コンゴで釣り上げたムベンガは、現地人によってトマト煮込みに

コンゴで釣り上げたムベンガは、現地人によってトマト煮込みに

怪魚、キリン、ライオンまで食ってき
た!自然写真家&怪魚ハンターが語リ
尽くした冒険「珍!?エピソード集」

日本ではなかなか食べることのできない“あの動物”の味……気になりませんか? 冒険をライフワークとする自然写真家・山形豪さんと、怪魚ハンターの小塚拓矢さんが、これまでに口にした「変わり肉」の思い出を語ってくれました。

去る2017年4月20日、LOFT9 Shibuyaにて、自然写真家・山形豪さんと怪魚ハンター・小塚拓矢さんのトークイベント「冒険を“仕事”にしよう!」が開催された。
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冒険をライフワークとし、文字どおり“冒険でメシを食ってきた”山形さんと小塚さん。イベントでは、彼らがこれまでに食した「変わり肉」のエピソードがたっぷりと語られた。
ライオンやキリン、カバといった動物園の人気モノから、体長1メートルにも達する超巨大魚まで、お二人に共通するのは「日本ではまず食べることのできない動物の肉を口にしてきた」ということ。
しかし、写真家である山形さんの活動場所は、アフリカのサバンナ。ゆえに撮影場所は野生動物のみが生息する未開の地であることが多い。そんな場所には当然レストランなどあるはずもなく……肉にありつけない日は、一体何を食べているのだろうか?
山形さん:野生動物の撮影チャンスは突然やってくるので、食事はいかに時間と手間をかけずに食べられるかを重視します。なのでオートミールなどのシリアルや、クスクスという小さなパスタをお茶漬けの素と合わせた“クスクス茶漬け”なんかをよく食べますね。
ライオン肉にキリン肉、果てはカバ肉も!?アフリカの一部のレストランやサファリロッジでは、野生動物の肉を提供しており、日本では手に入らないような珍しい肉を食べることもできる。山形さんも今まで様々な肉を食べてきたというが、ボツワナでは現地ガイドが入手したライオンの肉を食べる機会があったそうだ。はたしてライオンの味は一体……?
山形さん:ライオンは今まで食べた肉の中で一番まずかったですね。味はとにかく生臭くて、筋っぽかったです……。まぁライオンは筋肉質なので仕方ないとは思いますが。他にもキリンやカバを食べたことがありますが、どちらも独特の臭みとパサパサした食感で、美味しくはなかったですね……。
基本的に大型動物になる程、肉は大味になる印象ですが、バッファローなどのウシ科の動物は、干し肉にすると味に明確な差が出るので興味深いですよ。肉で一番おいしかったのはイボイノシシですね。
怪魚の味は肉に近い!?
怪魚の味は肉に近い!?山形さんは基本的に一人で行動し、食べ物も持参することが多いというが、一方で怪魚ハンターの小塚さんは現地でチームを組み、食事も可能なかぎりは現地のものを食べるようにしているという。
小塚さん:僕の場合は、まずは現地の情報通であり、共にスリルを楽しんでくれる人と仲良くなることが冒険の始まりです。なので僕にとって食事は大切なコミュニケーションの機会。
基本は現地の人々が食べているものを一緒に食べますが、日本から持参した調味料で僕が料理することもあります。パプアニューギニアではライギョをムニエル風に調理したら村で大流行して、以降ライギョが獲られすぎて釣れなくなったこともありました……(笑)。
同じ釜の飯を食べて信頼関係ができた時、いよいよ秘境での怪魚釣りが始まる。可能な限り釣った魚は生きて返すが、釣り上げた後に息絶えてしまうことも。
小塚さん:釣った魚を死なせてしまった場合は、すべて食べるようにしています。怪魚の味は、実はみなさんが釣って食べる魚と大差ないんですよ。白身魚を大味にした感じです。
でも巨大魚は筋肉の一つひとつが大きいので、食感は肉に近いです。あと、部位によって味が違うことがある点も肉みたいですね。ただ現地の調理法は……日本ほど繊細な料理でないので、味の差がわかりにくい。揚げたら、概ね同じ。さらにアフリカでは、魚を油で揚げた後にトマトで煮込むのが主流なので、ほぼ同じ味になってしまうんです(笑)。
僕がアフリカでムベンガを釣った時は、揚げたてのカリッとした食感を楽しみたかったのですが、ちょっと目を離した隙にトマト煮込みにされてて落ち込みました……(笑)。
今まで食べた中でおいしかった怪魚は、ヨロイナマズですね。全身骨だらけのヨロイナマズは、スープにしたら骨からダシがでてめちゃくちゃおいしかったですね。
命の危機を感じたトラブル
命の危機を感じたトラブル未知なる世界に足を踏み入れれば、身の危険にさらされることも……。山形さんは過去の冒険で、車をスピンさせてひっくり返したり、海賊に襲われたりしたこともあるのだとか。そんな彼にとって、一番の恐怖体験はなんなのだろうか?
山形さん:カバに追われた時には、本気で命の危機を感じました。カバはおとなしいイメージがあるかもしれませんが、実は顎の上下にある大きな牙で噛みつくんですね。
あの時はナミビアの川にいたカバを夢中で撮影していて、目があった直後にこちらに向かってきたんです。その瞬間のギョロっとした目と唸り声は忘れられません。もしその時に死んでいたら、僕の遺作はそのカバのショットでしたね。
小塚さんもデンキナマズを釣った際に感電するなど、対怪魚ならではの危険な目にあっている。しかし、これまでの旅で最も恐ろしかったのは動物ではなく、意外にも人間だったそうだ。
小塚さん:僕が死を感じたのはタンザニアの国立公園で撃たれたことですね。夜に車で移動中、星があまりに綺麗で見とれていたら、前方に赤い光が三つ見えました。何だろう? と思った瞬間パパパパーンッと銃声が! 強盗目的の襲撃でした。
幸いにも弾は僕らには当たらず、タイヤも三輪は無事だったので、そのまま急いで逃げました。
危険な目に遭いながらも、冒険にはそれに勝る喜びと感動が満ちている。なぜ冒険に行くのか? それはきっと行った人にしかわからない。そして誰もしたことのない冒険が出来たなら、もしかしたら冒険そのものが仕事になるのかもしれない。
小塚拓矢 1985年富山県生まれ。幼い頃からの魚好きが高じて東北大学理学部でハゼの研究をする事に。学生時代から研究と並行して、ジャングルを旅しながらそこに潜む怪魚を釣り上げる事に没頭する。卒業後、2012年に古代魚シーラカンスを釣り上げる事を定款とした株式会社「モンスターキス」を設立し、現在まで49カ国を釣り歩く。
山形豪 1974年群馬県生まれ。少年時代を西アフリカのブルキナファソ、トーゴで過ごし、大自然の美しさに魅了される。国際基督教大学高校を卒業後、東アフリカのタンザニアに渡り、野生動物や風景の写真を撮り始め、写真家を志す。2000年以降は、南部アフリカを主なフィールドとして、野生動物や風景を撮り続ける傍ら、より多くの人にアフリカの自然を体感してもらうべくサファリツアーのガイドとしても活動している。

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