【back number】『Live at 日本武道
館 –stay with us-』2013年9月7日
at 日本武道館

撮影:佐藤祐介/取材:宮本英夫

 大ヒットはまだないし、特にカッコ良いルックスでもない。曲は情けない男の失恋や後悔ソングばかりで、目新しさや派手な刺激もない。パーソナルで誠実な、ある意味古風なバンドの初武道館が即日完売で、数千人のファンが醸し出す“このバンドが本当に好きだ”という空気の中にいられる至福の時に、オープニングから胸が熱くなる。いつもアンコールでやることの多い「そのドレスちょっと待った」を3曲目に持ってきたり、前半は力強いグルーブ「でぐいぐいと。中盤は「春を歌にして」など、センチメンタル全開のバラードでじっくりと。MCでは得意の当意即妙なジョークをはさまず、“あんまり感極まってもしょうがない。俺がここで泣き出してもナンノコッチャでしょ?”としみじみ語る清水依与吏(Vo&Gu) に向けて温かい拍手が降り注ぐ。続くデビュー曲「はなびら」を歌う彼が一瞬涙ぐんだように見えたのは、やはり胸に迫るものがあったのだろう。涙を振り切るようにアッパーな曲へと転じ、最新曲「高嶺の花子さん」では全員のジャンプとサビの大合唱に武道館が揺れる。その後の3人の楽しいMCでようやく緊張がほぐれたか、後半は初期の名曲「重なり」や盛り上げ定番曲「スーパースターになったら」など、貫禄すら感じさせるパフォーマンスを披露。さらに“エネルギーを残すなよ!”と叫びながら、4曲のアンコールを終えた3人の顔は、この2時間の間にすでにバンドが成長したことを示す充実感がみなぎっていた。とても普通で、それゆえとても非凡なバンド。時代がback numberを求めていることが、はっきりと分かった。

セットリスト

  1. 半透明人間
  2. こぼれ落ちて
  3. そのドレスちょっと待った
  4. 日曜日
  5. わたがし
  6. 思い出せなくなるその日まで
  7. 春を歌にして
  8. はなびら
  9. bird’s sorrow
  10. 平日のブルース
  11. 高嶺の花子さん
  12. 幸せ
  13. 風の強い日
  14. stay with me
  15. 重なり
  16. 青い春
  17. スーパースターになったら
  18. <ENCORE>
  19. リッツパーティー
  20. ささえる人の歌
  21. 花束
  22. 海岸通り
back number プロフィール

バックナンバー:2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、07年に現在のメンバーとなる。09年2月にリリースした1stミニアルバム『逃した魚』が好評を得て、その名が全国に広く知られるようになり、翌年6月に発表した1stフルアルバム『あとのまつり』で他とは一線を画す切なすぎる歌詞と美しすぎるメロディーでその地位を確立。そして、11年4月にシングル「はなびら」でメジャーデビューを果たすとさらに多くの注目を集め、13年9月7日には日本武道館での単独公演を成功させた。back number オフィシャルHP

OKMusic編集部

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