【Yum!Yum!ORANGE】
取材:澄川龍一
バンドは一生変わらないですね、変えら
れないです
初のベスト『Yum!BEST』がリリースとなりますが、その動機はやはり10周年だからということですか?
RYU
ずっとがむしゃらにやってきて原点回帰というか。ひと通りやってみて、善いところも悪いところも分かってきたという意味で区切りがよかったんですね。集大成を見せることで、“次に行きますよ”っていう表れでもあるし、今までやったことを振り返るいい機会だなって。で、まとめてみようかと。
まさにヤムヤムの10年を網羅した全18曲、実に71分という大作ですよね。
HIDE
最低限入れなくちゃいけないものを並べたらこうなったと(笑)。
RYU
入れたい曲はいっぱいあったんだけど、聴く人が“これがヤムヤムだ!”っていうイメージを持ちやすい必要最低限が今回の収録曲だと思うんですよ。なので、泣く泣く落選したものが多数あって(笑)。
やはり選曲作業は難航しましたか。
RYU
3分の2はサッと決まって、残りは個人的に思い入れのあるものを中心にしたり…迷いに迷って決めました。
KUMI
ウチらの思いもあるけど、やっぱり聴いてもらう人の立場になって考えたりもして。
RYU
第三者に目を向けるとこんな感じかなって。自分がヤムヤムのファンだったら“こういうのが聴きたい!”みたいな。
HIDE
大人になったんですよ(笑)。
なるほど(笑)。では、みなさんがそれぞれ今回収録されたもので、一番思い入れがある楽曲はどれになりますか?
KUMI
むず~い(笑)。やっぱり1stアルバムは私のヴォーカルじゃないので、「Little Monster」とかは入れたかった。でも、私の音源じゃないのは悔しいなって思っていて、そこは叶えられたので、やっと自分の曲になったなと。
RYU
僕は作っているから、どれも思い入れがあるんだけど…聴く方として一番好きなのは「SUNNY SUNDAY」かな。これはね、自分の中でも方向性が開けた曲というか。
HIDE
「葛飾ラプソディー」は違った目線で曲を作りながら、バンドとしてドタバタした時期だし、KUMIが入った直後だったので大変だったっていうのも含めて思い入れは深いですね。これが第一歩だったと思うんですよ。
IZUMI
私は「Brand New Day」かな。ラップっぽい部分が初めて入った曲だし。
ICHI-LOW
「星のカケラ」のPV撮影は、10年間で一番疲れた一日でしたね。死ぬほど汗かいて、曲を聴くとそのシーンが鮮明に思い出されるという(笑)。
「Letter」「Welcome to the wonderland」「Little Monster」という初期の3曲は、KUMIさんのヴォーカルで再録したんですよね。
RYU
“今の僕らが昔の曲を録ったらどうなるか?”っていうのを純粋に表現したくて。昔は下手なくせにキッチリとした演奏をしようとしていたんですけど、結局できなくてルーズなままで…でも、今はみんなのスキルが上がっているからまとまっていく。だから、今回のレコーディングはすごく時間が短かったんだけど、スムーズにいったんですよね。ラフなようでラフじゃない、信頼してメンバーに任せられるようになったんだなって。
突然のデビューからメンバー交代など、紆余曲折あった10年ですが、振り返ってみていかがですか?
ICHI-LOW
長かったというか、あっと言う間だったというか(笑)。
IZUMI
10代でバンドに入って青春時代を…捧げてないけど(笑)、何かやる時は必ず付きまとっていたという感じですかね。
HIDE
成長させられましたよね。“好きなこと+友達+でも仕事”みたいなことでバンドは続いて。それまでは自分の住んでいる地域にしかいなかった仲間が、いろんなところに増えたし。バンドやってないと味わえないことなんで、そういうことも含めて自分の人生が劇的に変わりましたね。仕事っていう部分の大変さもありますけど、それがないと成長できなかったと思います。
KUMI
1年1年は早かったんですけど、自分が加入してからの5年で考えると長いっていう…不思議な感じですよね。まとめるとすごく長いっていう。
このアルバムとともに10周年の幕開けを迎えますが、今後はどういう活動していきたいですか?
RYU
マイペースで上手くやろうかなと。大人になるんじゃないかな? 少年から中年に変わっている感じだよね。
KUMI
中年!? イヤだ(笑)。
RYU
じゃあ、中学校3年から高校1年になる感じですね。気持ち的にはマイペースだけども、瞬間瞬間はガッツリっていうか。無駄に浪費しないっていう感じですね、だんだん年も食ってきたし(笑)。
次の10年はちょっと大人になったヤムヤムが見れると(笑)。でも、この10年でいろんな経験をしてきましたが、それでも根っこで変わらないところがあったんでしょうね。
HIDE
バンドは一生変わらないですね。変わらないというか、変えられないです。自分たちのやりたいことは明確になっているので、合わせてくれる人を探すと(笑)。腰は低いんだけど、意志は絶対通すみたいな。忙しかったのはもちろんなんですけど、結局は自分たちのペースでやれたかな。