取材:土屋恵介

希望は誠実に向かえば手に入れられると
信じていたい

「The Light」は温かいトラックの前向きなナンバーですが、豪華なメンツが揃ったいきさつを聞かせてください。

この曲は、降谷くん(Kj)がトラックを作ってプロデュースもやってくれたんですけど、私は以前から降谷くんの楽曲が好きで、ぜひ一緒にやりたいってお願いしたところから始まったんです。ふたりで制作を始めた時から“スペシャルなものにしたいね”って話をしてました。このトラックは降谷くんにとって、切り札とも言えるぐらいの大切な曲だったので、私も絶対いい曲にしたいと思ったんです。その中で“せっかくだからふたりだけじゃなく、自分たちがリスペクトしてるアーティストとやりたいね”って盛り上がって、森山直太朗くんとPESくんに声をかけて実現したんです。

PESさんとは昔から交流があったとか。

知り合ったのは10年以上前。彼がRIP SLYMEをやり始めた頃かな? 私もデビューするずっと前で、クラブのイベントを一緒にレギュラーでやってたこともあるんです。

森山さんは意外な人選だなと思いました。

直太朗くんのことは、以前から“歌詞を伝える歌唱力がズバ抜けてるな、すごいな”と思っていて。直太朗くんを誘いたいと言ってくれたのは、降谷くんなんです。この4人のセッションは、今回しか成し得ないと思ったし、会うべくして会ったメンバーなのかなとも思いますね。

歌詞のテーマはどうやって決まったのですか?

私から“明けない夜はない”ってテーマを提案したんです。それは、今の時代だからこそ必要な言葉だと思ったから。いろいろ大変なこともあるけど、願いや希望は誠実に向かって行けば手に入れられるものだって私は信じていたいんです。それをひとりで歌うより、降谷くん、直太朗くん、PESくんっていう、それぞれの立場で頑張ってる人たちと一緒に歌うことで、説得力を持つんじゃないかと。それを3人に話したら賛同してくれたんです。

歌詞のメッセージも、それぞれのカラーが出てますね。“明けない夜はない”というテーマがいろんな角度から伝わって、いろんな光が見えるような感覚があります。

歌詞は個性が出てますよね。私は目の前に起きていることに目を背けがちなタイプだけど、“でも、諦めないことぐらいはできるんじゃないの?”って内容を書いたんです。降谷くんはもっとタフネスな感じで人生を楽しんでる感じもあって…“右往左往してる苦悩も人生の中では充実っていうんだぜ”って言っちゃうとことかね(笑)。PESくんは大きな愛情や優しさ、思いやりを感じますし、直太朗くんは一枚のスナップ写真の中に色彩が見えるようなサビを歌ってくれて。

実際のレコーディングの雰囲気はどうでした?

テンション高い感じで楽しくできました(笑)。私は4人で一緒に録りたいって思ってたので、忙しい中みんなに集まってもらったんです。4人が一堂に揃うこともなかなかないから、一瞬一瞬を楽しみながらやりましたね。そこで感じたのは、この3人はほんとに音楽が好きで真摯に向き合ってやってるんだってこと。それに、私が普段考えてることと同じようなことを考えてるのかなとも思いました。歌詞を書いてる時やマイクに向かってる時の一生懸命な表情、ギターを弾いてる時の楽しい雰囲気から、私は勝手に“音楽の同士”って気持ちになりました(笑)。音楽のコミュニケーションもできたし、ちょっとしたバカ話をしたり、とてもいい時間を過ごせました。

その雰囲気が、曲の中からも伝わってきますね。

年も近いし、和気あいあいとしながらも、お互いが切磋琢磨するような感じで、自分も頑張らなきゃっていうのもあったし。温かさもありつつ、決して曲の内容は仲良しこよしじゃない。“各々の光に向かって進んでいこうぜ”って曲になったので、それはうれしいですね。

カップリングの「純愛百景」は、いろんな愛の形を全て肯定してる内容の歌詞がさわやかなトラックに乗ったナンバーですね。

スタッフの女の子たちと恋愛話をしたことがきっかけだったんですけど、10人いれば10通りの恋愛のスタイルがあるなと気付いたんです。思いを伝えられない恋愛、人目を忍ぶような恋愛、いつもケンカばかりの恋愛とか、いろんな恋愛があるけれど、自分が相手に対してまっ直ぐ愛を持って接してるなら、それでいいんじゃないのって私は思ったんですね。裏を返せば、胸が苦しいくらい好きじゃなきゃ本当の愛とは呼べないんじゃないのっていうメッセージもあったり。そういうことが描きたかったんです。

この2曲で自分の中でも前進できましたか?

すごく大きな一歩が踏めました。人間の感情って複雑で、ただ悲しいだけじゃない、うれしいだけじゃない、割り切れないものじゃないですか。そういうものが大事だと思うし、歌詞を書く時の最近の自分のテーマでもあるんです。そこを上手く切り取って歌いたかったし、これからもそこを出せればいいなと思ってます。

今後の活動も期待できますね。

新曲をどんどん作ってアルバムも出したいですね。あと、3月に久しぶりに東京と大阪でワンマンライヴをやります。今回はターンテーブルのセットで2時間やろうと思ってるんです。ここ一年、クラブでターンテーブルのショーをやりつつ、バンドでのライヴ、アコースティックといろいろやっていて。そこで学んだことを活かしつつ、新しいことをやろう、曲ごとの感情や思いを一生懸命歌おうと思ってます。
Miss Monday プロフィール

昨今、日本のヒップホップ・シーンが成熟をみせているとはいえ、そのほとんどは男性陣で占められている。そんな中、横浜エリアを中心に活動していたMiss Mondayが、00年7月に<id RECORDS>から女性ラッパーの先駆けとしてシングル「もっと...」でデビュー。彼女の作り出す音もさることながら、エンターテインメント性の高いステージングでクラブ・シーンもさることながら様々なアーティストからも絶大なる支持を得ている。強いエネルギーを放つラップは男どもと比較しても決して劣らず、リズムにガッチリ喰らいつく。それでいて、レゲエ特有のメロディアスな節回しもそこはかとなく取り入れており、軽快かつ心地のよいトラックにスンナリ馴染む。

01年にシングル「MONDAY FREAK」でメジャー・デビュー、<Epic Records Japan>より10枚のシングルと4枚のアルバムを発表。ジャンルの枠に囚われないスタイルを標榜し、レゲエ・アーティストではスライ・アンド・ロビー、 CHAPPIE RANKS、Spinna B-ILLら、ヒップホップ・アーティストではMUMMY-D(RHYMESTER)、GAGLEら、シンガーではLeyona、Soweluらとのコボレーションを重ねてきた。

そして07年7月にシングル「オハナ」で<フォーライフミュージック>へ移籍。09年1月に発売されたシングル「The Light」では、Kj(Dragon Ash)、森山直太朗、PES(RIP SLYME)という豪華な顔ぶれがフィーチャリング・アーティストとして参加。10年5月に発売されたアルバム『Beautiful』には、Kj(Dragon Ash)プロデュースによる「Life is beautiful feat. キヨサク from MONGOL800,Salyu,SHOCK EYE from 湘南乃風」、次世代の歌姫と評されている菅原紗由理を迎えた「さよなら feat. 菅原紗由理」、着うた世代に圧倒的な支持を誇るYU-Aとの「あなたに出会って feat. YU-A」など、彼女にしか成し得ない豪華コラボ・アルバムが誕生した。Miss Mondayオフィシャルサイト
公式サイト(アーティスト)
公式サイト(レーベル)
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