【Dragon Ash】Dragon Ash 代々木公
園野外ステージ 2009年3月3日

撮影:久保憲司/取材:高木智史

 アルバム『FREEDOM』のリリースを前日に控え、代々木公園でのフリーライヴが行なわれた。なお、このライヴは携帯電話、家庭用カメラで撮影ができ、YouTubeにアップをしてコンテストが行なわれるという企画もあり、全てが“FREEDOM=自由”に乗っ取っている。とはいえ、この日は大雪の予報が発令されるほどの寒さで、空は今にも降ってきそうな心配な色。だが、厚着でカッパも着て集まったファンの数は相当なものだった。 寒いと感じたのは場内アナウンスが流れるまでだった。まず観客が一斉にステージ近くに群がっていく。そして、聞いたことのある場内アナウンスの声、口調…アントキの猪木による闘魂注入アナウンスで笑い声とともに“オー!”とか“イエー!”と会場は活気付いていく。アルバムの1曲目でもある「Intro」でメンバーが入場。ラテンな高揚感を誘うサウンドに一気に歓声が沸き、観客は同時にカメラ、ケイタイを掲げ構える。Kjが“レディース・アンド・ジェントルメン! 飛び跳ねろ!”と荒げた声を放つと、まさにオーディエンスは飛び跳ねる。それが前に前にと飛び跳ねるもんだから、柵など突破される勢いで、さらにカメラを持ってる人まで飛び跳ね、それを後ろから観ているとなんだか御神輿を担いでるみたいで…でも、この場がお祭り的な雰囲気になっていることは間違いなかった。熱気は上がり続け、ステージ高台に上がったATSUSHIが赤いマントを翻しながらの情熱的でしなやかなダンスを披露し、さらに大きな歓声で熱気が渦を巻いていた。分厚い音を鳴らすバンド陣によるラウドロックとラテンのトラックを掛け合わせ、ダンスでも魅せるDAの音楽はエンターテインメントさも兼ね備えている。「繋がりSUNSET」「Velvet Touch」と続いてゆき、歌とメロディーも聴かせ、何度もシンガロングが起きる。ここにいるのはフリーライヴという誰でも観覧可能な場であるが、興味本位だけで来た観客ではないことを、その一体感が意味していた。また、「Episode6」ではKjの呼び込みでSBKのSHUNとShigeoがゲストとして登場し、大熱狂! サンバなトラックにヒップホップも融合させ、もう底抜けにパーティーな空間が作られる。ラストは「運命共同体」。先程までの高揚感から、ゆらぎのあるサウンドがグルーヴを生み、最高に心地良かった。 先述にもあるが、あらゆる音楽を取り込み、打ち出すDAの音楽はミクスチャーと呼ばれている。だが、こんなパーティー感を味わえるミクスチャーバンドなんて観たことがない。ラウドもハードもラテンもヒップホップも全てを感じることができるアルバム『FREEDOM』は、まさに“自由”という夢にも近い無形のものを音楽という形で表し、他に比がないことも意味する“独立”を宣言した最高傑作だ。この雑誌が配布されている頃には、このアルバムを引っ提げたツアーが始まっている。そこではさらに奥深い“FREEDOM”が感じられるのだろう。
Dragon Ash プロフィール

ドラゴン・アッシュ:1997年、Kj、IKUZONE、桜井誠の3人でデビュー。その後、BOTS、HIROKI、ATSUSHI、DRI-Vが加入し7人編成になるも、12年にオリジナルメンバーのIKUZONEが急逝。13年、現在のメンバー6人で再び前進することを決意する。今アルバムよりKenKenがレコーディングに全面参加。デビュー時よりあらゆるジャンルを驚異的なスピードで横断し、Dragon Ashとしか表現しようのない音を鳴らし続けている。Dragon Ash オフィシャルHP

OKMusic編集部

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