text:石田博嗣

8月からスタートした対バン形式のツアーも遂にファイナル。最後のゲストとしてステージに立ったのは、今年で結成10周年のB-DASH。1曲目から新曲がプレイされたものの、ジャンプナンバーやハードコアチューンを矢継ぎ早に繰り出し、彼ららしいポップでメロディックなパンクサウンドで場内を大いに盛り上げた。 そんな十分に温まった客席をELLEGARDENが、さらに沸騰させる。B-DASHに刺激を受けてか、1曲目から高いテンションで楽曲が届けられ、Zepp Tokyoは3000人を収容するような大きなハコだというのに、小さなライヴハウスに居る感覚に陥るほど、メンバーが大きく見え、近くに感じた。それだけ彼らに意識が惹き付けられているということだ。レスポールをかき鳴らしながら伸びやかなヴォーカルを聴かせる細美武士、ギブソンES-355特有のソリッドなギターリフを刻む生形真一、ベースで重いうねりを作る高田雄一、パワフルなビートを叩き出す高橋宏貴。そして、4人がエネルギッシュに放つ音の塊を、より熱いものに変えてステージに返すオーディエンス。言うまでもなく、場内は序盤からクライマックスを迎えたかのような喧騒となり、そのボルテージは加速度的に上昇し続けていく。 中盤に入って披露されたのは「Missing」や「Middle Of Nowhere」などのミディアムなナンバー。緩やかに渦巻くバンドグルーヴに全身が飲み込まれていく中で、熱さ、切なさ、高揚感…さまざまなものを全身で感じている自分に気付いた。パンキッシュに弾けるエモーショナルなサウンドがELLEGARDENの真骨頂のように言われているが、こういった深い部分も彼らの持ち味なのだ。 また、音楽を演る理由についてメンタルな部分で吹っ切れたと語り、いつも以上に気持ち良さそうにプレイしていた細美の姿も印象的だった。終盤、そんな彼が“男ばかりの中でライヴをしたい”と言ったことに触発されてか、場内の温度や湿度が一気に上昇したかと思うほどに客席がヒートアップする。男性客も女性客も感情のメーターが振り切られ、改めて細美に“お前たちを女扱いしていたのは俺だった”と言わせると、本編ラスト「Make A Wish」では大合唱が発生! その勢いのままアンコールに突入し、大団円の「金星」の頃にはステージと客席が完全にひとつになっていた。ツアーファイナルに相応しい、まさに両者が完全燃焼したライヴだったと言えるだろう。バンドも観客も壮絶で圧巻だった。
ELLEGARDEN プロフィール

98年に千葉で結成されたELLEGARDEN。メンバーはTakeshi Hosomi(vo)、Shinichi Ubukata(g)、Hirotaka Takahashi(dr)、Yuichi Takada(b)で全員本名だそう。作品としては、02年に1stフル・アルバム『DON'T TRUST ANYONE BUT US』を、翌02年には2nd『BRING YOUR BOARD!!』を、04年には3rd『Pepperoni Quattro』、05年には4th『RIOT ON THE GRILL』と、順調なリリースを重ねている。それらどのアルバムでも、オーセンティックだがメロディックでエナジェティックな快活ロック・サウンドを展開。(ある意味驚異的なまでに)多くのライヴをこなしてきた経験をギュッと凝縮したような粒揃いの楽曲群を披露している。ELLEGARDENはそんな要注目の才気溢れる4人組である。ELLEGARDEN オフィシャルHP(アーティスト)
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