取材:石田博嗣

絶対に「甘いキオク」をシングルにした
かった

2ndシングルとして「うしろのしょうめん」がリリースされるわけですが、前作「ほのかてらす」で表現できなかったものを提示したという感じですか?

確かに曲調は違いますけど、そこまでは考えてないですね。この後にアルバムをリリースする予定なので、先行シングルみたいな感じです。それぞれがぞれぞれを補填し合うっていうわけではなくて、単純に“いい曲だから、みんなに聴いてほしいな”ということでセレクトしたというか。

では、どんな曲を作ろうとしたのですか?

…そう計算的ではなかったですね。ソロになったばかりの一番フリーダムな時期だったから、自分の中から出てくるものを全てキャッチしようって感じだったんで、メロディーも歌詞も自然と出てきました。

ノスタルジックな香りがする曲ですよね。

僕が小学生や中学生ぐらいの頃の時代背景だったり、故郷の風景…歴史資料館の前にふたりの男女がいるっていう設定で作ったんですね。僕の中で、この曲には“思い出を辿ると大切なあの人がいた”というキャッチフレーズがあって、そこから歌詞を書いたので、過去を振り返ってる分、ノスタルジックになってると思うし、セピア色になってますね(笑)

そんな歌詞ですが、“君なんか 幸せになってしまえばいい”というフレーズが印象的でした。

意識して書いたわけではないんですけど、そこがこの曲の大事なところかもしれないですね。初めてライヴで聴いたという人でも、そのフレーズが引っかかってるみたいだし、でも、こういう気持ちを持った経験がある人って結構いるんじゃないかと。思い出という名の劣等感に苛まれるというか。相手の幸せをすごく願っているんだけど、投げやりになってしまうような感覚って。まあ、男の情けないところですよね(笑)

カップリングの2曲も含め、どんな作品が作れましたか?

非常にバラエティに富んだ作品になりましたね。3曲なんだけど、ちっこいアルバムみたいな感じで楽しめるシングルになったというか。

3曲ともタイプが違うだけに、ソロとしてのスタンスも、より明確に表現できたとも思うのですが。

…っていうか、そこに関しては何も意識してないんですよ。バンドであれ、ソロであれ、気持ちとしては全然変わってないつもりなんで。バンドに対して肩肘を張って活動するのは、ずっと応援してくれている人に失礼だし、そんなふうに音楽を続けていたら何も伝わらないと思うし。もっと“大石昌良”っていう人間を知ってもらうためにリセットした…もちろん、歴史としてバンド時代はありますけど、もう一度、一から作り直しているっていう感じで、今は活動してるから、そこは意識しなくなってしまいましたね。そういう意味では、今は好きなように好きなことをやらせてもらってるので、すごく充実してますよ。でも…今までは片道切符の曲が多かった気がするんですね。状況を伝えたり、メッセージを伝えたり。それが最近は、ちょっとだけ誰かをふんわりと包みたいと思っているというか、聴いてくれる人たちに対して、自分の歌がその人の人生に少しでも寄り添えたらいいなって思うようになりましたね。自分で言うのも何ですけど、昔よりもやさしくなったと思うし、大人になったと思うんですよ。そういうところが今回の作品には表れていると思うし、そこがバンドの頃との違いなんでしょうね。

OKMusic編集部

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