【椿屋四重奏】椿屋四重奏 代官山UN
IT 2007年12月11日

text:石田博嗣

2008年の年明けにニューシングル「不時着」とニューアルバム『TOKYO CITY RHAPSODY』の発表を控えている椿屋四重奏がプレミアム・ライヴ・イベントを実施! 応募総数約5000通の中から250組500名を招待してライヴを行なうというだけでも十分にプレミアムなのに、いち早くリリース前の『TOKYO CITY RHAPSODY』の曲を、それも収録順に披露するというサプライズな企画が用意されていたのだった。 ライヴはいつも通りの雰囲気の中でスタートしたが、もちろん1曲目「OUT OF THE WORLD」から新曲である。とはいえ、どこか陰りを感じさせる椿屋四重奏らしいドラマチックなサウンドが場内に響き渡ると、観客は探るように曲を聴きつつも、安定感のあるバンドグルーブに体を預けていた。その後も初めて耳にするものの、椿屋ならではの色が濃厚に出ている楽曲たちを酔うように堪能。哀愁を帯びたメランコリックでグルービーな「I SHADOW」やそれぞれのパートの音が複雑に絡み合う混沌とした「パニック」の豊潤なサウンドに体を揺らし、リズムボックスのループとバンドアンサンブルが溶け合うバラード「moonlight」ではじっと聴き入り、2本のギターが煽り合いながら緊迫感を作り出した「ランブル」に腕を突き上げる…など、次々と繰り出される新曲を自然体で受け入れ、貴重なライヴを楽しんでいた。 アルバム全曲の演奏が終わると本編が終了。迎えたアンコールのステージでは、今度は「群青」など定番の曲がプレイされ、客席は言うまでもなく一気に弾けた。そして、ポップチューン「君無しじゃいられない」で大盛り上がりし、大団円を迎えたかと思うと、さらなるサプライズが! アルバムにも収録されていないという未発表曲「流星群」が、少し早いクリスマスプレゼントとして贈られたのである。ピアノ一本をバックに、やさしく温かいメロディーを切々と歌い上げる中田裕二のヴォーカルに惹き付けられ、魅了されていく観客。ある意味、それは彼の力強い歌声に圧倒されていたとも言えるだろう。 しかし、サプライズはそれだけでなかった。アンコールも含め、全てのメニューが終えたメンバーが再びステージに登場し、ひとりひとりがアルバムの印象を語るなど、アットホームな空気の中でトークが繰り広げられたのである。まさに最後の最後までプレミアム! 場内にいた500名のファンにとっては忘れられないイベントになったに違いない。
椿屋四重奏 プロフィール

00年に仙台で結成された唯一無二のロック・バンド。現在のメンバーは中田裕二(vo&g)、永田貴樹(b)、小寺良太(dr)の3人。“和”を意識した楽曲、ライヴを“演舞”と呼ぶなど、艶ロックと称される強烈な個性で日本のロック・シーンに新たな風を吹き込んでいる。主に作詞・作曲を担当している中田は、安全地帯やTHE YELLOW MONKEY、CHAGE&ASKAなどに多大な影響を受けている。
02年に、幾度のメンバー・チェンジを経て、中田、永田、小寺の3人編成となり、03年8月に<DAIZAWA RECORDS>より1stミニ・アルバム『椿屋四重奏』でデビュー。アルバム全体にみなぎる初期衝動と鋭角的なサウンド、そして艶やかに非日常を歌う世界観が巷で話題を集め、その名を一躍全国に轟かす。

04年4月、1stフル・アルバム『深紅なる肖像』を発売。他の追随を許さぬハードでドラマティックな激情サウンドを確立。各地でワンマン・ライヴを成功させ、インディーズながら『ROCK IN JAPAN FES』はじめ全国の夏フェスやイベントに出演。05年6月に1stシングル「紫陽花/螺旋階段」をリリース後、全国各地でパワー・プレイを獲得、テレビ朝日系『ミュージックステーション』などの地上波テレビ出演により大反響を得る。
九段会館でのワンマン・ライヴの際に、サポート・ギタリストとして安高拓郎を新たに迎え入れる。05年9月に第一期・椿屋四重奏を総括した2ndフル・アルバム『薔薇とダイヤモンド』をリリース。その後、06年3月にSHIBUYA-AXで行われた『熱視線IV 〜ENDLESS GAME〜』公演にて、サポート・メンバーとして参加していた安高のメンバー正式加入を発表、晴れて真の「椿屋“四重奏”」となった。4人編成としての新たなスタートを切った椿屋四重奏を世に知らしめるべく放たれた2ndシングル「幻惑」では超攻撃型ロック・ナンバーを披露。同年の大晦日には、バンド史上初となるカウントダウン・ライヴ『ナカノ・サンライズ』を開催。

約3年間のインディーズ活動を経て、07年5月にシングル「LOVER」で<ワーナーミュージック・ジャパン>よりメジャー・デビュー。同年8月には、ダイナミックなバンド・サウンドと文学的に綴られた歌詞によって表現された「恋わずらい」を発表。08年3月には既発シングルを含むメジャー1stアルバム『TOKYO CITY RHAPSODY』をリリース。更に進化した椿屋サウンドとポピュラリティーが見事に結実した傑作が誕生した。このアルバムを引っさげて各地でライヴを開催、企画ワンマン・ライヴ『熱視線』も定期的に行い、シングルの発売が待ち望まれていたが、約1年半年ぶりとなる音源は、09年8月にメジャー2ndアルバム『CARNIVAL』としてリリースされた。

そして、全国31ヶ所32公演『TOUR '09 CARNIVAL』の振替公演が終了直後の10年3月1日、音楽的な方向性の違いにより安高拓郎が脱退。当初のメンバーである3人編成に戻ったものの、安高が所属した4年間を糧として精力的な活動を展開。5月には、東海テレビ・フジテレビ系昼ドラマ『娼婦と淑女』の主題歌に抜擢されたシングル「いばらの道」を発売し、今までのファンに加えて、多くの主婦層のファンも獲得した。同年8月にはメジャー3rdアルバム『孤独のカンパネラを鳴らせ』をリリースし、年末には地元・仙台で約4年ぶりとなるカウントダウン・ライヴ『SENDAI SUNRISE』を開催。作品を発表する度に進化を遂げ、バンド結成10周年を最高の形で締め括った彼らだったが、11年1月11日、永田貴樹(b)の脱退を受け、苦渋の決断とも言える解散を発表した。今後、永田貴樹(b)は音楽活動を辞め新たな道に進むことになり、中田裕二(vo&g)と小寺良太(dr)は、別の形で音楽活動を継続していく。椿屋四重奏Official Website
椿屋四重奏Official Website
椿屋四重奏オフィシャルサイト
公式サイト(レーベル)

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