取材:三沢千晶

“僕らって何のために生きてるんだろう
ね? 「Jesus」は、そんな心の叫びで
もあるんだ。

しばらくお会いしていなかったので、何からお話すればいいのか。

ねぇ。もう、みんなと会えないかと思ってたよ。

そんな(笑)。お会いできると信じていましたよ。

ありがとう(微笑)

それで、どうされていましたか?…という聞き方も変ですけど(笑)。

大河(NHK大河ドラマ『風林火山』)が終わったあと、音楽活動を再開しようと思ってたんだけど、7月までハリウッド映画の撮影が入っちゃって。

来年公開予定の『BUNRAKU』ですね。それがなければ、もうちょっと早く戻ってこられたと?

そうだったんだけどね。スミマセン(笑)

いやいや、冗談です(笑)。そこにはGacktさんが通るべき経験があったのだと当然思っています。それで、約1年半ぶりのシングル「Jesus」についてうかがいたいのはもちろん、今回は、2001年のツアー“『Requiem et Reminiscence』(以下『яR』)の続編ということなので、その物語の出発点からお願いしたいと思います。

まずは僕のコンサートの作り方から説明した方がいいよね。僕は、ひとつの物語をまず自分で書いて、その物語から曲を書き下ろすんだよ。そして、その物語を基軸にコンサートを作っていくという形をとっているんだよね。2001年に『яR』という物語を書いて、それをライヴで表現して。2002年以降は『MOON SAGA』という物語を書いて。それがものすごく長い物語だから、スターウォーズみたいに何章かに分けて表現してきたんだよね。その中で『MOON CHILD』という映画があったりして。今回はそれを継続してやっていこうとも思ったんだけど、大河の話と映画の話があって、結構な期間を空けなきゃいけないという中で、じゃあどうするか?ということを考えた。また同じ物語を再開するというテンションなのか、それとも他のことなのか?ファンの子たちはきっと『MOON SAGA』の物語を予想していたと思うよ。僕の中では、みんなを驚かせたいという気持ちもあったから、まったく新しい物語をやるのもいいんだろうけど、それだと分からないだろうし…と考えていたんだよね。それがルーマニアに3ヶ月滞在(映画撮影のため)している間に、知ってる物語をやりながら、違う命を吹き込んだ物語をやるっていうのも面白いのかな?って考えるようになったんだ。

まさかここで『яR』が来るとは思っていませんでした。

そうだよね。それで7月にルーマニアから帰ってきてから、今回のコンサートの方向性と音楽の方向性を決めて、『яR』を基軸に、続編という形で『Requiem et Reminiscence II~再生と邂逅~』をやろうというところから始まったんだよね。

「Jesus」は、物語のスタート地点となるのですか?

シングルとしてはここから始まるけど、物語がここから始まるということではないんだ。曲を聴いて激しい物語になるんだろうな~と想像してもらえたらいいんじゃない?

Gacktさんの中には、以前から生と死であったり、再生、あるいは輪廻転生というテーマが根底に流れていると思うんです。「Jesus」の中にもそれを感じていて、どちらかというと死に対しての強烈な力を感じるんですよね。

そうだね。この曲は幕開けでもあり、物語の途中を表わしている曲でもあり、ある意味ライヴのエンディングでもある。だからライヴを観ていくと、この曲が持っている意味っていうのが分かってくるんじゃないかな? “あっ!”って。“あ…ぁあっ!!!”みたいな?

声がひっくり返るほどに分かると(笑)。

そう。どんどん分かっていく感じかな。物語自体は、僕のホームページ上で少しずつ公開されていく予定だから。もう少し分かりやすい感じになると思うんだよね。

それは新しい展開ですね。今までのGacktさんは、どちらかというとベールに包まれていたのに。

今までは物語も想像してくれって感じだったんだけど、少しずつ情報公開していこうかなと。せっかくネットがここまで普及してるんだし、だったらそういうやり方もあるんじゃない?っていう考え方。楽しみはたくさんあったほうがいいでしょ? ていうかさ、こういう時代なんだからベールに包んだってしょうがないよね(笑)。だったらちゃんとした情報を自分から公開した方が、いい意味で盛り上がれるじゃない? ライヴを観終わった後にも“この物語って、こういうことなんじゃない?”とか、どんどん情報を共有してほしいんだ。コミュニケーションできるはずの世の中なのに、どんどん希薄になってるからね。

それにしても「Jesus」を聴いて、このヘヴィさにビックリしました。しかも3分半という短さで、エンディングがシュッと消えるという、これは衝撃的でした。

そうだね。激しく、より儚く。消える瞬間の儚さが前に来るといいなと思ってたんだ。僕の曲って、基本的にすごく儚い曲が多いよね。その中でも、より儚く激しい曲を選んだんだよね。これが、さっき言ったオープニングでもありエンディングでもありという部分。

Gacktさんの声もまた以前より激しくなりましたよね。

ヴォーカリゼーションもイケイケな感じにいけるようになってきました。一時期、幅を拡げすぎて自分自身が分からなくなりかけたことがあったんだよね、03~04年くらいなんだけど。そこから自分自身を探し始めて、05年くらいにようやく“自分の声はこれだ”というものを見つけられたんだよね。だから表現はよりストレートになっていると思う。

そういうネイキッドな声に対して、こういう激しい音が必要であったと?

