おすすめ書籍:政略結婚/高殿円(KADOKAWA)

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気になる 江戸、明治・大正、昭和を
生きた女たちの大河ドラマ

読めば心が軽くなる! 高殿円の新作小説『政略結婚』井上真央主演の「トッカン」シリーズや、竹内結子主演の「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズなど、数々のヒットドラマの原作者である高殿円。今回も異なった時代を生き抜く女性たちの波乱万丈の人生を綴ってくれます。江戸末期から続く、その時代その時代のお姫様の話、と聞くと俄然興味がわいてきますよね。
最初の主人公は加賀藩・前田家に生まれた女性。生まれながらにして支藩である大聖寺藩の次期藩主に嫁ぐことが決まっています。江戸も長くなると、大名はそれぞれの娘たちの嫁ぎ先にも難儀し、後継ぎが亡くなれば養子を取るのも一苦労。主人公は何度もお家断絶の危機を乗り越えながら、なんとか大聖寺の家を存続させます。
次の主人公はやはり加賀藩の分家の出身。子爵という地位を与えられながらも父親が実業で成功したためにヨーロッパで育ち、先進的な感覚をもったまま日本に戻ってきます。日本の家での古い価値観に屈せずに自分らしい生き方を貫こうとしますが、年頃になった時、やはり「家」というものの重さが人生にのしかかってきます。
最後の主人公は没落華族の娘。昭和の恐慌で何もかもなくし、母と共に新宿のレビュー劇場の舞台に立つことになります。2人の夢は、昔住んでいた瀟洒な洋館を買い戻すこと。やがて女優となった娘は、「華族女優」と呼ばれるようになります。
金沢の地からスタートし、東京で終わる物語。それぞれの女性たちに直接の血縁はありませんが、読み進むうち、彼女たちを結ぶ不思議な縁も見えてきます。政略結婚で引き継がれてきた血の中で、彼女たちがどう自分らしく生きてきたか。読むと、いま生きる私たちも元気になれる小説です。
『政略結婚』は1500円(税抜)でKADOKAWAより発売中
(文/吉田直子)
おすすめ書籍:政略結婚/高殿円(KADOKAWA)
http://books.rakuten.co.jp/rb/14976633/

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