【光岡昌美】強さや覚悟を持った 女
性をイメージした
彼女の外見からは想像も付かないほど、ディープな内容に仕上がった今作。彼女自身、思い悩み、苦しんだ過去があったからこそ発することのできるリアルな歌詞が胸を熱くする。
取材:ジャガー
強さや覚悟を持った女性をイメージした
楽曲は疾走感あふれるロックテイストですが、ジャケット写真はものすごくポップでインパクト大でした。
楽曲が重かったり、暗かったりっていうのはテーマとしてあったので、ジャケ写はその真逆にしたかったんです。結果的に、今までで一番ポップになりましたけど(笑)
そもそも、こういう激しい曲を歌うイメージがなかったのですが、自分の言葉を伝えるに辿り着いた形なのですか?
バラードにはバラードの良さがあって、言葉を伝えやすいし、私の声質的にも合うんですよね。でも、基本はロックテイストが好きなんですよ。バリバリのロックではなく、今回の『last cross』ぐらいの“同性が見てカッコ良い”って思えるようなものが。イメージ通りのサウンドに仕上がったので、自分でもうれしいですね。
歌詞がいつになく攻撃的なのは、自分の内側にある沸々とした思いを発散させたのかなと。
この曲は3年前ぐらいに書いたものなんですけど、その時はずっと“逃げたい”って思ってて。現実にいるのが辛いというか…とにかく誰もいないところに逃げたかったんですよね。何かに悩んでたとか、そういうのではなく…漠然としたものにプレッシャーや重さを感じてしまってて。本当に“逃げたい”しかなかったんですよ、今思い出しても。そんな一番どうしようもなく悩んでいた時期に書いたので、メッセージ性も強めですね。そういった意味では、素直なありのままの自分を表現できました。
理由もなく凹んでしまう時ってありますよね。ここで描かれているのは、どんな困難にも立ち向かう強さを持った女性ですが、当時の光岡さん自身憧れていた人物像なのですか?
そうですね。“cross=交わる”のイメージが強いと思うんですけど、自分の中では十字架で。“相手の人がどれだけ罪を背負っていても、傷を負っていても、自分もその人とともに背負って生きていこう”っていう、強さや覚悟を持った女性をイメージしてるんです。人って自分のことだけで精一杯になっちゃうじゃないですか。余裕があれば面倒見れるけど、最終的に自分でいっぱいになっちゃう…そういう人の弱い部分も受け入れられる広い心を持った人ってすごい素敵だなって。だから、この曲を聴いて、人を思いやれる気持ちを持ってもらえたらなって思います。
現実から逃げ出したかった昔と、逃げ出さず成長した今とでは、曲の捉え方も違うのではないでしょうか。
それはありますね。まず、3年間ずっと温めてきた曲なので、曲に対するイメージがどんどん膨らんでましたし。それが特に出ているのはPVじゃないかな。廃墟で私が歌っているんですけど、それも描いていたイメージを映像にしたって感じです。なので、曲を聴いて、PVを観て、感じ取ってもらいたいですね。
個人的には、「Silent of me」の“鳴り響いている無音のサイレン”といった、独特の表現が気になりました。
この詞を書いた時、すごく覚えているのがイライラしてたんですよ。自分に対してのイライラやその時の環境に。常に気を張って敏感になっていたので、言葉に鋭さが出たんだと思います。内容としては、“引かれたレールに乗ってれば上手くいくだろう”っていう考えの人っているじゃないですか。私は不器用なのもあって、そういう考えがすごい嫌で、その人たちに向けたメッセージです。このメッセージは、私の真ん中にあって何年経っても一番消えてない思いだったりしますね。
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