【J】
『J 20th Anniversary Live Tour 20
17 W.U.M.F.』
2017年6月25日 at EX THEATER ROPPO
NGI
“これから先は未開の地。次は…120周
年とか?(笑)”
ソロデビュー20周年記念のベストアルバム『W.U.M.F.』を掲げた全国ツアーがファイナルを迎えた。ソロ1stシングル「BURN OUT」が世に放たれた記念日にJが示したのは、次の扉めがけて走り続けるという覚悟だった。
“20周年ってもっとこう…落ち着かねぇ? 反比例しました(笑)”と自身の活動を評すると、“今夜、悪いことしようぜ!”と焚き付け、囁いた曲タイトルは“GO with the Devil”。ドス黒く重いグルーブで異界へトリップさせ、「Die for you」では髪を振り乱してどこまでも強く、激しく。ここから次の「I know」へと切り替わった瞬間、空気が一変、ハッと息を飲む。青と黄色のライトがメロウな歌とまるで呼吸を合わせるかのように明滅。最後は真っ暗な中、ピンスポットに射られながら歌い終える凛とした姿に目を奪われた。“あっと言う間の20年だったけど、とんでもない熱量、時間を過ごしてこられたと思う。みんなのおかげです、ありがとう!”とJは感謝を述べて、「When You Sleep」をロマンチックにしっとりと歌い奏でた。続く「ACROSS THE NIGHT」はベストアルバムの選曲リクエストでファン投票1位を獲得したミディアムバラード。眠れない夜をいくつも越え、夢に向かって進んでいく者たちを《おまえは美しい》と讃え、《壊れたのなら また最初から 創り始めればいいさ》と励ます、懐の深い曲だ。このやさしくも力強いメッセージが真っ直ぐにこちらの耳に、胸に届いてくるのは、J自身が今なお立ち止まることなく闘い続けている先導であり同士だ、と思えるからだろう。
心の深い場所で感じ入ったあとは、再びフィジカルな解放感を楽しむシークエンスへ。“普段の5倍ぐらい、イケる?”と煽り、「Go Charge」で会場を熱気の渦に巻き込むと、ライヴに欠かせないアンセム「PYROMANIA」を投下。“この東京、全部燃やせ!”“やっちまえ!”など危険なシャウトを歌詞に織り込だり高笑いしたりと、振り切れたテンションのJ。柔らかいギターアルペジオに乗せ、観客が一斉にライトを灯す場面は嵐の中の一瞬の凪。いつ見ても美しく、溜息が零れた。ファイナルらしい事件が起きたのは、この直後のこと。“この会場で一番イカレた奴は誰だ?”と獰猛な野生動物のようにギラギラした様子で尋ね、狂乱のアンサンブルを鳴らし続けた「LIE-LIE-LIE」。ダイブが巻き起こるフロアーになんと、J自身が飛び込んだのである。どよめきは熱狂を高め、大いなる盛り上がりの中、本編ラストの「Evoke the world」へ。マーチ風に細かく打ち鳴らされるスネアに乗せ、ゆったりとした歌を届けるJは、穏やかな笑顔を浮かべていた。
本編終了後、ただちに“J!”コ-ルが発生し再登場すると、“97年の頃、いちベーシストがソロを始めるなんて、“大丈夫かあいつ? 無理だろ?”みたいなところから始まった”と始動時を振り返りながら、支えてくれた仲間たちに“感謝という言葉しかありません”とJ。“この20年間は俺だけの20年ではないです。みんなにとっての20年。証明できたのは、“やればできる”ってこと。だからこそ、次に行かなければいけない。これから先は未開の地。30周年とか50周年とか、100周年とか、120周年とか?(笑)”と冗談めかせながらも、“音楽はそれぐらい遠くまで飛ぶエネルギーを持ってる”と真っ直ぐな言葉を口にした。メンバー全員で20回キメを鳴らした「Endless Sky」を含め3曲を披露。鳴り止まぬ再びの“J!”コールに呼び込まれ、放ったのは「NEVER END」。これほどまでに揺るぎない未来への宣誓があるだろうか。壁をぶち壊しながら前へ前へと進んでいく、Jという男の変わらぬ熱さを目の当たりにした夜だった。
撮影:浜野カズシ/取材:大前多恵
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