【オレスカバンド】
取材:道明利友
自分から動けば世界が広がる。“World
”って素晴らしい!
Vol.1”の“白盤”と今作の“黒盤”で、前編・後編的な二部作がいよいよ完結しましたね。
とみ
はい。ジャケットも、中のデザインも、“白”と“黒”で対になってて面白いんですよ。自分で見ても。『WARPED TOUR』の時の自分たちと、帰ってきた今の自分たちっていうのがすごく見えて。ふたつ並べて眺めたくなります(笑)。
ということは、“黒盤”はその『WARPED TOUR』を経たからこそできた作品という感じがありますか?
いかす
ありますね! 今回の“Vol.2”は、これからウチらが見ていくものというか…希望がいっぱいなんやなって思えた、『WARPED TOUR』後の今の自分たちの感じが出したくって作ったんです。エネルギーとかを。
たえさん
「What a Wonderful World」って曲は、そのアメリカに行ってた時に作ったんですよ。このワードはただのアルバムタイトルじゃなくて、“ウチらなりのひとつの結論みたいなものを伝えられる曲を作ろうや”って。前のフルアルバムを作ってからの期間は、ウチらにとってものすごく大きかったんですよね。アメリカに行って言葉が通じひん人の前で音楽をやることもそうやし、そこから返ってきた反応もそうやし…。全ての経験が刺激的って言ったらありきたりな言葉になりますけど、ほんまに、外の世界に行ってみて初めて気付くことがすごく多くて。そうやって自分たちはずっと動き続けていかないとあかんねやって思って、歌詞で“Get Movin”って歌ってるんです。自分たちから動いたら自分の世界も広がるし、そこで見えるいろんな世界ってすごいなっていう、ふたつの意味があるんです。“World”って素晴らしいんだぜ、って言いたくて。
オレスカバンドは世界観をどんどん広げてるバンドなんだっていうことは、この二作の幅広いテイストからすごく伝わりますよ。今回の6曲で、特に自分たちの世界を広げられたなって感じた曲を挙げるならどれですか?
とみ
「Bouquet」とかは、本当、そうですよね。作詞はStella Maxwellさんで、初めてたえさんが歌詞を書いてない曲やし。
いかす
この曲は英語で歌うってイメージは、みんな共通してて。海外でツアーしてると、自分らの気持ちが言葉でも伝わったらいいなと思って、きれいな英語でちゃんと歌いたかったんです。
とみ
始めは正直、オレスカバンドが書いた曲じゃないものをウチらが歌うのはどうなんやろって思ったりもしたんですけど、いざ歌詞が上がってきたら、たえさんが書きたかったことがそのまんま曲に入ってて鳥肌が立ったんですよ! この曲からインスパイアされるものがあってStellaさんはこう書いた、っていう話を聞いて。離れたところにいて、意思疎通を直接したわけじゃないのに、音楽を通して自分たちを分かってもらえたのはすごいことやなって思って大好きな曲になったんです。
たえさん
曲を聴いただけで、ウチもStellaも同じようなことを思えたっていう“強さ”みたいなものを改めて感じて…なんかちょっと、不思議な経験をしましたね(笑)。
言葉を直接交わしてなくても、音で共有できるものがあるっていう、それはまさに“音楽の強さ”って感じがします。
いかす
そうですね。そういうことも、やってみないと分からへんし。だから、“これ、違うなぁ…”って後で思ったとしてもいいかなっていう気持ちもあったし。逆に、今までの自分らとは違うって思うぐらいのことをやらないと先に進めないな、っていう。自分らまだまだいろんなことが始まったばかりなのに、その始まりの段階でなんでもかんでも決めちゃうと音楽って楽しくないな、みたいな。ウチらはもちろんシリアスな気持ちで音楽をやってるけど、それだけじゃウチらっぽくないと思うから。二作とも、曲のテイストにしても、音色にしても遊び心はすごいいっぱい入ってるんで、楽しんでもらいたいです!
たえさん
ウチら最近、みんな二十歳になったんですよ。その十代の区切りみたいな感じも、このアルバムにはあったりして…。「PAPAYA」とか昔からライヴでやってた曲なんで、ウチは最初は入れるつもりはなかったんですよね。“なんで今さら入れるん?”って感じやったし。けど、もう全部入れちゃえ、みたいな(笑)。今までやってきたこと、やってみたかったことはやっちゃおうっていう気持ちがすごいあったから、こういういろんな曲が揃って。十代のウチらと、二十代に向けた区切り、みたいな…。これからのオレスカバンドにとってすっごい大事なきっかけをくれるような作品になったと思います。
大人への階段を昇って、ここからまだまだ成長していく、と! どっかの歌で聴いたようなフレーズですけど(笑)。
いかす
昇りますよ~。ウチらまだ、シンデレラなんで(笑)。
アーティスト