取材:高木智史

渾身のアルバム『K.O.』を引っ提げて全国を回ったツアーも遂にファイナル。ツアー前にギタリストの脱退と、3人で本ツアーに挑むことが公表されたわけだが、デビュー当時はトリオ編成だったとはいえ、そこに不安を感じなかったわけではない。しかし、先に結論から言うとRIZEはRIZEだった。 開演予定の時刻を少しすぎて、ゆっくりと客電が落とされると、1Fフロアの観客は巨大なアメーバーのごとく蠢き始める。そして、メンバーの登場に歓声を上げ、JESSE(MC&Gu)がかき鳴らす「LADY LOVE」のイントロダクションに呼応するように高揚し、瞬時にして熱を放つ一体のモンスターと化した。前のめりのテンションで噛み付くようにマイクに向い、巧みにギターを操るJESSE。激しいアクションながらも的確なプレイでボトムを支えるKenKen(Ba)。アグレッシブでありつつも絶対的な安定感を誇る金子ノブアキ(Dr)。ギターが1本少ない分は3人のパッションやエネルギーで補填されいて、よりサウンドに込められた感情がむき出しになっていることも特筆すべきところだろう。2曲目のヘビーチューン「ハエ」にしてギアがトップに入り、さらに場内のテンションが上昇したのだが、この時点で“3人のRIZE”に対する不安感など微塵も残っていなかったことは言うまでもない。 その後も、レコーディングに参加したKIDZ RIZERのふたりが登場した意味深な歌詞の「PARADOX体操」、ステージからコンドームをバラ撒いた後に“そんな曲”と言って披露した「Please Oh Please」、JESSEがハンドマイクを持って歌い“憲法第9条を忘れんな、日本人!”と叫んだメッセージソング「heiwa」…など、聴き応えも観応えもあるライヴが展開されていく。そこでも感じたのは、3人の感情が生々しいゆえの親近感である。RIZEの曲は観客と同じ目線でメッセージし、問題提起していることが如実に伝わってきたし、それだけハートフルであり、ある意味でピースフルだった。だからこそ、観客との間に尋常ではない一体感があり、そこには温もりも感じられたのだろう。 “1日でも長くやるから”。これはJESSEが幾度か口にした言葉である。もしかすると、3人だけでツアーを回ったことは、彼らにとって挑戦だったのかもしれない。しかし、ファイナルまでやり切ったことで、バンド力が何倍も高まったことは間違いない。現在の彼らを“新生”と呼ぶとすれば、何度目かの原点回帰を迎えたと言える。つまり、またここからRIZEの快進撃が始ま…いや、すでに始まっている!
RIZE プロフィール

ライズ:1997年、JESSEと金子ノブアキにより結成。00年、シングル「カミナリ」でメジャーデビュー。06年よりKenKenが参加。ロックの“現在”(いま)を圧倒的な熱量で表現する彼らの姿勢は多くのリスナーから支持を得ており、全米、アジアツアーを成功させるなど海外での評価も高い。結成20周年イヤーに突入する16年、メジャーデビューレーベルであるEPICレコードジャパンに復帰した。RIZE オフィシャルHP

OKMusic編集部

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