【彩冷える-ayabie-】もっとこのバン
ドを知ってもらいたかった
温もり、切なさ、激しさ…曲ごとに放つ色を自在に変える、彩冷えるーayabieー待望のアルバムが完成! 昨年のメジャーデビューから加速し続ける5人に本作を語ってもらった。
取材:ジャガー
2009年、バンドにとって変革の年だったように思います。
葵
これまではツアーに行くために曲を作るという感じだったんですけど、“いい曲を作ってそれをライヴでいかに表現するか?”という考えになり、各々が自由な発想で作曲に取り組めました。もちろんライヴも相変わらずやってはいるんですけど、これまで以上に楽曲制作に打ち込めたっていうのは大きいですね。一番音楽と向き合えた1年だと思います。
ケンゾ
メジャーに行ったからなのか分かんないですけど、個人的には大人になりましたね。歳を重ねてるだけなのかな? 自分たちの根本は何も変わってないですけど、支えてくれるスタッフであったり、関わる人も増えたからでしょうね。
そんな1年を総括した内容の今作ですが、タイトル通り個性豊かな楽曲が収録されていますね。
葵
作品の世界観であったり、コンセプトというのは特に今回はなくて。強いて挙げるならば、メジャーでの1stフルアルバムなので、シングル3作品で彩冷えるーayabieーを知った方々にもっとこのバンドを知ってもらいたかった…うちのバンドは作曲者が4人いるのも魅力のひとつなので、その魅力を前面に押し出せるように、作曲者の個性が光るものを詰め込んで、ひとつの作品にしているので、バリエーションに富んでいると思うんですよ。そういう意味でも、タイトルの“彩”はピッタリですね。
タケヒト
なので、“いちからアルバム用に曲を作ってきました”っていうのではなく、これまでのシングル3枚を出す時に作っていた曲で“これはアルバムのほうが映えるんじゃないか?”って温めていたものを出すことが多かったですね。メジャーで初めてのアルバムだけど、アルバムの全体像は早い段階で見えていたんですよ。で、いざアルバムのために曲を持って行こうとなった時に自分にしか出せないカラーのものにしようと2ndシングル「夏物語」の世界を突き詰めて、その延長線上にあるもの「恋をしようよ」を作りました。
葵
「恋をしようよ」が一番の挑戦でしたね。曲の持つ雰囲気を押し出したくて、表面上のカッコ良さを完全にとっぱらった歌詞を書いたんで、ロックバンドの歌詞ではないような。
聴いてるこちらが恥ずかしいぐらいの胸キュンな歌詞ですものね(笑)。これも彩冷えるーayabieーだからこその味付けだと思います。一転、バンドサウンド全開の「0010101」があったり。
インテツ
僕はライヴを意識した曲作りをしていたので、「0010101」はこれまでの表情からガラッと変わってると思うんですよ。ギターリフから始まって、ラウドな感じで攻めていて。シングルでは音源としての完成度は高いものが揃ったと思うんですけど、ライヴでの僕らのバンド感をもっと音源に出したいなってことで作りました。ライヴの最後にお客さんが笑顔になっていくシーンを思い返しながら作った「未来へ」は、ライヴを意識してるけど「0010101」とは違うアプローチの仕方なので面白いですね。
ひと言にライヴと言えど、盛り上がることを意識したり、聴かせどころを作ったりとさまざまな場面がありますからね。夢人さん作曲は、テクノサウンドの光る「GAME」やジャズ要素の強い「shake」など、多岐に渡ったサウンド展開で驚きました。
夢人
「shake」は最初のものとは大きく変わって、だいぶ本格的になりましたね。ジャズっぽい音使いはしてたんですけど、ジャズではなかったので。まぁ、仮タイトルに“ジャジー”と付けてたので、ジャズを得意とするプロデューサーの方にお願いするという安易な考えでお渡ししたら本物になって返ってきたので、それを自分たちの中でいかに消化するかってことに苦労しました。“こういう曲も自分たちはできるんですよ”ぐらいのノリで結構自由に曲作りをしていて、選曲会の時に特殊なものがどんどん選ばれていったので、結果としてアルバム全体の色付け役になっているものが多いんじゃないかなって。
ケンゾ
音楽的に何でも聴けちゃうタイプなんですけど、壮大なもの、切なさが入ってないとダメだなっていうのはありましたね。それを踏まえつつ、今の自分たちらしくも自分たちの新たな面が出るように。そういうのを探しながら。
歌詞に関してはいかがですか?
葵
シングルよりも複雑になってると思うんですよ、正直。でも、アルバムだからこそできる表現方法だと思ってるし、シングルよりも世界観が浮かびやすい言葉というのは気を使っています。ちょっとニュアンスが分かりづらいのかもしれないけど、映像は浮かびやすく書いたつもりです。
「映写機が写す空」は小説を読んでいるような感覚でした。
葵
最初、アルバムの全体として考えた時にどうかなとは思ったんですけど、夢人が作ってきたデモの段階でそういう世界観かなっていうのがあったので、アルバムだからこそできる挑戦だと思い、純粋な絆をテーマに突き詰めて書いてみました。
舞台は戦時中ですよね?
葵
そうですね。現代の人間関係はいろんなものが栄えすぎてて薄っぺらくなってるじゃないですか。でも、昔は今よりも伝達手段が少ないですし、人とのコミュニケーションがもっと深かったと思うんですよ。戦時中に生きてきたわけではないですけど、そういうことを歌ったら今の人はどう捉えるのかなって。
ケンゾ
引き込まれますよね。単純に聴いてていい曲です。
2010年、幕開けとして素晴らしい作品に仕上がったのではないでしょうか。
タケヒト
英語でいうと“ブレイクイヤー”です(笑)。
アヤビエ:2004年5月に結成。シングル「会いたくて」で、満を持してメジャーデビューを果たす。葵(Vo)が作詞、その他メンバー4人ともに作曲を手がけ、それぞれの個性を持ち合わせ彩冷えるーayabieーサウンドを構築している。彩冷える-ayabie- オフィシャルサイト