他の曲を聴いたらビックリするよ~。激しいし、すごく色っぽいし、切ないし。…僕、きっと性格が暗いんだね。

え、そうですか? 繊細なんじゃないですか?

ありがとう。素敵な言葉でまとめてくれて。

(笑)あ、いや、Gacktさんって傷つきやすいんじゃないかと…

スミマセン。弱いんです…

(笑)話を戻しますと、中盤のラップの部分なんて激しすぎてGacktさんじゃないみたい。死神みたいですよ。

あれは亡霊。ゴーストなんだよ。だからあの部分は、神にさえ挑戦している亡霊たちの叫び。実はあの声を最初は全然出せなくて。ずーっと練習して、やっと出せるようになったんだ。そういう意味では表現の幅を一本化しようとは思ってるけど、さらに広げてるところもあるね。

Gacktさんの12月リリースのシングルといえばラブソングを想像しますけど、これは真逆ですね。神に対して“なぜです!?”という叫びを感じます。それはGacktさん自身が問いかけでもある?

なぜ、人間は同じ過ちを何度も繰り返してしまうんだろうね? なぜなんですか?…って言いたくなるよね。

人間は歴史を繰り返してますよね。

破壊と創造と、殺戮と…。僕らって何のために生きてるんだろうね? 神ってどういう存在なんだろう? って本当に思うよね…

PVもそこにつながっているのですか?

あれは罪を犯した人間が最終的に自分の罪にさいなまれる瞬間を描いているんだ。それもライヴを観れば“あ、そういうことだったのか!”って思うよ。きっと。

C/Wの「Sayonara」は、アルバム『Rebirth』に収録されていたバラードの『яR II』バージョンですが、ここに収録されているということは、今回のツアーで重要な曲になってくるということでしょうか?

そうだね。重要…というか、この物語の中で、ある意味を示している歌ということ。

先ほど声の話で、“他の曲を聴いたらビックリするよ”という発言がありましたが、もしや…?

そうなんだよ。もともとアルバムを出す予定だったんだ。だけど、アルバムのアプローチの仕方を変えようということになって。ライヴに来る子たちがもっと分かるように、アルバムの発売はもっと先になるんだけど、ホームページ上でアルバムの曲を聴けるようになる予定なんだ。

開けてますね~。

ねっ。さっきも言ったけど、もうこういう世の中だからね。いくら“言うな!”と言っても、適当なことを勝手に書き込まれるだろうし、もちろん本当のこともだるだろうけれど、だったら、こっちで情報をコントロールした方がもっといいディスカッションができるし、どんどんそういう場にしてほしいんだ。ライヴに来るだけじゃない楽しみを、たくさん作ってあげたいと思ってる。

最後に、物語のヒントをください。

『яR』の主人公と『яR II』の主人公は違うし、時間軸も違う。記憶というモノを引き継いだ主人公なんだよ。

だから“~再生と邂逅~”というサブタイトルがついていると。

主人公は人間じゃなく、人間だった人たちだからね。悲劇の渦の中に巻き込まれてしまった人たち。その舞台が第二次世界大戦。話自体は歴史を調べたら分かるし、どんどん歴史を調べたくなると思うよ。そして、ライヴを観たら、僕が言っている意味が分かるよ(微笑)
GACKT プロフィール

ガクト:バンドでの活動を経て、1999年6月にシングル「Mizerable」でソロデビュー。緩急自在の抜群な歌唱力、ポップな中にもダークさが漂うデカダン趣味のサウンドで多くのリスナーから支持を得る。CDやDVDはアジアや北米でも発売され、世界中に熱狂的なファンを持つ。音楽活動のほか、映画、ドラマ、舞台、声優などでも幅広く活躍。自らを“表現者”と称し、ミュージシャンの枠にとらわれない多才ぶりを発揮している。GACKT オフィシャルHP
GACKT オフィシャルTwitter
GACKT オフィシャルFacebook
GACKT オフィシャルYouTube
Wikipedia

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。