L→R ノダボーダー(Vo&Gu)、カワニシブラック(Dr)

L→R ノダボーダー(Vo&Gu)、カワニシブラック(Dr)

【BLACK BORDERS】不自由な編成だけ
ど、人としてはすごく自由

個性派ミュージシャンのノダ・ボーダーとカワニシ・ブラックが結成したBLACK BORDERSは、ベースレスという編成からして個性派である。本作はサウンド、コンセプトも超々フレッシュなシーン最注目のオススメ作品に仕上がった。
取材:平山雄一

改めてBLACK BORDERSの編成の特殊さについて。

カワニシ
みんな、やればできると思う。ただ、一般的に“ベースなし?”って考えちゃうところをいかんせん僕は物事を深く考えないタイプなので、やったらどうにかなるんじゃないかなって。The White Stripesとか、初期のストレイテナーとか、カッコ良かったりするじゃないですか。結成のきっかけとしては、2007年末にノダくんに誘われて、リハーサルなしのセッションをしたのが始まりで。しばらくしてノダくんから謎の音源が送られてきたんだけど、聴いたらカッコ良くて。“これ何?”って訊くと、“この前のライヴですよ、忘れちゃったんですか!?”って返ってきた時、これでいいんだって思ったんですよ。まだバンドの名前もなかった頃のふたりで始めたことがすごい楽しかった。あれはショックでしたね。言ってしまえば“できちゃった結婚”みたいなものです。

あはは。できちゃった結婚から現在へ至る道は?

カワニシ
ライヴを通して音が整理されていったんですよ。細かいドラムやギターのフレーズを考えるのではなくて、展開していく時にどの楽器がその場面の主役になるかを考える。ふたりだからざっくりしたやりかたをしたら面白いなって思ってたんですよね。
ノダ
ベースがいなくてもSHIBUYA-AXでライヴしてもいい。自由に選択して、その先にどうなるかっていうのは僕らの責任なので。
カワニシ
そうそう。人が増えれば、音楽の形態やアレンジは自由度が増すけど、個人としては不自由になると思う。ふたりだと楽器的にはいつも鳴らしてなきゃいけない不自由さがあるんだけど、個人としてはすごい自由なんですよね。表現力を求められるけど、逆に言えば表現する場がたくさんあるってことだもんね。

そして、今作『Go To Go』が完成したわけですが、前作よりスッキリしたかなと。

カワニシ
全体的に、前作ではなかったギターリフものになってる。特に「GO AWAY」は普通ああいう曲だったら絶対ベースが要ると思うんですけど、必要ないアレンジができたら面白いなって。何かオリジナリティーを求めて作るっていうことはしなくても、最初から編成にオリジナリティーがあるもんだから、普通にやればどっかおかしいことになるんだよ(笑)。

個人的には「High-Side」のカワニシくんのラップがすごく面白かった。当然、これはユニコーンの「半世紀少年」を経験した後に生まれた曲?

カワニシ
「半世紀少年」で味をしめた(笑)。ノダくんと飲んでて“そういうのもやったら面白いんじゃない?”って言って、ライヴ当日サウンドチェックで適当にリフ弾いている時にドラム合わせて、ラップ合わせてっていう。「半世紀少年」を作る時にいろいろCDを聴いてたんですけど、ラップにもいろんなスタイルがあるじゃないですか。ルーツは違うけど結局リズム遊びだから、言ってしまえばドラムのフレーズを考えるのと同じなんですよね。

新しい考えかただね。ドラマーでラッパーって前代未聞!

ノダ
最初、カワニシさんの「半世紀少年」の話を聞いた時に、すごいなと思ったんですよ。ただでさえパイオニア的な運命の中で生きてますけど、ここでさらにラップまでやるかっていう。新しいことに向かって行くって、良くも悪くも波風が立つじゃないですか。挑戦せずにイメージを守るほうが楽だと思うんですよ。“果たして俺はやっていいのか?”って考えるところがあったとは思うんですけど、そこをあえて果敢に飛び込んでいくのがカワニシさんの魅力。他のドラマーがそれを見て、こういうのもありなんだなって思ってもらえるといいですね。すごい楽しかった。

「won’t be long」では、ジャイヴっていう古いリズムでやっていたのもいいよね。

ノダ
歌の頭にテーマがあって、展開をどうしたもんかと思ってたところに、カワニシさんが“こんなのどう?”って叩いたドラムのフレーズを聴いて、ときめいてできた曲です。

ふたりでアルバムを作ってて、煮詰まりはしなかったの?

カワニシ
僕はないっすよ、ゼロですね。ユニコーンもそういうストレスはゼロ。音楽形態はまったく違うんですけど、目指そうとしているとこが同じなんじゃないかな。“ふたりだけの楽器で何ができるか?”“5人で何ができるか?”って、どっちも同じこと。大概バンドって“何かをしなきゃいけない”ってなるじゃないですか、特にメジャーになっちゃったりとかすると。そうすると、その辺から煮詰まるのかな?

ジャケットはタツノコプロの描き下ろしで、こちらも目に付きました。

カワニシ
アルバムタイトルが『Go To Go』だから、アニメの『マッハGoGoGo』。
ノダ
『マッハGoGoGo』の主役の三船さんと、僕らBLACK BORDERSをタツノコプロのタッチの絵で描いてもらってて。

ふたりはこんなにカッコ良くないじゃん(笑)。

カワニシ
タツノコプロが描いたらそうなるんですよ(笑)。
ノダ
『ヤッターマン』とか知ってるアニメが多いので、まさか自分がその世界に入れるとは。タツノコさんのキャラクターになった気分でうれしかったです。生きてて良かったなって。去年から人生のピークが何度も来てる(笑)。

ピークはこれからでしょ。しっかりツアーに行ってらっしゃい!

BLACK BORDERS
はーい!!
BLACK BORDERS プロフィール

ブラックボーダーズ:ユニコーンの川西幸一(カワニシブラック/Dr)とジァイアントステップの野田タロウ(ノダボーダー/Vo&Gu)によるデュオロックバンド。惜しまれながらも解散したジェット機でのリズム隊でもある(当時の野田はBa)ふたりが2007年大晦日に結成し、そのまま勢いで初ライヴ。作品、ライヴ、いずれもふたりだけで奏でるシンプルかつ革新的な音楽スタイルで邁進する。オフィシャルHP
公式サイト(アーティスト)

OKMusic編集部

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