2カ月連続リリースの第2弾は沖縄島唄の名曲のカバーであり、NHKドラマ『八日目の蝉』の主題歌。どんな想いで歌に臨んだのかを語ってもらった。
取材:石田博嗣

「童神 ~私の宝物~」はカバーなのですが、この曲を歌うことになったいきさつというのは?

この曲がドラマの主題歌になることが決まっていて、それを歌う人を探していたみたいで、お声がかかったという感じです。昔から好きな曲だし、私が歌手になるきっかけになったオーディションで歌った曲なんですよ。だから、すごく思い入れがあるし、その曲でCDが出せるっていうんで運命を感じますね。

そもそも、この曲と出会ったきっかけは?

テレビで夏川りみさんが歌っているのを観て、すてきな曲だなって思ったんですよ。で、私も歌いたいと思って…当時は島唄を歌っていたので、三味線を弾きながらライヴで歌うようになったんです。CDは標準語なんですけど、もともとの歌詞は沖縄の島口…言葉なんですね。沖縄の島口と奄美の島口ってすごく似てるし、標準語では言い表せない島の方言がいっぱいあるので、歌っていてしっくりとくるんですよ。だから、完全に自分のレパートリーのひとつになってましたね。

そんな思い入れのある曲を今回レコーディングしたわけですが、そこで意識したことは?

ドラマの内容が複雑で…他人の子供を誘拐して、3年半逃亡するっていう。だから、それに寄り添った歌いかたにするっていうことになって、ずごく大事なんだけど、自分の子供じゃないっていう葛藤がある…そういう愛情を意識して歌いました。アレンジにしても、エレキギターの歪みとか入れてドラマチックにして。あと、自分でも三味線を弾いたんですよ。スタジオミュージシャンに混じって、想いを込めて弾きました(笑)

録り終わったものを聴いてどうでした? 今まで歌ってきたものとは違うものに仕上がったと思うのですが。

そうですね。すごく新鮮というか…音や歌い方も含めて、やさしさだけじゃない世界観みたいなものが作れたなって思いました。新しいバージョンができたなって(笑)

カップリングの「星の咲く路」は初めての作家さんとのコラボになるのですか?

あっ、そっか! いろんな曲を作ってもらってる方なんですけど、CDに入るのは初めてですね。この曲をいただいたのはずっと前で、デビュー前にライヴ修業をやってたんですけど、その時から歌ってるんですよ。だから、一番長く歌ってる曲かもしれないです。デビュー曲の『アイツムギ』よりも前ですね。そんなライヴでずっと歌ってる曲なんですけど、グイン(奄美の島唄独自の歌唱法)を入れてなかったんですよ。ライヴはお客さんに向けて歌っているけど、つぶやくような歌詞なので、レコーディングで新たにグインを入れたというか。グインを入れることで曲が持つ距離感が違ってくるので、レコーディングではそこが壊れないように意識しましたね。そういう意味では、今回のシングルはどちらも昔から歌っていた曲なので原点でありつつも、新しい要素も取り入れて表現してます。

あと、配信でアメリカデビューされるとのことですが。

はい。『夢の地図』という曲で。アメリカのフジテレビに『モーニングアイ』っていう日本語でやっている情報番組があって、そのテーマソングなんですよ。それも1年間! だから、いろんな人に聴いてもらえるかなって。

1stアルバムのテーマだった“世界の島唄をグインでつなぐ”が、より現実のものになってきましたね。

まずはアメリカから世界進出! …ですね(笑)
「童神 ~私の宝物~」
    • 「童神 ~私の宝物~」
    • PCCA-70279
    • 2010.04.14
    • 1050円
城 南海 プロフィール

キズキミナミ:平成元年 鹿児島県奄美大島生まれ。奄美民謡“シマ唄”をルーツに持つシンガー。2006年に鹿児島市内でシマ唄のパフォーマンス中にその歌唱力を見出され、09年1月にシングル「アイツムギ」でデビュー。代表曲は、NHKみんなのうた「あさなゆうな」、「夢待列車」をはじめ、NHKドラマ『八日目の蝉』の主題歌「童神~私の宝物~」、NHKBSプレミアム時代劇『薄桜記』の主題歌「Silence」、一青窈作詞、武部聡志作曲・プロデュースのシングル「兆し」など。また、テレビ東京『THE カラオケ★バトル』に2014年7月に初出演以来、毎回高得点をたたき出し、現在、番組初となる10冠を達成。オンエアの回数が重なるにつれ、カバーアルバムを望む声が多く集まり、15年に初となるカバーアルバム『サクラナガシ』『ミナミカゼ』、17年11月には3枚目のカバーアルバム『ユキマチヅキ』をリリース。20年にはディズニー実写映画『ムーラン』の日本版主題歌「リフレクション」の歌唱が決定し、日本版の訳詞も担当。ライヴでは毎年恒例のワンマン公演『ウタアシビ』の他、さまざまな音楽フェスティバル、イベントに出演している。城 南海 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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