【キャプテンストライダム】
取材:フジジュン
09年は踊れる曲を極めよう!って
今年で結成10周年。ニューシングル「ブギーナイト・フィーバー」は、アルバム『音楽には希望がある』から約1年ぶりの音源になりますね。
永友
特に10周年というのは意識してないんですけど、新鮮なことや新しいことをやっていく年にしようというのは決めてましたね。去年リリースしたアルバムは歌詞もストレートに書いたし、演奏も荒っぽいところをあえて出すような生々しい感じがあって、わりと僕らの中にあるものを叩き付けるようなアルバムになって。で、それがやれたんで、次はその延長線上ではなく、楽しいことをやろうと思ってました。そこでコンセプトを考えている時、“ここからもう一度デビューシングルを作るような感覚で、自分たちの一番好きなことをやろうよ”って話になって、そんなところから曲作りが始まりましたね。
原点回帰じゃないけど、イチから始めるくらいの気持ちだったと。
永友
そうですね。でも、“これが新しい自分たちです!”って言えるものができなくて、結構煮詰まっちゃったんです。ライヴは楽しいけど、制作に戻るとその手応えを超えるものができない。そんな中、ツアータイトルを考えていた時、“明日に向かって踊れ”ってタイトルが出てきて。音楽には泣かせるとか、楽しませるとか、いろんな要素がありますけど、今回は踊らせようと。そしたら結果的に今までで一番良いツアーができたんです。そこでおぼろげに“09年は踊らせる曲を極めていこう”ってテーマが出てきて、“究極のディスコの曲を作ろう”ってことで「ブギーナイト・フィーバー」のアイデアが生まれてきたんです。
いくら頭を捻っても出てこなかったテーマが、ツアーを経たことで自然と生まれてきたと。
永友
そうですね。デビュー曲「マウンテン・ア・ゴーゴー」が四つ打ちだったり、これまでも踊れる曲は何曲かあったんですが。そこからの発想というよりは、すごい新鮮なテーマとして発見できたというか、音楽で楽しませたい、踊らせたいということにいろいろ経験して帰ってきた感じがありますね。それに、気持ちの浮き沈みもある中で見つけたテーマだったので、ただ楽しいだけで終わらせたくなくて。楽しむこと、踊ることで次につながっていくような音楽。そういうものがディスコから見えてきたりして。後追いですけど、いろんなディスコの曲の歌詞を読んだり、映画『サタデーナイト・フィーバー』を観返したりしたら、踊ってハッピーなだけではないんですよね。不況で仕事がなかったり、明日に希望のない若者が土曜の夜にクラブに集まって、そこに“のし上がってやろう!”みたいな力があったというか。そこも僕らのやりたい音楽とすごくリンクして、「ブギーナイト・フィーバー」の歌詞やサウンドにつながったと思うんです。
菊住
自分たちの中にある音楽と向き合って、出せるものを全部出したと思えるものが前のアルバムでできて、それができたことで、今度は“キャプテンストライダムっていうバンドが何をしてくれるのか?”ってことが重要だった。僕はメンバーでありながら、いちファンでもありますから。バンドがどういうことをしてくれたらうれしいのかなと思った時、“ディスコ”ってキーワードと、求めているバンド像がピタッとハマったんです。看板メニューじゃないですけど、これをひとつ看板にしたいなっていうのはありましたね。
梅田
“デビューシングルを作るつもりで”っていうことで、自分たちの中でもワクワクしながら想像することができたし、“ディスコ”って言葉や「ブギーナイト・フィーバー」が出てきた時は、言葉や頭で考えるのを通り越して、“これだ!”っていう空気がバンド全体にありましたね。
バンドの高いモチベーションが楽曲からビンビン伝わってきますからね。そして、亀田パパ・亀田史郎さん、リリーフランキーさんなど豪華キャストが出演するMVもものすごいです!
永友
亀田さんはこれまで、映画やVシネマの出演依頼も断っていたらしいんですが、なぜか僕らのMVには出演してくれて。“何度も聴いてたら気に入ってきたわ”って言ってました(笑)。撮影では何の説明もナシに“じゃ、みんな踊って!”って、深夜4時くらいに大音量の中で本能のまま全力で踊ったりして。出来上がった映像を見て、ド肝を抜かれました!(笑)
楽曲の力強さやいかがわしさもより際立って聴こえました。
永友
とにかくインパクトのあるものにしたかったんです。“なんじゃこりゃ!?”ってものがいいなって。いろんな事情を抱えているであろう、さまざまな人がディスコで踊っていることで、いろんなエネルギーが渦巻いている感じは表現できたと思います。
今、不況だなんだで苦しんでいる若者がたくさんいて、やっぱりこういった曲を時代が求めている部分もありますよね。
永友
そうですね。そういう時こそ、明るい音楽に“なにくそ!”って気持ちを込めたいし、そういう活動をしていきたいですね。