【ムック】『MUCC history GIGS 97~
11』2011年5月22日 at 日本武道館

撮影:畔柳ユキ、緒車寿一/取材:ジャガー

 最新アルバム『カルマ』のツアーファイナルを昨日終えたばかりのムックが『MUCC history GIGS 97~11』と題し、これまでの軌跡を凝縮した濃密ライヴを行なった。
静寂を破るおどろおどろしい旋律が鳴り響き、ほのかに照らされたステージに会場中の視線が集まる。紡がれる音、放たれる言葉、声と息づかい、その全てが生々しく、耳にするだけで体温が上昇していくのが分かる。そんな「アカ」で宴の幕開けが告げられると、普段のライヴではなかなか聴けない懐かしの名曲たちに、曲が始まる度に客席が大いに沸いた。中でも、ミュージックビデオをバックに当時と現在のムックが競演した「我、在ルベキ場所」でのオーディエンスの熱狂振りには目を見張るものがあった。
 SATOち(Dr)とYUKKE(Ba)の重厚なリズム隊にミヤの刺々しく突き刺さるギター、そこへ逹瑯が獣のように荒々しく歌えば、聴き手が重く蓋をしていた感情すらも吐き出させ、本能のままにグチャグチャに掻き乱す。既存の枠を破壊し、その上に新たな己を築き上げるバンドの姿勢そのものがひとり、またひとりと伝わっていく。
 そして、最後は武道館会場限定で販売された「暁」を披露。壮大かつ温もりにあふれたメロディーの美しさと優しいメッセージが身に染みた。直情的に感情を吐露する激しい音楽も、聴き手の心に寄り添う音楽もどれもムックの一部であり、それが全てでもある。これから先、どんな光景を造り上げていくのだろうか。共に歩んで行きたいと思った。

セットリスト

  1. アカ
  2. 絶望
  3. 最終列車
  4. 盲目であるが故の疎外感
  5. 君に幸あれ
  6. 我、在ルベキ場所
  7. メディアの銃声
  8. ママ
  9. 25時の憂鬱
  10. モノクロの景色
  11. ココロノナイマチ
  12. 雨のオーケストラ
  13. 2.07
  14. 茫然自失
  15. 梟の揺り篭
  16. 路地裏 僕と君へ
  17. 志恩
  18. 商業思想狂時代考偲曲
  19. およげ!たいやきくん
  20. 娼婦
  21. スイミン
  22. 9月3日の刻印
  23. 謡声(ウタゴエ)
  24. 流星
  25. フライト
  26. ロバートのテーマ
  27. 夢の街
  28. 優しい歌

OKMusic編集部

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