L→R 苣木寛之(Gu&Vo)、北里晃一(Ba&Vo)、佐々木 周(Dr&Vo)、森山達也(Vo&Gu)

L→R 苣木寛之(Gu&Vo)、北里晃一(Ba&Vo)、佐々木 周(Dr&Vo)、森山達也(Vo&Gu)

【THE MODS】“だから、THE MODSなん
だよ”っていうものにしたかった

THE MODSのニューアルバムが完成した。過去の2作が企画色が強かっただけに、ロックなサウンドをガツンとかましてくるかと思っていたが、それだけではない温かさもそこにはあった。その“温かさ”とは、デビュー29年目にしてバンドを楽しんでいる彼らの姿だったようだ。
取材:石田博嗣

09年は周さんが正式加入し、過去の音源の再録を配信でリリースしたり、83年に発表した新曲3曲とライヴテイク2曲が入った『GANG ROCKER』がフルアルバムだったら…という想定での11曲入りのアルバム『GANG ROCKER...If』をリリースするなどして、THE MODSが足場を固め直しているような印象があったのですが。

森山
周が正式メンバーになるまでの2年というのは、やはり精神的には微妙な時期ではあったよね。20何年も一緒にやってきたドラマーがいなくなったということで、ある意味THE MODSであってTHE MODSじゃないような。でも、3人になろうがTHE MODSはTHE MODSなんだという意識でやってたし、周が入ってくれたおかげで切り替えれたというか…無名の若いドラマーが入ることで、自分たちも真っ白な状態に戻れたというかね。だから、長い第一章が終わって、新たなスタートを切ったというのはあったと思います。手探りだったけど、リフレッシュしながらやれたっていうのが本音ですね。

ちなみに周さんは、正式加入するまでの2年間はどうでしたか?

佐々木
当時の自分はまだ23歳で、バンドは26年目だったから“怖いな~”って思ったんですけど、メンバーさんの助言もあって、どんどん自信も出てきて…でも、初めてのライヴはメンバーさんしか観れなかったですね。そこからの2年間は勉強期間で…今も勉強中なんですけど、そこでTHE MODSの在り方を学びました。
森山
結果的になんだけど、周で正解だったなって。最初は名前があって、腕もあるドラマーとやるのが一番早いって考えたのね。でも、そうなると絶対に比べられるじゃないですか。それは両方の人にとって良くないことだと思ったわけ。逆に周みたいな“誰? えっ、23歳!”だと比べようがない。そういうことよりも…The Clashじゃないけど、“誰にでもチャンスはあるんだ。一夜で変われるんだ”っていう部分でTHE MODSらしいと思って。昨日までTHE MODSのライヴで拳を上げて観ていたヤツが、次の日にはそのステージに立ってるっていうのは、もうドリームだよね。そっちのほうが俺たちらしい。

確かにそうですし、そんな周さんをファンも受け入れてましたしね。そういうところもTHE MODSらしいというか。では、今回のアルバムについてうかがいたいのですが、09年は『GANG ROCKER...If』を作って、そのツアーもあっただけに、曲は並行して作っていたのですか?

森山
『GANG ROCKER...If』の時に曲をダーっと作ったんだけど、あのアルバムは83年の匂いを残さないと意味がないから、“これは今のTHE MODSだよね”って振るい落とされた曲があったんですよ。で、ツアーが終わった時に一瞬休むことも考えたけど、残った曲たちを音源にしておきたいよねって。“今のTHE MODS”なんだから、今出すべきじゃないかって踏み切ったというか。だから、それプラス、新たに曲を書いて作ったのが、今回のアルバムですね。メンバー全員が歌っているんですけど、そういうのは今までになかったし、すごくバラエティーにも富んでる…一聴するといつものTHE MODSなんだけど、1曲1曲を聴くと、ロックもあるし、パンクもあるし、R&Bっぽいものもジャジーっぽいものもあって、全てのビートが入っている。そういう意味では、この2年で経験できたことがひとつのかたちになってると思いますね。

聴き終わった時の一番の印象としてはTHE MODSらしい棘はあるけど、温かさが残るアルバムだと思いました。

森山
今回は“バンドなんだ”という楽しさが出ればいいのかなと思ってて、みんなのキャラが出ているというか、“だから、THE MODSなんだよ”っていうものにしたかったんですよ。

メンバー全員が歌っているというところでも、それぞれがのカラーが出てますよね。苣木さんらしいロックンロールがあって…

森山
相変わらず北里は北里だしね(笑)。苣木と北里はこれまでのアルバムでも歌ってるんで、とりあえず今回は周に歌わせようと思って、「RIGHT TIME RIGHT WAY」をなんとなく作って、最終的に周と仕上げたんだけどね。でも、なんせ初めてなんで、俺もどんなものを作っていいのか分からなくて。だから、ベースに戻ろうと。で、THE MODSの基本である博多ビートと、いわゆるオールドロックンロール・スタイルかなって、その2曲を作って持っていったんですよ。最終的に“どっちが好き?”ってことで、「RIGHT TIME RIGHT WAY」なったんですけどね。
佐々木
2曲ともめちゃくちゃカッコ良かったんですけど、THE MODSは博多のバンドっていうイメージが強いから、そういうビートを経験したいと思って「RIGHT TIME RIGHT WAY」を選ばせてもらいました。それに、この歌詞は僕にしか歌えないんじゃないかなって。“グーチョキパー”ってのは森山さんにはキツいだろうから(笑)。

今まで歌ったことは?

佐々木
ないです。しかも、今までのTHE MODSの歴史の中でドラム&ヴォーカルっていうのはないんで、“それをやっちゃう!?”ってすごい焦りましたね(笑)。でも、森山さんにいろいろ歌い方を教えていただいて、最終的にいいテイクが録れました。
森山
“こういうことができるのもバンドだろう”って。ライヴでどこまでやれるかっていうのと、客に受け入れてもらえるかっていうのは分からないですけどね(笑)。でも、それも楽しいかなって。そうやって楽しいことをどんどんやっていきながら、伝えたいことはしっかりと伝えていきたい。今は、その気持ちが強いですね。

バンドを楽しみながらアルバムを作ったという感じですね。

森山
今までって“こうしよう”ってなるとパッとできたんですよ。長年やってきた仲間だったから、もうルールが自然にできてたというか。そのルールが壊れてしまったのは事実なんだけど、逆に新たなルールが生まれようとしている最中だと思うわけ。今回はみんなで歌うってことで、楽しみながら“ああでもない、こうでもない”って感じでやれましたね。昔は一生懸命にやることが全てだったけど、今は一生懸命ってのは当たり前で、プラスそこに“楽しい”であったり、ユーモアの要素があるっていうか。やっと、それができるようになったってのはありますね。
THE MODS プロフィール

ザ・モッズ:1981年にアルバム『FIGHT R FLIGHT』でメジャーデビュー。以来、時代に流されることなく、音楽に対する真摯な姿勢を貫き、ファンのみならず多くのアーティストたちにも多大な影響を与え続けてきた。技術や理屈だけでは作り出せないバンド然とした強靭なサウンドと、リーダーである森山の類稀なる歌唱力とカリスマ性が最大の魅力である。THE MODS オフィシャルHP

OKMusic編集部

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