【石橋 凌】『Neo Retro Music 2016
』2016年3月6日 at EX THEATER ROPP
ONGI
今年の7月20日に60歳の誕生日を迎えることから、“R-60 PROJECT”を立ち上げた石橋 凌。第一弾はライヴアルバムのリリースであり、第二弾が今回のツアーである。オープニングで伊東ミキオが奏でる鍵盤をバックに、スツールに腰掛けて歌う石橋。しっとりとした静かな幕開け…だったのだが、曲が進むつれ石橋のテンションは上がり、楽曲に込めたメッセージを届けるように全身を使って熱唱する。今日のライヴが熱いものになることは、もうこの時点で約束されたようなものだ。アコーディオンとアコギで「Just a 16」を披露した後、続く「PALL MALLに火をつけて」からはバンドスタイルとなり、時にバイオリンやホーンも加わって、クールでシック、ジャジーでスタイリッシュなサウンドで観る者を酔わせていく。前述の伊東をはじめ、藤井一彦(Gu)、渡辺圭一(Ba)、池畑潤二(Dr)、梅津和時(Sax)という百戦錬磨の強者メンバーが繰り出す、余裕があるのに隙がないグルーブは、まさに圧巻のひと言。もちろん、それは石橋の歌力があってこその演出だ。ARB時代からワークソングを歌い、今なおプロテストソングを歌い続けているだけに、届けられる一曲一曲にはドラマがあり、リアルがあり、胸の奥まで震わされる。戦場ジャーナリストや戦場カメラマンの功績を讃える「ROCK'N ROSE」や、自分を鼓舞するために書いたという「我がプレッジ」は特に心に染みた。また、ライヴ中に重大発表も! “R-60 PROJECT”の第三弾として、60歳の誕生日に赤坂BLITZにて一夜限りのスペシャルライヴを開催することがアナウンスされた。60歳は“還暦”ではなく、“感激”だと語る石橋が、どんなステージを観せてくれるのか興味津々である。
アーティスト