【12012】
取材:土屋京輔
こういう曲を12012がやるから面白い
当初から今回の「逢いたいから....」のようなバラード調の楽曲をリリースしようというアイデアがあったのですか?
宮脇
それはまったくないんですよ。アレンジ的には今までの流れだけど…クオリティが高くなりすぎました(笑)。いつも塩谷くんはピアノで曲を作るんですけど、今回はその音が前面に出ている。このアプローチは初めてですよね。
塩谷
去年の今頃、人肌恋しい季節に部屋でひとり、ピアノを弾いてたんですよ。そんな時にちょっと出てきたフレーズが気に入ったんですけど、その時は何も意識してなかったんですね。実際に最初は12012向きではないなと思ったんですけど、ピアノとリズムが入ったデモを渡して歌ってもらったら、グッと来るものがあって…。ただ、自分の中ではギターが入る余地がどうしても見つからなくて。だから、試行錯誤しながら、少しずつ曲の形も変わっていった感じなんですよ。
酒井
初めて聴いた時はホントにピアノと歌、ベースだけだったんだけど、もうこれでいいじゃんって感じでしたからね(笑)。でも、だんだん方向性も見えてきて…“12012がこの曲をやる!”っていうところでフレーズには悩みましたね。
須賀
ここまで酒井くんと話をしたのは初めてというぐらい、ふたりで考えたんですよ。そんな中で、すごくコンディションが良かったのか、環境が良かったのか、アコースティックギターがむちゃくちゃいい音で録れたんですね。あれがなかったら、またアレンジやフレーズも変わってたかもしれない。石橋を叩いて渡るじゃないですけど、この曲はひとつひとつ作り上げていった感じがありますからね。
川内
僕はドラムは支える感じになるだろうなと思ってたので、録りまでその気持ちも継続して…そのまま終わったって感じでした(笑)。ただ、テンポ的にも微妙でしたし、抑揚も考えなきゃいけない。すごく細かいから、録る時はピリピリしてましたね。地道に練習もしてましたし。
塩谷
ベースも最終的には全て親指弾きにしたんですけど、ダイナミクスだとか音作りにはすごく気を使いましたね。曲としても最初は切ないだけで、わりと循環コードで淡々と終わる展開だったんですけど、みんなのアレンジでよりドラマティックになり、温かさも出たなと思いますね。
歌詞にも新たな側面が表れていそうですね。
宮脇
そうですね。“逢いたい”とか、“泣いている”とか、サビのひと節は何回書いても同じ言葉が出てきてたんで、最終的にもこの曲から得られるインスピレーションで作ってしまった方がいいのかなと。内容としても、ここでは人に共感してもらえるような歌詞を書いてみようと思ったんですよ。
ただ、この主人公は一方的に思いを寄せているだけなのか、相手からも思われているのかというと…。
宮脇
そう、そこが分からない。今までの僕の歌詞では、どんなに前向きであろうが、愛し合っていようが、絶対幸せになれないんですよ。その部分を今回は削ってみて、クライマックスの前で終わっている。それ以外にもいろんな捉え方ができるんですよ。PVを観てもまた変わると思いますし。
12月12日の大阪BIGCAT公演から披露されるようですが、ファンはまた驚かされそうな1曲でしょうね。
宮脇
でも、うちはそういうの多いんですよ。振り幅的にはもっとびっくりする曲がありますから(笑)。「逢いたいから....」みたいな曲も12012がやるから面白いんですよね。
アーティスト