取材:高橋美穂

シンプルなものこそ一番難しいと思う

まず、バンド名がインパクトありますよね。

寺井
でも、きっかけは適当なんです(笑)。最初、大学のサークルで、10人くらいのホーンセクションの入ったカバーバンドを組んでたんですね。で、その休憩時間に3人で一緒に音を出し始めたのが、結成のきっかけで。そこで、ずっと“LOVE LOVE LOVE”って言ってる歌を作ったんですよ。その頃に、僕が勝手にライヴを決めてきて。バンド名がなかったから、じゃあそれでいこうかって(笑)。真剣に続けていくと思ってたら付けてなかったと思うんですけど、一回くらいで終わると思ってたんで(笑)。
浦山
やってるうちに楽しくなって、真剣に続けていく結果になるんですけど、バンド名を見直した時に、これでいいのか!?とは何度か思ったんです(笑)。でも、逆に一回聞いたら誰も忘れないだろうし、間接的にお客さんとも音楽でつながる愛みたいなものを持てたらいいんじゃないかって。
寺井
今日、アツいな(笑)。

でも、もともとホーンがいたバンドとは、ずいぶん今の音楽性と違うんじゃないですか?

浦山
ホーン隊が入ったバンドはサークル活動だったんで、一年区切りで解散して、また新しいバンドを組む形式だったんです。
寺井
音楽的には、LOVE LOVE LOVEでやってることが、自分のバックボーンにあったりするんで、逆にサークルでは、大学生やし、ジャズをかじってオシャレしてみるか、みたいな(笑)。
澤本
軽音のサークルがちょっと怖かったんで(笑)。ホーンのサークルは、女の子もいて楽しそうだったんですよ(笑)。

バンドの音楽性は、当初と変わりました?

寺井
結構変わってて。結成くらいの時は洋楽大好きっ子で、レディオヘッドとか聴いてたんですけど、一年くらい経ってはっぴぃえんどに出会って、それは3人とも共通して好きで。でも最近は、また洋楽ブームが来てますね。
浦山
当初は寺井も日本語で歌う気がなかったらしくて、英語じゃないけど英語みたいっていうか、呪文みたいな歌詞で歌ってて(笑)。それを耳コピしてハモってたんです(笑)。

すごい(笑)。今は日本語詞を大事にしてますよね。

寺井
そうですね。シンプルな言葉でも音楽に乗ることで広がりを持つ気がするし。また、大学に来てた留学生に“何で日本人は自分の国の言葉じゃなくて英語で歌う人が多いの?”って言われて。最初は“!?”って思ったんだけど、確かにそうやって気付いて、そこから日本語を大事にするようになったんです。

歌詞は日常を鮮やかに描いてますよね。

寺井
聴いていて絵が浮かぶような手法にしたいんですよね。難しい言葉ばかりで景色が浮かばない音楽は好きじゃなくて。究極はサントラみたいな音楽を作りたいんですよ。だから、歌詞を書く時も絵本を描くようにやってます。

特に「マッシュ」の歌詞なんて、“お疲れさま””おやすみなさい”っていう何気ない言葉が、とても重く美しく聴こえてくるんですよね。

澤井
僕が書いたんですけど、そうなんです(笑)。普通の言葉でも、如何にいろんな捉え方ができるかっていうか。

あと、そういった歌詞の魅力を引き立てているのは、コーラスによるところも大きいと思うんですが。

寺井
3人しかいないと、音が足りないことが発覚して。そうなると、声を多用するしかなかったんですよね。
浦山
でも、それが僕らの武器だと思います。地ハモだけじゃなくて、楽器のようにそれを打ち出せたらいいかなって。

また、LOVE LOVE LOVEの歌を大切にするシンプルな音楽性って、今の時代、逆に新鮮ですよね。

寺井
確かに今は、そういう音楽性でやっているバンドは少ない気もしますね。でも、僕はどんな時代でも、そういう音楽の方が、とてつもない力になる気がしてて。時代を飾ってきた数々の音楽って、僕はポップスやと思ってるんですよ。そういう存在になれたらいいなって常々思ってるし。
浦山
でも、やってて思うんですけど、シンプルなものこそ一番難しいんじゃないかと。スタンダードを極めるっていうか。
寺井
あとは、歌を大事にしたい気持ちが強いんで、楽器がガチャガチャ鳴ってたら伝わらないと思うし。もっと深く言えば、マニアックなことをクールにやるのが大事だと思う。

「狂える僕らの深層心理」は辛辣なことを歌いつつも、明るい曲調ですよね。そういう手法も興味深いです。

寺井
僕の中で、暗い歌詞を暗い曲で歌うのは好きじゃないっていうのがあって。あえて曲で笑い飛ばしたいっていう。また、明るい詞で明るい曲だと、ウソみたいになる気がして。だから、逆をあてがうようにしてますね。大事なことは、投げやりにならないことというか。書き留めることによって、現状を自分の中で分かるのが大事だと思うんで。でも、この曲の、元ネタは“チャイナチャイナ イッチャイナ”ってふざけて歌いながら3分くらいでできたんです(笑)。でも、くだらないことも多分くだらなくないんですよ。だから、もっと今後真剣に遊んでいきたいとは思ってますね。
LOVE LOVE LOVE プロフィール

滋賀県立大学の音楽サークルで出会った寺井孝太(vo&b)、浦山恭介(g)、澤本康平(dr)で結成された3ピース・バンド、LOVE LOVE LOVE。バンド名の由来は、結成当時、歌詞が完成されていない曲に鼻歌で「LOVE」という言葉をのせてよく歌っていたことによるもの。大学卒業後、京都を拠点にライヴ活動を始め、インディーズ・レーベルよりミニ・アルバム『High Color Blue』『ターコイズ』をリリース。

08年4月に上京し、全国的な活動をスタート。10-FEETが主催する夏フェス『京都大作戦2008』への参戦や<FM802>のヘヴィー・ローテーションに選ばれるなど、インディーズながら大きな注目を集め、年末には『COUNTDOWN JAPAN 08/09』に出演。そして、09年5月に<SPEEDSTAR RECORDS>よりミニ・アルバム『ソライロノオト』でメジャー・デビュー。10年1月に発売されたミニ・アルバム『空想パドル』は、『ターコイズ』『ソライロノオト』に続くブルー三部作の完結編となり、バンドの骨組みが着実に形成されてきたことを表している。温もりに包まれた歌声と、優しさと切なさの滲む楽曲がリスナーの心に響き、話題を呼び始めている。LOVE LOVE LOVEオフィシャルサイト
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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