【阿部真央】『阿部真央らいぶNo.1』
2010年4月18日 at SHIBUYA-AX

撮影:土田和彦/取材:石田博嗣

 今までに何度か彼女のライヴを観たことがある。1曲歌い終わるたびにチューニングし直さないといけないぐらい感情的にアコギを掻き鳴らし、噛みつくように歌っていた。まるで、聴く者の記憶に自分を刻み込むように。しかし、ツアーバンドに支えられているせいもあるだろうが、今夜の彼女は心をオープンにして、のびのびと歌っているように感じられた。とはいえ、1曲目からバンドサウンドに押し出されて届く歌声は、やはり力強く、圧倒的な説得力を秘めている。特に、ミラーボールの光の中で愛おしい気持ちを切々と歌い上げた「15の言葉」、10代最後にこの曲が書けて心から良かったと思うと語って披露した「いつの日も」は、歌詞に込められた深い想いがリアルに響いてきた。そして、そんな等身大の自分を落とし込んだ楽曲を、時にじっと聴き入り、時に大いに盛り上がり、全身で受け止めていた客席。阿部真央の想いを綴った楽曲が観客たちの心に共鳴し、彼らのものになっていることが見て取れる。オーラスの「I wanna see you」はもちろん、終演後のBGMで流れた彼女の楽曲ですら大合唱だったことも印象深かった。
 『ポっぷ』というアルバムを完成させたこと、今年の1月に20歳になったこと、多くのファンが自分の歌を必要としてくれていること…そういったことが彼女に刺激を与えたのだろう。10代の頃には持てなかった自分に対する自信が持てるようになったと語っていたが、それは彼女の歌う姿であり、その佇まいから感じられた。以前に本誌のインタビューで“本当に大事なツアー”と話してくれた通り、このツアーで彼女は大きく変わった…いや、変われたんだと思う。

セットリスト

  1. 未だ
  2. want you DARLING
  3. 人見知りの唄~共感してもらえたら嬉しいって話です~
  4. ふりぃ
  5. キレイな唄
  6. 15の言葉
  7. 貴方の恋人になりたいのです
  8. マージナルマン
  9. わかるの
  10. 伝えたいこと
  11. give me your love
  12. loving DARLING
  13. いつの日も
  14. ポーカーフェイス
  15. <ENCORE1>
  16. 母の唄
  17. <ENCORE2>
  18. ロンリー
  19. I wanna see you
阿部真央 プロフィール

アベマオ:1990年1月24日生まれ、大分県出身。06年、高校2年生の時に『YAMAHA TEENS' MUSIC FESTIVAL』の全国大会で奨励賞を受賞。09年1月にアルバム『ふりぃ』でデビュー。感情的なアコギで押し出す、等身大でリアルな歌詞、表現力豊かなヴォーカル、バラエティーに富んだ楽曲、同世代の女性を中心に、幅広い層から注目と共感を集める。14年10月にデビュー5周年を記念して初の日本武道館公演を開催。16年5月、産休明け第一弾シングル「Don’t let me down」で完全復活を果たし、デビュー10周年となる19年1月にはベストアルバム『阿部真央ベスト』を発表し、2度目の日本武道館公演を成功させた。阿部真央 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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