取材:高橋美穂
今まで何枚もカバーアルバムを出してきましたけど、テーマを絞って作るのは、初めてですよね。
今回、テーマをなぜラブソングにしたのですか?
またカバーアルバムをやりたかったんだけど、(『GUILTY PLEASURES』は)1、2、3とやってるから、特別なのを出したいと思って。で、やりたかった曲がほとんど“LOVE”がテーマだったから、じゃあ“LOVE”でいこうと。
スコットはもともとラブソングが好きなんですか?
いろんな曲好きだけど、いい歌詞のラブソングはキュンってなるじゃない?(笑)
(笑)。あと、今までのアルバムと違うのは、全ての楽曲が邦楽であること。今までは洋楽も少しは入ってましたものね。
多分そっちの方が、僕にとっては楽しい。最初、洋楽も1曲か2曲はやりたいと思ってたけど、とりあえずいっぱい曲をレコーディングして、その中で収録する曲を決めようって思って。とりあえずこの8曲をレコーディングしたら、順調だったので、このままで進もうかなって。
とはいえ、収録曲の年代はバラバラですよね。
最初はテーマを“LOVE”じゃなかったら、“80年代”とか“90年代”とかにしようと思ってて。でも、こうなると、バラバラの方が面白いかなって。子供も大人もどっちも知ってる曲もあると思うから。
女子的には、カラオケの定番曲も多いと思ったのですが。
アメリカはカラオケがないから、そういう考え方はないんですけど…日本はすごいですよね。
この中では特に「未来予想図II」が定番ですね。
ドリカムが『LIVE 8』ってイベントをやってることを、日本に来るようになって何年か経った時に初めて知って。その時、この曲をやってて、“何て曲?”って友達に聴いた。すごくいい曲だなって思って。その時は日本の曲をカバーする前だったので、やろうとまでは思ってなかったけど、ドリカムはすごいオーラがあると思った。その時、外国のアーティストが多くて、ビョークとか、グッド・シャーロットとか出てたんだけど、ドリカムはみんな一緒に歌ってて、いい感じだったんです。
なるほど。スコットとしては、特に思い入れがある曲って、どの辺になるのですか?
『なごり雪』は何年か前に聴いて、良い曲だなって思って、ずっとやりたかったんです。
この曲、特に驚きましたよ。こういう時代の楽曲も知ってるんだなって。
ほんと? どこで聴いたかは覚えてないんだけど。でも、イルカさんはシカゴでもツアーやったことある。2年前かなんかに。
へぇ! 観に行ったんですか?
僕、そん時日本にいて(笑)。友達が行ってて。歌詞もすごい良いと思う。
入れ違いだったんですね(笑)。また、今回はいつもにも増して、女性の曲が多いですよね。
まぁ、ラブソングって女の子の方が多いんじゃないですか。
確かに、男の人の方がシャイだから、ラブソングは歌えないイメージはありますよね。
そうだね。女の子の方がはっきり言える気がする。僕も1曲、自分が書いたオリジナルソング(『Until You Wake』)を入れたけれど、歌詞を書いた時に、ストレートで言うと恥ずかしいと思ったから。男はそんなもんかな(笑)
でも聴いていて、いつになくスウィートだと思いましたよ(笑)。
じゃあ、「うる星やつらのテーマ~ラムのラブソング~」なんて、“好きよ”って何度も歌わなきゃいけないから、照れ臭いところもあったんじゃないですか?
そうだね(笑)。“私”って歌うのも恥ずかしかったかな。前に『First Love』でもやったけど。でも、この曲はいろんなジャンルが入ってるから、楽しかった。またアニメソングがやりたかったし。これまでも、『となりのトトロ』とか『ドラえもん』の曲をやってきたから。でも、“LOVE”がテーマのアニメソングってあんまりなくて。『キューティーハニー』をやろうかなとも思ったけど、ベタだからこっちの方がいいかなって。
これも相当だと思うけど、スコットにとってアルバムの中で一番チャレンジしたと思える楽曲って?
『君のすべてに』。もともとヒップホップだから、Aメロとがすごく難しかった。だって、ヒップホップは結構ストレートだし、早口だから。でも、最近の曲もやりたくてね。
アレンジに関して言うと、今回はバラードも多いですけど、どの曲もスコットのルーツであるパンクバージョンにして、スピーディにしているだけじゃないですよね。
ただ速くするだけじゃ面白くないと思ったから。『SAY YES』とか2曲くらい、テンポは変えてなくて。違う道でチャレンジしたかったし。
ホーンアレンジも印象的ですよね。
それは、2月に一緒にツアーをやったオレスカバンドのおかげ。『Balance』の時にもやってもらった、シカゴのジャズバーで演奏していた人たちにお願いしました。
その人たちは、このJ-POPに対して何か言ってました?
アルバムをあげたんだけど、すごくいい曲だって。他の『GUILTY PLEASURES』も送ってって言われた(笑)
それはうれしいですね。今回のカバーの制作は、オリジナルソングにも反映されそうですか?
こういうカバーをすると、“このコードは何だろうな?”って作曲とかの勉強になる。こういうコードのパターンがあるんだとか知れるから、自分の曲も上手くなるんじゃないかな。カバーもオリジナルも勉強になるから、できるだけどっちも続けたい。
まだまだカバーしたい曲はたくさんありますか?
いっぱいある。今回、この曲入れたいけど“LOVE”じゃないって入れられなかった曲もあったから。あとは今回、『心の旅」もやりたかった。その時代の曲もいい曲あるし。
相変わらず詳しいですね(笑)。
いや、このためだけじゃなくて、音楽馬鹿だから(笑)。時代だけじゃなくて、どのジャンルでもいいバンドはいいと思うし。このジャンルはダメとかない。
じゃあ、今後スコットのオリジナルで、ラブソングが増える可能性もありますか?
…頑張りましょう(笑)。日本語で書いてみたいなぁ。