメンバーを集めたスーパーバンドです。その音楽性は、サイケデリックロックと呼ばれておりプログレッシブロックが時々顔を出します。
1969年にアルバム「The Apryl Fool」をたった一枚リリースした後、すぐ解散してしまったバンドです。メンバーにはYMOの細野晴臣や、1980年代のアイドル歌手への作詞で有名な松本隆などが在籍していました。名盤と言われるアルバム「The Apryl Fool」は、ピアノとキーボードをフィーチャーしたとても実験的な音作りが楽しむことができます。
アルバムは欧米でもリリースされ、日本のサイケデリックロックとして高い評価を得ています。ブルースロック、プログレッシブロック、サイケデリックなど、シックスティナインという時代の全てが詰め込まれた素晴らしい作品。音楽の方向性からバンドは解散しますが、その後細野氏と松本氏が伝説のバンド「はっぴいえんど」を誕生させます。

Outer Limits

アウターリミッツは1980年代に活躍したプログレッシブバンド。ベースボーカル、キーボード、ヴァイオリン、ドラム、ギターの5人編成。10年度でいったん活動を停止しましたが、2007年には20年振りとなるアルバムをリリースしています。
1981年にデビュー、主に1980年代に活動したバンド、アウターリミッツ。おすすめしたいアルバムは1985年にリリースされた2作目の「Misty Moon」です。川口貴の奏でるヴァイオリン演奏がとても美しい、プログレッシブロックの中でもシンフォニックロックにより近いサウンドに仕上がっています。クラシックをべースにした繊細な音作りがされており、幻想的な世界に華やかさが備わっています。
不思議な魅力のあるヴォーカルと、感情を表現するかのようなバンドの演奏。まるで心が癒されるような、夢心地な世界が展開します。バンドは現在も活動中。メンバーはオーケストラで楽器を演奏するなど、その実力は確かなものです。一度聴いたら必ずもう一度聴きたくなってしまう、壮大な世界観と優美なサウンドをぜひ楽しんでみてください。

コスモスファクトリー

コスモスファクトリーは1970年から8年ほど活動したプログレッシブバンド。4枚のアルバムをリリースした後解散してしまいました。
1970年代に活動したバンド、コスモスファクトリー。おすすめのアルバムは1976年リリースの3枚目「Black Hole」です。キング・クリムゾンから多大な影響を受けたと思われる楽曲、日本語で歌う日本人によるプログレの解釈。日本語のヴォーカルは独特の情緒があり、取っつきにくさのあるプログレをより身近な存在へと導いてくれます。
中でも注目したいのがギターの音色。ギター演奏が抜群に上手いので、ソロの部分は特に聴き応えたっぷりです。彼等はこの頃来日したイギリスのロックバンド、ムーディ・ブルースやハンブルパイなどのオープニングアクトも務めています。ジュリアン・コープは自署「Japrocksampler」でこのバンドを紹介。1977年には解散と短い活動期間でしたが、現在でも日本を代表するプログレッシブバンドとして語り継がれている名バンドです。

Far East Family Band

ファー・イースト・ファミリー・バンドは1970年代に活躍したプログレッシブロックバンド。
シンセサイザー奏者として世界的に有名な喜多郎が、ミュージシャンとして活動を始めた頃に在籍していたバンド、ファー・イースト・ファミリー・バンド。まずは、クラウス・シュルツェがプロデュースした1976年リリース「多元宇宙の旅」を聴久ことをおすすめします。オープニングから、トライバル色が非常に強く、現在のアンビエント、トランスに繋がる音楽のベースを感じることができます。
それもそのはず、宮下文夫はヒーリングミュージックで、クラウス・シュルツはエレクトロニカで、それぞれ後世に多大な影響を与えた人物。サウンドは、アルバムジャケットの絵をそっくりそのまま音にした雰囲気。日本人のヒッピー達が宇宙でゆらゆら船に揺られながらシュールな世界へ。プログレですがエレクトロニカとしても楽しめる楽曲です。

the HIATUS

ザ・ハイエイタスはELLEGARDENというバンドの細美武士を中心としたさまざまな音楽ジャンルのアーティストの融合体であり、バンドと言うよりは新しい芸術集団の様なプログレッシブロックらしい革新的な形態をとっています。メンバーそれぞれが個々の音楽活動もしっかり行っており、ハイエイタスとして集まればその音楽性を持ち寄りつつ見事に新しい音楽を作り出して素晴らしいライヴを行います。
国内の大型ロックフェスにも多数出演、その繊細なメロディーとジャンルを超えた新しく激しいロックの世界は多くのオーディエンスを熱狂させています。
おすすめの1枚は「ANOMALY」。特に1曲目の「The Ivy」は沢山の音の重なりがロックを超えた芸術作品の様に感じさせる曲でクラシックや映画音楽の雰囲気さえ感じさせます。続く収録曲すべても美しいメロディーで考え抜かれて作られており、全曲どの曲にも心を震わされる秀作アルバムです。

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