取材:土内 昇

メリーですごいことができそうな気がす

“メリーだからこそできることは何か?”ということで、前作「激声」は15分を超える楽曲になっただけに、次はどんな曲かと思っていたらクリスマスソングだったのが意外でした。

ガラ
ファンクラブイベントでクリスマスライヴを発表した時に、クリスマスソングを作って演りたいねって軽く話をしてたんですよ。その時はシングルにするとかは考えてなかったんですけど、「激声」の次に何を出すかって考えた時に、クリスマスにライヴもあるし、クリスマスソングっていうか、季節に合った曲というものを出したことがなかったから、“じゃあ、出してみようか”ってなったのが始まりでしたね。

従来のメリーの曲のように激しいものではなく、トリッキーなものでもなく、いわゆる王道のウインターラブソングですよね。

ガラ
メリーって足し算ばかりで、引き算をしている曲というのがあんまりなかったんで、歌を前面に出すことをテーマにして、いかに楽器隊は引き算をするかってところでやってましたね。
結生
ここまでやるんだったら、どこまでできるかっていう挑戦でもありましたね。歌だけを伝える曲を作ってみようって。この曲は初めてメロディーから作った曲なんですよ。今までは“メリーはそういうバンドじゃないだろう”っていうのが自分の中にあったんですけど、こういう作り方をやってみるというのは、メリーの可能性を試せると思ったんで、今回はそういう手法を試してみました。

確かに、各パートが歌を前面に押し出してます。それこそ派手さがないぐらいに。

ガラ
バックの音は淡々としてほしかったんですよ。ドラムのネロは最初は派手に叩いてたんで、出来上がった歌詞を見せて“これを読んでから叩いてみて”って言ったりして。
結生
今までも近い感じの曲はあったんですけど、どこかしらに癖があったんですよ。サビなんだけど裏メロが鳴ってたり、最後の最後でいきなり激しくなったり。でも、今回は歌と歌詞を伝えることに100%徹底して…
ガラ
“いかにギタリストらしさをなくすか”って言ってたよね。
結生
“歪み禁止!”ぐらいのノリでね(笑)。

歌詞を書く時もクリスマスをイメージして?

ガラ
はい。タイトルに“クリスマス”って付けるのか、歌い出しを“メリークリスマス”にするのか、それともサビに入れた方がいいのか…とか、すごい考えましたね。それとか、ガラが“メリークリスマス”って言うんだったら、最後にぼそっと言ってほしいのかなって。“ホリーナイト”や“サイレントナイト”って避けてはないんですけど、使ったことのない言葉だったんで、自分でも書いてて新鮮でした。

歌詞も分かりやすいですよね。

ガラ
そうですね。今まではどこかに変な言葉を使ったりして、その裏にある言葉を伝えようとしてたんですけど、なかなか思うように伝わらなかったり、自己満足で終わることがあったんで、今回はストレートに出してみて、そこから聴いてくれた人がいろいろ考えてくれればいいかなって感じでした。

“偶然会えるような気がして”って街を彷徨ってる感じは、男の女々しさを感じましたよ。

ガラ
そうなんですよ! ガラって女々しかったんだったなって再確認しましたね。どうにもならない感じ? それが書いてて見えてきてたんで、そこはメリーっぽいのかなって。ハッピーエンドにはなれないというか(笑)。

あと、今作ではプロデューサーとして成田 忍さんが参加してるんですよね。

ガラ
プロデューサーを立てたのも初めてのことなんですよ。うまくいく部分と初めてだったんで歯痒い部分もあったんですけど、成田さんがアレンジの構成をちゃんとやってくれたことによって、“ああ、こうやって聴かせるんだ”とか思ったりしたんで、結果的にはいろんなものが収穫できたと思いますね。
結生
自分の中にないものがいっぱいあったし、自分のいいところを明確にしてくれたし、いい経験になりましたね。
ガラ
そういう意味では、可能性が広がったよね。「激声」で好き放題やった結果、他人を受け入れる余裕が少しは出てきたのかなって。今までだったら新しい人が入ることを最初から拒んでた…イベントにも出ないような鎖国状態だったんだけど、「激声」を作ってから妙にフットワークが軽くなったんですよ。とりあえずやってみてから、YESかNOを出すようになりましたね。だから、あのタイミングで「激声」を出して良かったと思うし、「激声」を出したからここまで振り切れたんだと思います。

今作を作って得られたことも多そうですね。

結生
やっぱり“抜く”ことですかね。そういうのを理解してきたとは思います。特にネロなんて、“これから先のメリーを考えると、抜くことが必要だ”みたいな精神になってるし。すごくいい経験になりましたね。
ガラ
ここまで結生くんにメロディーを任せたのも初めてだったんで、結生くんから見たガラというヴォーカリストにはこういう部分もあるんだなって思いましたね。自分の視点だけだと自分だけの器になってしまうから、メンバーのみんなが僕を使っていろんなものを吐き出してほしいと思うし…ほんと、この曲を作ったことで、もっとメリーですごいことができそうな気がするんですよ。メリーに可能性を感じられたシングルですね。来年に向けてアルバムを作ろうと思ってるんですけど、今までとは全然違うものが作れそうな気がしていて、すごくワクワクしてますからね。まだ曲はできてないんですけど(笑)。
メリー プロフィール

メリー:2001年10月に結成。昭和歌謡的な叙情旋律や欧米発のロックなどを様々に融合させた個性的な世界観により、インディーズシーンのみならず、著名ミュージシャンからも注目される存在に。2005年にメジャー進出した後も精力的なライヴを行なっており、型にハマらない活動がそのままバンドのコンセプトにもなっている。メリー Official Website
Merryオフィシャルサイト
メリーオフィシャルサイト

OKMusic編集部

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