【毛皮のマリーズ】『毛皮のマリーズ
TOUR2011 “Who Killed Marie ?”』
2011年12月5日 at 日本武道館

撮影:有賀幹夫/取材:土内 昇

メジャー3rdアルバム『THE END』の店着日である9月6日に、日付が変わった頃を見計らって突然発表された解散。それによって初の武道館公演がラストライヴとなったわけだが、武道館だからと派手なセットがあるわけでもなく、解散だからと湿っぽくもなく、アンダーグラウンド感たっぷりのロマンチックなロックンロールをぶっ放し、特別感などないライヴが展開された。「REBEL SONG」で幕を開け、「ボニーとクライドは今夜も夢中」などの甘味で刺激的なロックンロールを畳み掛け、武道館を魅惑的な毒気で侵しにかかるマリーズ。中盤に入ると「ラストワルツ」などの濃厚なミッドナンバーが、美しくも哀愁感が漂う音世界の深みへと観る者を飲み込んだ。この場所が武道館であることを忘れるほど、マリーズの独擅場となっていたことは言うまでもない。その後も「Mary Lou」などの代表曲で観客を魅了し続け、志磨遼平(Vo)が“さらば、青春! こんにちは、僕らの未来!”と叫んだ「ジャーニー」で佳境を迎えると、大合唱を誘った「ビューティフル」で本編が締め括られる。志磨が吐く言葉に“武道館”という言葉はあっても解散には触れず、いつもと変わらないパフォーマンスが繰り広げられたライヴ。
 しかし、“ラスト”を意識させる瞬間はあった。アンコールで「YOUNG LOOSER」を披露し終わった後の沈黙だ。歓声を全身で受け止めるように、客席を見渡す4人の姿が印象深い。そして、“これが最後だ ―ああ、素晴らしき人生!”と咆哮するように歌った「ジ・エンド」がエンドロールのように終幕を告げる…。
 まさにマリーズだからこそのロックを鳴らし、マリーズだからこその“最後”を演出したライヴだったと言えるだろう。

セットリスト

  1. REBEL SONG
  2. ボニーとクライドは今夜も夢中
  3. 人間不信
  4. 愛する or DIE
  5. ガンマン、生きて帰れ
  6. ラストワルツ
  7. それすらできない
  8. ダンデライオン
  9. BABYDOLL
  10. すてきなモリー
  11. コミック・ジェネレイション
  12. Mary Lou
  13. The Heart Of Dixie
  14. JUBILEE
  15. HEART OF GOLD
  16. ジャーニー
  17. ビューティフル
  18. YOUNG LOOSER
  19. ジ・エンド
毛皮のマリーズ プロフィール

志磨遼平(vo)、越川和磨(g)、栗本ヒロコ(b)、富士山富士夫(dr)の4人で活動するロック・バンド毛皮のマリーズは、06年9月に1stアルバム『戦争しよう』を発表。70年代パンク/グラム・ロック、寺山修司などの影響を過剰にデフォルメしたサウンド、そして破壊と狂乱のライヴ・パフォーマンスで一躍注目を浴び、全国各地に中毒患者を一気に増殖させる。

07年12月にリリースされた2ndアルバム『マイ・ネーム・イズ・ロマンス』では、おとぎ話の有馬和樹(vo)、ソウルフラワーユニオン奥野真哉(key)がゲスト参加した本作は、アメリカの古き良き黄金時代をモチーフとしたコンセプトによる作品で、マリーズの音楽性の奥深さも表現された作品として反響を呼んだ。

08年にはTHE BAWDIESとのスプリット・ツアーやミドリとの共演も相まって、全国各地でソールド・アウトを連発、同年5月に1stミニ・アルバム『Faust C.D.』をリリース。2ndアルバムの煌びやかさとは相反するバイオレンス度500%の戦慄の怪作が誕生した。悪魔に魂を売り渡したかの様なサウンドは、彼らのライヴ・パフォーマンスの狂気を音源にも封じ込めた凄まじさだった。この年には『AOMORI ROCK FESTIVAL'08』『COUNTDOWN JAPAN 08/09』などにも出演、さらにはニューヨークドールズとの夢の共演を果たし、観客の度肝を抜いた。

09年4月に3rdアルバム『Gloomy』をリリース。常に前作を裏切り続ける毛皮のマリーズの新たなサウンドが全編にみなぎるロックの金字塔的傑作であるこのアルバムは、オリコンアルバム総合チャートで初登場51位を記録。<タワーレコード>インディーズ・チャートは堂々1位を記録。そして10年4月、<コロムビアミュージック>よりアルバム『毛皮のマリーズ』でメジャー・デビュー。毛皮のマリーズの時代が彼らの手の届く地点に近づいてきている。
毛皮のマリーズ オフィシャルサイト
公式サイト(レーベル)
公式サイト(アーティスト)

OKMusic編集部

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