取材:榑林史章
Do As らしさの中にある新たな可能性
再始動するにあたり、どういう想いがありましたか?
大渡
最初は封印を解くのは少し怖かったし、割り切れない部分もあって。“ファンにとって良いことなのか?”とか“新しいことを模索して少し形になろうとしていた自分にとって良いことなのか?”、すごく葛藤しましたよね。だから、期待と不安が入り交じった再結成だったというか。
でも、やり残したことにもう一度チャレンジできるチャンスなんじゃないかと?
大渡
はい、時間をかけてそう思うようになりました。それに3年経って、伴ちゃんは以前より視野が広がって、また一緒に音楽を創っていきたいと思える人物に成長していたし。
伴
最初に亮くんに話をした時はファイナルの武道館以来のコンタクトで、私の中ではかなり意を決してのことでした。亮くんが戸惑った気持ちもすごく分かるんですよ。逆の立場だったら私も戸惑うと思うし。
それでも封印を解きたいと思ったのは?
伴
当時の自分の未熟さに気付いたというか…。みんなを振り回して迷惑をかけたって猛省したし、解散して離れてみてバンドの存在の大きさを痛感して、それでもう一度っていうのは確かに虫が良い話だったんだけど…当時は自分のことしか考えてなかったんだなってずっと自己嫌悪で。それで“あの時のみんなと、今度はもっと違う景色を見たい!”って純粋に思うようになったんです。もっとできることがあったはずだし、今ならそれもできるんじゃないかって。
去年の『a-nation』、代々木公園野外ステージでの復活フリーライヴ、そして2月~4月のツアー。ファンの反応をどう感じました?
伴
『a-nation』の時は1曲だけだったんだけど、出る直前まで不安で、“ノーリアクションだったらどうする?”って言ってたんです。でも、実際に出たら反応も良くて。
背中を押してもらえた感じ?
伴
それも大きかったですし…期待に対する緊張と不安、懐かしさと喜びとうれしさ、いろいろな感情があって。その中でも特別だったのは、覚悟を決めたというか、腹を括ってる感じ。だから、決してうれしいだけじゃなかった。
大渡
代々木の時は小雨で、濡れながら一生懸命合唱してくれているお客さんの様子にはやっぱりグッときましたね。
伴
ツアーをやってやっぱり私の居場所はここなんだ!って実感した。だから今度は、みんながライヴに聴きに来てくれる限りは何があってもやり続けようって思ってます。
今のおふたりにとってDo As Infinityはどういう存在?
さて、4年半ぶりのシングル「∞1」をリリースされるわけですが、リード曲の「生まれゆくものたちへ」は、以前のDo As Infinityらしさを継承しつつ新しさも感じるものになりましたね。
大渡
そうですね。最初に聴いた時、これはやるべきだろう!と思いました。質感は憂いがあって以前の僕らの感じなんだけど、メロディーのあり方は以前とはまったく違う。長尾 大の曲ではないという部分での違和感もむしろ新しく感じたし、これが新生Do As Infinityの1曲目なんだと実感する曲になった。特にメロディーは、伴ちゃんの歌心をより表現しやすいものになってると思います。
伴
私たちらしいと言えばそうだけど、やっぱり新しい。すごく良い曲だし、絶対に歌いたい!と思いましたね。
“十字架”という歌詞とか、すごく世界観がありますね。
伴
生命とか、生きることについてメッセージしてるんです。
大渡
僕のイメージでは映画の『ダ・ヴィンチ・コード』みたいなゴシック調の世界観かなって。Do As Infinityってもともとそういうのがあったし、それはきっと伴ちゃんの声がそう感じさせると思うんだけど。
久しぶりにレコーディングした感じは?
伴
歌いながら“そうだ、この感じだったね”って思い出していったところが最初はありましたね。
大渡
始まってみたら、全てが以前のままで。でも、それはすごい安心感になってました。
3曲目の「Timeless」はライヴを意識した感じ?
伴
確かに、これは録ってる時はライヴでやってる風景が浮かんでましたね。盛り上がるだろうなって。
夏フェスにぴったりの曲ですよね。
大渡
この曲だけまだ人前でやってないんで楽しみですね。
そして、11月には日本武道館ですね。
大渡
単独名義では2005年11月25日の解散ライヴ以来4年ぶり。あの時のライヴはすごく良い内容で、やりたいことをやり切った感じだったんです。だけど、今度の武道館は、絶対にそれを超えるものにしたいと思っていて。
伴
私はまたやれる喜びが一番かな。新たなDo As Infinity、前より進化したDo As Infinityを観てもらいたいし、楽しい1日にしたい。まあ、武道館に限らずライヴはいつもそんな感じなんだけど。とにかく、ホントうれしいです!!
「高湿度の歌謡メロディと70's型ロック・サウンドの融合」に真正面から取り組む伴都美子(vo)、大渡亮(g)から成るポップ・ロック・ユニット。99年のデビュー・シングル「タンジェリン・ドリーム」を皮切りに、「ハート」「オアシス」とマニア心/大衆性が同居した秀逸楽曲を次々にチャート上位へと送り込んでいった。00年には1stアルバム『ブレイク・オブ・ドーン』をリリース。ソウル/ハードロック/フォーク・ロック/歌謡曲の旨味がイイ感じにしみ込んだ力作である。その後も、ヒット作を連発し02年には初のベスト盤『Do The Best』をリリース、武道館公演を開催するなど人気バンドとして華々しい活動を繰り広げた。
05年9月、音楽の方向性の相違、メンバーのソロ活動の活発化に伴い、惜しまれながらも解散を宣言し、シングル・ベスト『Do The A-side』をリリース。11月には日本武道館でラスト・ライヴを開催し、6年間の活動にピリオドを打つ。その後、伴都美子はソロ活動に、大渡亮は自身のバンド・ミサイルイノベイターとして活動するなど、それぞれの道に進んだ。
08年春、メンバーやスタッフが再会したことがきっかけとなり、再結成を決意。『a-nation'08』にてシークレットとして1曲のみ演奏し、再結成を発表。08年9月29日を再結成の日とし、再始動をスタートさせる。そして09年6月には、再結成後初のシングルとなる『∞1』をリリース。Do As Infinity Official Website
公式サイト(レーベル)