L→R 稲増五生(Gu)、近藤 太(Ba)、鴇崎智史(Vo)、岡田翔太朗(Dr)、新井弘毅(Gu)

L→R 稲増五生(Gu)、近藤 太(Ba)、鴇崎智史(Vo)、岡田翔太朗(Dr)、新井弘毅(Gu)

【serial TV drama】シングルだけど
作品だ、馬鹿野郎!(笑)

serial TV dramaがシングル「ユニコーンの角」を完成させた。メジャー移籍第一弾ミニアルバム『マストバイ』のリリース直後にヴォーカルの伊藤文暁が脱退し、the courtの鴇崎智史が加入するという波乱を経て完成した今作について、新井弘毅(Gu)に訊いた。
取材:高橋美穂

まずは伊藤くんの脱退の件から伺いたいのですが、以前からそういう兆候みたいなものはあったのでしょうか?

そういうのはなかったですね。熱いバンドと凛としたヴォーカルの温度差みたいなのが、俺はシリアルの良さだと思ってたんですけど、その温度差では続けていけなくなったっていう結末でした。それは伊藤も思ってるし、俺らも何となく分かってたっていうか。

その時期が、偶然メジャーデビュー直後だったと?

そうですね、『マストバイ』を出すちょっと前で。確か発売日の3日後にツアーのチケット発売があって、そこまでに発表しないと払い戻しとかが絡んでくるっていう…でも、CDの発売前に発表っていう線はファンやお店にも失礼だと思ったので、発売後3日間のいつに発表するのかをみんなで真面目に話ましたね。でも、その3日間のどこで発表してもマジ関係ねえんすよ(苦笑)。けど、それも分からなくなるぐらいのテンパり方をしてました。

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010』も間近に控えていたじゃないですか。新しいヴォーカル探しも、大変だったのではないですか?

俺が年始に下北沢ERAのコピーバンド大会で、トツ(鴇崎)さんから“MR.BIGやらねぇか?”って誘われてて。俺はもともとトツさんが好きだったけど、同じステージに立って分かることもあって。こういうガツガツくるヴォーカルが横にいると、俺はこういうことができるんだっていう発見があったんですよ。演奏が終わった後も、お互いバンドがあるけど、いつかそれとは別でコピーバンドでもいいからやれたらいいねって話をしてたんですよ。で、今回こういうことになった時にトツさんしか想像できなくて、すぐ電話しました。でも、一度断られたんです。その時はthe courtの活動休止が決まってて、トツさんは音楽を辞めようとしてて、だからできないって言われて。“でも、俺の中ではやることになってるから(笑)、とりあえず練習に入ろう”というところまで持っていって、スタジオに入ったらすげぇ良くて。他のメンバー3人はトツさんと同じステージに立ったことはなかったけど、俺が最初に感じたことをスタジオで同じように思ったみたいで、そしたらトツさんも同じような感覚になってくれて“やるか!”ってなったんですよ。

ヴォーカルってバンドの顔じゃないですか。だから、どうなるか心配していたんですけど、声質も存在感も含めて、トツくんしかいないって思いましたね。

あっ、本当ですか! そうなんですよ。いろんな歌が歌えるし。だから、断るとかないよ、みたいな(笑)

その強引さが良かったんだ(笑)。でも、メンバーチェンジがあって、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010』、リリースツアーと、このシングルをいつ制作したんだろうと。

これが大変だったんですよ(苦笑)。『ユニコーンの角』はもともと作り出してた曲で、それをトツさんにどう寄せるかを考えて。でも、『ROCK SAVES YOU』はトツさんが入ることが決まってから作った曲です。一枚目のシングルだからバンドの紹介をしたいってところと、トツさんの良さっていろんなものを歌えるところだけど、その反面で器用貧乏なところもあるじゃないですか。それを最大限に生かす楽曲にしたかったんですよ。そのふたつと、インディーズ時代の音源には、長い曲を絶対に入れてたけど、『マストバイ』には入れ忘れてたってことに気付いて、カップリングが組曲なら面白くない?ってアイディアから、どうせならそこにトツさんの良さをふんだんに入れたら、そんな良いことねぇんじゃないかって。優しい部分も、激しい部分も、悲しい部分も入れたかったし、そうやって作っていきました。

今の話を聞いてると、トツくんにはプロデューサーが必要だったんだなって思いました。

そうなんですよ! 俺、バンド対バンドでやってる時から、制作側より歌い手として面白いから、そこに特化したらいいのにってずっと思ってて。

まず「ユニコーンの角」は、サビがポップだけど、展開は複雑で、かつライヴで盛り上がれるような疾走感もあるっていう。この盛りだくさんな感じは、バンドの紹介をする上で必要だったから?

そうですね、“とりあえず間奏は大事”みたいな(笑)。それで、キッズにも喜んでもらえて、サーカスっぽさも出して。シングルって曲で見られがちだから、一曲聴いたらうちらを分かってもらえる楽曲にしたかったったので。

また、歌詞がシリアルらしいストーリーも感じさせつつ、リスナーへの逞しいメッセージにも感じられて。

そうなんですよ(笑)。強く意識したわけじゃないけど、変化っていうのも裏テーマになってるのかな。

そして、「ROCK SAVES YOU」をシングルに入れる…しかもメジャーでっていうのは、完全に挑戦ですよね。

これをカップリングに絶対入れたかったんで。ひねくれ者の発想なだけなんですけど(笑)。シングルって1曲で判断されるじゃないですか。それは俺らも理解しなきゃいけないし、それに対してどうするかも考えなきゃいけないけど、もっと奥の思いは、アーティストが作る以上シングルと言えど作品でしょっていう。俺らがそれを安く見たら、音楽が腐っていくだけじゃんって。だから、“シングルだけど作品だ、馬鹿野郎!”(笑)って言えるものにしたかった。そう考えると、普通に作ってもつまんねぇし。

特に、『ROCK SAVES YOU -You can change-』は、QUEENか!?って思うような壮大な楽曲で。

ロッククラシックへのオマージュってのは、自分の中でありました。

新井くんは未来へのプランも描いてきたじゃないですか。今回もそこからブレないで進めたと思いますか?

伊藤ありきで思い描いていたものなので、まったくその通りじゃないんですけど、でもうちらっぽさを最大限に出せるようなシングルにしたかったんで。

本当よかったですね。メジャーにも、そこまで考えて来たわけですもんね。

本当そうっすよ(笑)
serial TV drama プロフィール

シリアルティーヴィードラマ:2004年結成。メンバー交代を経て、現メンバーとなる。天才的で変態的なギターフレーズ&テクニックを奏でるツインギター陣、日本人離れしたグルーブを生み出すリズム隊、切なさと力強さが同居したヴォーカルから成る同バンドは、東京を中心に活動し、10年にミニアルバム『マストバイ』でメジャー進出を果たした。オフィシャルHP
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公式サイト(アーティスト)
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OKMusic編集部

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