取材:高橋美穂

苦しい人が勇気を持てる音楽をやりたい

今作は25周年、かつ三部作の一枚目ということで、コンセプチュアルなところもあるのかなと思ったのですが。

そうですね。前作から3年くらい経って、やりたいことを絞り込んだら、1枚では足りなくなってしまったんです。まず、このアルバムは10数年ぶりに日本語詞を多用して。

日本語詞を多用したきっかけはあったのですか?

アメリカに知り合いのバンドがいて、デカいイベントに出させてもらったりしたんですけど、英語でやってもなかなか通じないところもあって。逆に日本語の方が、彼らの知ってる言葉が出てくると盛り上がるんです。そういうので、日本人でありながら、忘れてしまってる日本語の良さを認識して。

また、さらりとした日本語ではなく、漢字をふんだんに使った、古い教えや武士道の精神が刻まれたような歌詞ですよね。

まず自分は生まれが九州やけ、そういうのはガキの頃から身近にあったんで。ただ今までは、それを表現できなかったけど、25年やるとなると技術も必要だけれど、強い精神を持っていないといけないんですね。また、ただ我慢したり、頑張るだけでは、その精神を保てないんですわ。で、30歳を超えたくらいで、そういう武士道の必要性を感じ出して、初めてそういう本を読んでみたいなって思って。どうせなら小倉出身の人の本がいいな、じゃあ宮本武蔵の『五輪書』かなって。そうしたら、剣の技術のことよりも、結構常識的なことがすごく細かく書いてあって。そこで、自分のやってる音楽と、剣の道を貫く人の姿勢がリンクしたところもあったんですよね。また、日本語なんだけど、英語っぽい発音で聴こえるには、こういう言葉が一番いいんじゃないかと思ったところもあって。去年、ニューヨークのMADBALLってバンドのアルバムにフューチャリングで参加したんですね。でも、あんたたちが作ってる英語詞を俺が歌っても、英語に聴こえなくて申し訳ないから英語は無理だと。やるんだったら日本語でやりたいと。それも今回日本語が増えたひとつのきっかけですね。

古の言葉がロックに合うって興味深いですね。

あんま言えないんだけどね。25年やって見つけた独自の方法だから(笑)。ガキの頃から海外には行ってて、向こうに友達も多いけど、彼らの音と何で違うんだろうと。すごく考えて英語でもやってみたけど、結局伝わってない。だったら、日本語しかないなと。で、英語っぽく聴こえる日本語ってなると、ひらがなは非常に難しい。なぜかっていうと、ひらがなは全部表からくるから。英語は裏からくるから、ビートの乗るところが違うんです。で、演歌は全部表になるから、向こうの人が聴くと、日本のミュージックはいいね、ってなるわけです。その中間をとろうとすると、漢字を多用するのがいいのかなって。でも、メッセージは伝えたい。だから、重たい漢字を使うことが、一番それっぽくできるんじゃないかなって。

日本らしさを貫きつつ、海外に通用する音ってことですね。

ミックスはZEUSSっていう、HATEBREEDとかKillswitch Engageとかやってる人なんだけど、アジア人とやるのは初めてらしくて。でも、俺のことを分かってくれて、日本人にしか出せないものを料理してくれたんです。またこれを、いろんな国にライヴに行って発信して、お互いの国の音楽が広がっていけばいいと思う。だから、ハッピーな音楽も必要だと思うけれど、俺は苦しい人が勇気を持てる音楽をやりたい。前のアルバムを出した頃に、自分の兄貴が白血病で他界したんです。うちは自営業をしてて、兄貴はそれを継いでたから、バンドよりは親孝行をしようと思って親父に話したら、バンドは辞めるなと言われたんですよ。兄貴がバンドやってたのが、自分がバンドを始めるきっかけだったんだけど、兄貴が遺言でバンドを辞めさせるなと言ってたらしくてね。そこからものすごく変わったね。ライヴも、激しいだけではなく、奥深いものが自分の中にあるし。物販にも、骨髄バンクのチャリティボックスを置くようになって。

そうやって紆余曲折を経ながら25年もバンドを続けてきたわけですけど、それは自分がやらなきゃって責任感に依るものですか? それとも運命に突き動かされている感じですか?

両方あると思う。辛くてもなぜやり続けるかっていうと、やっぱ好きっていう情熱なんだよね。俺が愛のことを言ってもアレかもしれないけど(笑)、愛がないと進んでいかないと思うしね。そのためには辛い状況を受け入れなきゃいけない自分も出てくるし。でも、そういう気持ちは強いから、目標とするところまで行って考えよう、ってやってきて。だから、いい歳になるけど、結婚もせず、ひたすら25年間やってきたし。そうなると、これって運命かなって思ったりするよね。
AGGRESSIVE DOGS プロフィール

九州ハードコアの雄、AGGRESSIVE DOGS。80年代初頭の結成以来、根強い人気を保持している。活動初期はUK寄りのハードコアを展開していたが、最近ではラップ調のヴォーカルも絡め、USニュースクール直系のストレートエッジなナンバーへ移行。ヘヴィ&ラウドなサウンド/メタリックなギター/咆哮のごときヴォーカリゼイションで、野郎どものハートを熱くさせている。AGGRESSIVE DOGS Official Website

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