L→R 小倉範彦(Dr)、山岸賢介(Vo&Gu)、ピストン大橋(Ba)

L→R 小倉範彦(Dr)、山岸賢介(Vo&Gu)、ピストン大橋(Ba)

【ウラニーノ】重さや暗さもひっくる
めて、世界は美しい

ウラニーノがメジャー1stアルバム『World end Happy end』を完成させた。ライヴではキャッチーなパフォーマンスを観せる一方で、楽曲では生死をポップに昇華して聴かせる、ひと筋縄ではいかない要注目なバンドである。
取材:高橋美穂

まず、前説と称して踊っちゃうようなライヴのコミカルな一面と、歌詞のディープな世界観とのギャップが興味深くて。

山岸
最初は全然世界観が違うので、迷いもあったんですけど、逆に振りきったほうが…これでMCもトーンが低いと、ライヴを“Show”として考えるならちょっと違うかなと。単純に、メンバーがこういうキャラクターだし(笑)、あんまりシリアスな雰囲気でもないので、曲と切り離して、自然なこういうスタイルがウラニーノらしいと思うようになりました。今では確信を持って、笑わせるところは笑わせる、聴かせるところは聴かせるっていうふうにできてますね。でも、今はいい具合にギャップが出てるとしたら、前は逆だったんですけどね(苦笑)。
小倉
ピストンが客席で強要して、お客さんが帰ったり(苦笑)。
ピストン
手を挙げる、下げるみたいな曲があって。もともと僕は目立ちたいというか、調子に乗ってしまうタイプだったので失敗しましたね。最初は、明確にこういうことをしようって感じじゃなかったね。

おふたりは、山岸さんの歌詞をどう思いますか?

小倉
ヤマギ(山岸)が曲を弾き語りで持ってくるんですけど、僕も普通の感じだったらつまらないと思ってますね。
ピストン
初めて彼の曲を聴かせてもらった時から、歌詞が面白かったな。アルバムの「手の鳴る方へ」とかも“カッターナイフ”や“睡眠薬”とか、言葉だけ見たらドキッとするけど、彼が伝えたいことは誰しも精神的に悩むってことだし、そういうことを歌う人もいないから意味があると思いますね。

歌詞はどんな思いで書いてるのですか?

山岸
「ダンボールに囲まれて」みたいな群像劇が象徴してると思うんですけど、人の数だけドラマがあって、みんなが必死で生きようとしてることを押し付けがましくなく、滲み出てくるように表現したいですね。特に生きるってことをメッセージに打ち出したいわけではなく、無意識に出てる気がします。

物語の主人公を演じるような歌が多いですよね。

山岸
そうですね。ただ、自分が書いてる時点で、自分と余りにもかけ離れている人物ではないと思ってます。例えば、それが女性であっても。

「中央分離帯」のように中央分離帯に立ってる時だけ生きる実感を得られる女性が主人公という驚くような描写もありますが。

小倉
これは数少ない実話なんですよ(笑)。

ええっ!?

山岸
というか、国道17号線を小倉とふたりで帰ってたら、僕は確認できなかったんですけど、運転してた小倉くんが…
小倉
中央分離帯にロングヘアの女の子がいたのを見たんです!
山岸
単純に渡ろうとしてたのかもしれないですけど。
小倉
でも、夜だったんで怖くて“人がいた!”って叫びました。それを忘れた頃に、ヤマギがこの曲をフルコーラスで持ってきて(笑)。

そのひと場面から、こんな物語にまで想像しちゃったんですか?

山岸
そうですね。日常の繰り返しで自分を見失ってる女の子を描いたら、そういう現代っぽい状況を妄想してしまいました。

“ダンボールに囲まれて”というタイトルもなかなか生まれてこないと思うんですよ。その発想力に驚かされました。

山岸
面白いと紙一重だと思うんですよ。笑いではない面白さっていうか、“え、そこ!?”ってびっくりさせたい意識でワードが出てきて、そこから広げるっていう。陰や鬱のイメージはなく、方向性としては前向き。どう思われるかは聴いてくださる方次第だと思うんですけど。ライヴでバカなことやユルいMCをやるのも、全体的には暗くないってイメージを出そうとしてるのかな。

でも、死を描いてる歌詞は多いですよね。普通に歌ったらアングラに感じられかねない歌詞だけど、しっかりポップソングになってるのがいいなぁって。

山岸
MCのギャップと同じように、歌詞を意味深に聴かせるより、あえてあっけらかんと歌ったほうが逆にドキッとするかなって。

歌詞だけではなく、曲もライヴも全てがまとまってウラニーノの世界観っていうことですよね。

山岸
そうですね。せっかくならMCとか前説も楽しんでほしいし。
小倉
そうなっちゃいますね(と、ピストンを見る)。
ピストン
そうなっちゃうって!?

(笑)。また、ラストナンバーのアルバムタイトルにもなってる「World end Happy end」は、悲しいような、幸せなような、でもリアルでウラニーノらしいと思いました。

山岸
この曲は一番最後にできたんですけど、それが図らずもアルバム全体を象徴する感じになりましたね。一曲一曲がディープだけど、誰もがいろいろあっても必死で生きようとしてるのは素晴らしいじゃないかっていうふうに全体を包むような曲です。この曲では終わる時になって初めて素晴らしい世界だって気付くんですけど、そういうイメージで一曲一曲の重さや暗さも、全部ひっくるめて、“この世界は美しい”ってメッセージになって、上手いこと最後に言えた感じがしてます。

メジャーでの1stフルアルバムってところは意識しましたか?

山岸
メジャーでシングルを2枚出していて、1枚目はメジャーを意識したんですけど、今度出す2枚目のシングルくらいから、メジャーだからこういうことをしなきゃとかじゃなく、ウラニーノらしさを前面に出せばいいっていうふうに考えが変わってきて。レコード会社の人も、ポップなものや分かりやすいものを僕に求めてたとこはあったんですけど、だんだん分かってくれるようになったというか。ポップなものもウラニーノの入口というふうに考えてくれたと思うんですけど。そういう意味では、このフルアルバムは、葛藤もなくやりたいようにやれましたね。
ウラニーノ プロフィール

埼玉出身の3ピースバンド、短編小説のような独特な歌詞の世界観とドラマチックな曲の展開にもかかわらずコミカルなステージング。佐久間正英氏プロデュースでインディーズバンドとしては異例のC.C.Lemonホールワンマンライヴを決行。1200人を動員。2009年7月、メジャーデビュー。オフィシャルHP

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