取材:土内 昇

今一番やりたいことを3曲で全部できた

前作「1sec.」がライヴに於ける起爆剤だとしたら、今回の「super stomper」はさらに大爆発させるような曲ですね。

TAKUMA
でも、今回は着地点についてそんなに考えてなかったんですよ。二転三転して、このカタチに辿り着いたんで。ちょっとやっては“なんか違うなぁ”って感じで…口当たり良くっていうんじゃなくて、口当たりで全部をぶっ壊してしまうぐらいなもので、それでいて後には何かがしっかりと残っているような曲を作りたかったんです。結局、レコーディングの当日までアレンジ作業をやってましたね。
NAOKI
この曲は時間がなくて、ほんまギリギリだったんで、この1曲に集中してやってました。
KOUICHI
サビの2ビートも最初はこれじゃなかったんですよ。イントロ部分とかすごくノリがいい感じだったんで、もっと変化を持たせるために、サビを2ビートにしたり…お互いにアイデアを出し合っていって、この形に落ち着いたというか。
TAKUMA
重いのも、疾走感があったり、跳ねたりするのも好きなんで、それを1曲の中に全部押し込んでもゴチャゴチャした印象を与えないように如何にするかが、曲を作ってて一番気を付けていることなんですけど、そこを欲張ったままいい形にすることができたと思いますね。

そんなサウンドに乗る歌詞は、美化されていく思い出に浸っていて、“未来が怖いんだよ”と言ってるのですが、“跳べ!”という感じで、“いつの日か踏み出す”という前向きな意志を持っているという。

TAKUMA
そうですね。全部エネルギーに変えようって。やっぱり、人間って弱気になると思い出を美化しがちになってしまう…僕、それ自体は悪いことだとは思ってないんですけど、“もっといい未来があるはずだ!”と思わないと良い結果が出ない場面はたくさんあるし…でも、やっぱりそう思わないとあかんかな。“思い出よりも素晴らしい未来がある”って勘違いでもいいから、そう信じ込んでいくことが大切だと思いますね。

2曲目の「Mr.bullshit」は勢いのあるポップチューンですが、そもそもどんな曲を作ろうとしたのですか?

TAKUMA
これ、かなり前に合宿で作った曲なんですよ。ネタっていうか、パーツを持って行って、それをみんなでワ~っとやったって感じですね。だから、原曲を作ってどうのっていう感じではなかったんですよ。

では、どんなことを意識してプレイしました?

TAKUMA
頭から最後までスピードとかノリがそんなに変わらない…テンポ感っていうんですかね。“最後まで表情をあんまり変えずに楽しいまんまに”ってことを意識してましたね。フレーズのパターンが変わってもノリはそのままでって。
NAOKI
ベースも楽しい感じのメロディーを活かせるようなラインをイメージして…流れるようなイメージがありましたね。間奏あけのちょっとしっとりとした部分とかは、音が流れるような感じでプレイしてました。
KOUICHI
ドラムはアグレッシブに…この曲だけじゃないですけど、ライヴを意識しながら叩いてました。勢いを出しすぎてテンポが速くなる時もあるんですけど(笑)、そこは意識したいところですからね。ライヴで絶対にやる曲なんで。

3曲目は「BURN」。同期を取り入れたロックナンバーですね。

TAKUMA
これね、もともと1曲目にしようと思ってたんですよ。すごい勢いのある曲になったんだけど、今欲しい勢いとは違ったんですよね。で、「super stomper」を作ったんです。そういう意味では、3曲目で出す勢いに相応しい…がむしゃらに猛スピードでいくっていうんじゃなくて、一番力が入るリズム感というか、思いきり歌えるテンポ感だし、それでいて10-FEETが持ってるいろんな音楽性のひとつひとつのカロリーを高めて出せたと思いますね。

同期が絡むことで、より重さが強調されますしね。

TAKUMA
出ますよね、バンドサウンドで出ないような重さが。だから、レコーディングの中盤ぐらいから“これは同期やな”って話になって、試しながらやってました。

この曲でも“過去はBURNING”とメッセージしてますが、そういう“思い出に浸るな!”的なモードだったのですか?

TAKUMA
そうですね。ネガティブになるなって。“過去も燃料にしちゃえよ”みたいな感じで。

今回は3曲とも勢いがありますが、どんな作品が作れました?

TAKUMA
毎回、心がけて作ってることなんですけど、アルバムのような仕上がりになりましたね。「super stomper」はすごいバランスがとれていると思うんですよ。各ジャンルとしてのひとつひとつの主張はあるけど、そんなに重くなくて、それよりもとにかく走り抜けることを優先している。「Mr.bullshit」は10-FEETの音楽性という部分で欲しい曲だし、「BURN」では日本語の歌詞でも伝えたいことはあると思ってトライしてみたり…今一番やりたいことを3曲で全部できたと思います。
KOUICHI
「1sec.」の時のバランスとはまた違った並びなんですけど、10-FEETらしいって思いますね。曲のタイプは違うものの、それぞれの曲に“攻撃”というキーワードが当てはまると思いますね。
NAOKI
それぞれ違う方向性での“勢い”が出せたと思うんで、それがひとつのシングルとしてまとまったというのは…
TAKUMA
それ、もう言うたで(笑)。
NAOKI
…えっとね…いい感じの曲ができたんで、アルバムで楽ができますね(笑)。
TAKUMA
ああ、こういう曲ってアルバムで絶対に必要やけど、作る時に結構考えるもんな。それがすっと出てきたというか。
10-FEET プロフィール

テン・フィート:1997年に京都で結成。現在も拠点を京都に置いて活動中。シンプルな3ピースという形態ながら、メロコアというジャンルではすでに括ることのできないその音楽性は、ロック、パンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ等のジャンルを10-FEET 流に取り入れて幅広い独自のものを確立、ロックシーンで確かな存在感を示している。また、年間約100 本近い精力的なライヴ活動も、その迫力満載のライヴパフォーマンス、人間味あふれる深いメッセージが込められた歌詞やMC、笑顔を誘い出すキャラクターで常に話題を振り撒き、エンターテイナー性あふれるその活動スタイルを徹底している。また、2007年から自身で主催する野外フェス『京都大作戦』(2007年は台風の接近のため中止)も大成功におさめている。10-FEET オフィシャルHP

OKMusic編集部

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