【TOKYO No.1 SOUL SET】
取材:岡本 明
今までの基本と新たな冒険を混ぜたアル
バム
2年続けてのアルバムリリースになりましたね。
渡辺
それって今回が初めてなんです(笑)。みんなの創作意欲もあふれていて、いいリズムでできました。今回はライヴでやりたい曲を作りたかったんです。ライヴで僕らの昔の曲を求められているのも分かるんですけど、新しい曲で自分たちの世界観を見せたいなっていうのが正直あるんですよ。だから、ライヴで映える曲を意識しました。
BIKKE
去年のツアー回って、ライヴでアクティブに表現できる曲があるといいなと思って。そういう流れに乗ってできましたね。
去年のライヴ、確かにめちゃくちゃアクティブでした。
BIKKE
もう、ライヴというより戦う気持ちで臨んでますから(笑)。歌で聴かせる人、ギター1本だけで聴かせる人もいて、そういう音楽は好きなんですけど、俺には合ってないし、得意ではないと思った時からそっちに向かいました。“今頃か!”って思われますけど(笑)。でも、体を動かせば動かすほど楽しいですね、もっと動きたいと思う。
何かきっかけがあったのですか?
BIKKE
少し前からライヴでもっと動きたいと思っていたんです。40歳過ぎてから、思った時にやらないとやるチャンスはないなと。50歳過ぎて、“今からじゃ体が動かない…”って思っても悔しいじゃないですか(笑)。
渡辺
そうそう、カッコ付けなくなるんです。いいですよ。
川辺さんはいかがですか?
川辺
バンドの勢いがそのまま出てますね。ツアー直後のノリのままスタジオに入ったので。“1年開けずに作るというのはこういうことなんだ、みんな、こんなことやってるんだ”って(笑)。もう、このまま次も出せる感じですよ。
渡辺
曲に対してBIKKEがすぐレスポンスしてくれて、ヒロシくんは他のエンジニアにTDを任せたりしている、そういったことが次につながるというか。人を信じている感じですね。今まで全部を見ないと気が済まなかったんですけど、いろんな人を巻き込んで面白くなっています。俺たち3人に他の人たちの化学反応も取り入れられるし、誰かが入ってきても大丈夫。
トラックを作る時もそういう雰囲気は影響します?
川辺
そうですね。でも、人を信用するまで随分時間がかかった(笑)。ようやく20年ぐらいで自信が付いてきて、誰の手が加わっても大丈夫だろうと。早くそうしたかったと思うんですけど、そのためには体力を付けないと。
自分たちで全部見えないと気が済まなかった?
川辺
偏執狂的なところがあったんです、20代の頃はハイハットひとつの音も必死でこだわって。でも、年のせいか、そういうのはなくなりましたね。自信が付いたのか、逆に壊したりしても平気。
ストリングスアレンジ以外、どういうふうに外部の人が関わっているのですか?
川辺
ドラムをZAZEN BOYSのあっちゃん(松下 敦)に頼んだり。「Who Really Loves You?」はミックスにも行かなかった。InKでも一緒にやってるテクノ畑のエンジニアなので、大丈夫だろうと希望も言わずにやってもらって。そうしたら最初のイメージと全然違っていてびっくりしました。こうなるとは思っていなかったんです。軽いリミックスに近いんだけど、それは面白かったな。
スパニッシュな曲ですね。
川辺
それがテクノ寄りになって、あまりスパニッシュじゃなくなった(笑)。それにジャケット、アー写、PVも初期の頃に一緒に仕事をした人たちとやったんですよ。だから、今までの基本と新たな冒険とを混ぜてみた感じですね。
3人が刺激を受けながら楽しんでいる姿が浮かびますね。
渡辺
面白かったです。ここ2~3年、音楽に向かう気持ちが変わったので。“やらなきゃいけない”じゃなくて、“楽しんでやろう”と思っているんです。そういう気持ち次第でこんなに変わるものかなって。新しいこともやりつつ、自分の中の整理もしつつ、挑戦ができる。楽しめる土俵ができましたね。
BIKKE
前のめりですね、能動的にやっていきたいと思っています。もう加速しました。今から準備していきたいので、スケジュールが気になるんですよ。ライヴも最後の2~3曲、果てちゃって“もうできない”ぐらいまでいきたいけど、そこまでまだいけてなくて。疲労がたまって、体が動かなくていけない(笑)。
このまま突き進むと、ライヴの達成感はすごいことになりそうですね。
BIKKE
部活みたい(笑)。でも、俺はそれでいいと思ってますから。