取材:土内 昇

これを聴いて、肩の力を抜いてください

このバンドのスタートは、シャクさんがリハビリするために音楽活動を始めたことがきっかけなんですよね。

もともとパンクバンドをやってたんですけど、4年半ぐらい前に交通事故に遭ったんですよ。1回目の入院が8ケ月あったもんですから、バンドは辞めざるを得なかったんですね。で、2回目の入院から退院してきたら、渋谷のCLUB CRAWLというライヴハウスのオーナーに“リハビリがてらに出ろよ”って言われて…最初はそんなノリなんですよ(笑)。ひとりで出るのも何だから、馴染みのミュージシャンに声をかけたという。で、ライヴのたびにスケジュールが空いてる人に声をかけてたから、メンバーによってサウンドが変わってたんですけど、それが面白かったんですよね。去年1枚目の音源を出して、そこからメンバーが固まってきたっていう感じですね。

その前作から10ヶ月で今作が出るっていうことは、前作を作ってる頃から構想はあったのですか?

もともとアコースティックな感じで始まったのに、前作は普通にロックバンドとしての作品を出したんですね。だから、なんとなくアコースティックアルバムを作ろうっていう構想はあったんですよ。今作に入ってる曲が何曲かできた時に、“あっ、これで作れるな”と思ってスタートしたんですけど、結局は完全なアコースティックアルバムにはならなかったという(笑)。録っていくうちに“エレキも入れるか”って変わっていった。でも、ベースはアンプを使ってないんですよ。直接ラインでやってて…コーティングしている弦があるんですけど、すごく柔らかい音が出るんです。そういう音色の部分も意識してますね。

スティールギターのルーズな音色も印象的でした。

アレンジはギターの竹蔵がバンマス的立場でやってるんですけど、そこは意識してましたね。僕、小さいアコギを持ってるんですけど、竹蔵がそれを持って来てくれって。ほんとに安っいギターなんですけど、その安っい感じが良かった…だから、そこまで竹蔵は考えてたみたいですね。

楽曲に於いては、ネガティブな要素がないですよね。だからと言って、ポジティブなメッセージを押し付けるようなものでもないという。

そこは意識してます。僕、事故に遭う前って後輩によく説教してたんですよ。“今の仕事、嫌なんですよ”って相談されても、“辞めればいいじゃないか”とか“辞めれないんだったら、頑張るしかないじゃないか”って言ってたんですけど…“頑張るしかない”って正論ですけど、正論であってもうまくいかないことがあるって考えるようになったんです。事故って予想外のことじゃないですか。最初は3ヶ月で治るって言われてたんですけど、ほんとは一生治らないって聞かされて、あまりに予想外のことだったんで、人生のリセットボタンが押せた気がしたんです。で、いろんなことを考えて…僕には音楽があるから“足が不自由になってしまって、この先どうしよう”ってことはまったく考えなかったんですけど、人生を振り返ったり…それがデカかったですね。今まで許せなかったことが許せるようになったんで。

今回の作品にはどんな手応えを感じてますか?

前作よりもリハビリーズっぽい気がします。そういう意味では、ひとつの形が完成したかなって。いい意味で、ロックはロックでもBGMになると思うので、片意地を張らずに聴いてほしいですね。今、世の中は大変じゃないですか。これを聴いて、肩の力を抜いてくださいって感じですね。
シャク&リハビリーズ プロフィール

シャク&リハビリーズ:2005年、交通事故による入院を終えたシャクが、リハビリを兼ねて弾き語りを始める。その後、ソロプロジェクトとしてバンド化。現在までに30名以上のメンバーが参加している。シャク&リハビリーズ オフィシャルサイト

OKMusic編集部

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