L→R 裕地(Ba)、怜(Vo)、圭(Gu)

L→R 裕地(Ba)、怜(Vo)、圭(Gu)

【kannivalism】やっぱりライヴをや
る前とやったあとでは
楽曲作りの感覚も全然違いますよね

8月にリリースしたシングル「split recollection」でアーティストとしての資質の確かさを示したkannivalismだが、彼らの進化は止むことがない。最新シングル「 rememorari(リメモラリ)」では、メロディー、サウンド、歌詞の全てにおいて、バンドはさらなる高みに到達したことをまざまざと見せつけている。
取材:帆苅智之

今回のシングル「rememorari」ですが、まずメロディーに関してイメージしたのはどんなところですか?

前回のシングル「split recollection」は2ndアルバム『helios』の制作途中で作ったものだったんですけど、「rememorari」を作ったのは『helios』の作業が全て終わったあとなんです。で、ある人と話している時、『helios』では人間の根本的な部分だったり、時間軸としても永遠性のあるものを描いたので、次は『helios』とは方向性の異なる、青春をテーマにしたら面白いんじゃないかという話になって…でも、kannivalismは青春パンクをやるようなバンドでもないし(笑)、当初は“とは言うものの、どうしていいかよく分からないな”といった感じだったんですよ。ただ、そこから“記憶”といったキーワードが導かれて。メロディーに関して言えば“不思議な懐かしさ”というか…そこには“寂しさ”や“悲しさ”もあるのもしれない。そんなイメージですね。

個人的にはとてもピュアなメロディーといった印象がありますよ。

ああ、そうですよね。「split recollection」は日本っぽいというか、どこか歌謡曲っぽかったと思うんです。でも、今回はもっと単純なものであるとは思いますね。

その純度の高いメロディーを乗せているサウンドも相当聴き応えがありますね。アレンジ面にはかなり腐心されたのではないですか?

「split recollection」もそうだったんですけど、今回も始まった時にどう終わるのか分からない曲にしたいところがあったので…そこは大きかったんじゃないですかね。

どう展開していくか読めないスリリングさがありますね。

最初は“singing love without you”のところがサビのように聴こえると思うんですけど、そのあとも展開していくじゃないですか。あそこは、当初は考えてなかったところで…また“singing love without you”のパートに戻るだけだと普通の曲になって、多分4分くらいで終わったと思うんですけど、“この曲はどういうふうに終わっていくのか?”というところで一番悩みましたね。
裕地
最近の圭が作ってくる曲は、デモの段階で構成も尺も決まっていることが多いんですが、この「rememorari」は50パーセントくらいしか完成していない状態で。だからこそ、いろんな選択肢がありましたし、いろんなことを試したし。

いわゆるバンドサウンドの妙も随所で確認できます。

今回は珍しく、歌詞が出来上がる前から、いつもライヴをやっているメンバーでスタジオに入っていましたから、そういうところも関係しているとは思いますよ。
裕地
『helios』が出るまで僕らはほとんどライヴをやって来なかったんですけど、最近ちょっとずつやるようになって…やっぱりライヴをやる前とやったあとでは楽曲作りの感覚も全然違いますよね。

ライヴをやることでバンドのキャパシティーの広がりを実感しているといったところでしょうか?

そうですね。

ベースライン、すごく気持ち良いですよ。

裕地
苦労しました(苦笑)。メンバーみんなそうだと思うんですけど、楽器も歌っているように弾いているようなところがあるんです。今回はそれもありつつ、もっと楽曲全体を支える部分への意識が強くあって…その辺は意外と今までやって来なかったことにも気付いたし。

なるほど。で、「rememorari」で最も褒め称えたいのは何と言ってもヴォーカルの表現力だと思いますね。特に終盤のファルセットは圧巻です。

この曲って“力強いか、力強くないか”って言ったら、少し肩の力を抜いて思いにふけるくらいのテンションだと思うんですけど、最初は少し力が入ってしまったり…
強く歌いすぎると青臭くなり過ぎて、この曲の雰囲気に合わなくなっちゃうんです。
うん。それで楽曲の雰囲気がガラリと変わっちゃうというね。そこは今までで一番苦労しましたね。…ファルセットに関して俺が思うことは、あそこに言葉があって良かったということですね。ああいう表現って、もしかすると言葉がなくても成立する場合があるとは思うんですけど、あそこは一番言いたいことが詰まっている場所だと思うんです。最初に聴いた時から、“ここに言いたいことがあるんじゃないかな”という思いも強かったし。歌詞は結局英語になったんですけど、しゃべっている感覚は強くありますよ。

全体としては、“伝えたいよ”や“触れてたいよ”というフレーズもあるように、意識が外へ向いているような印象がありますが、その辺はいかがですか?

大きなことを書くよりも、より身近なことを書いた方が人には伝わる…そこは作曲者と一番話したことかもしれない。昔のこと…例えば、昔好きだった女の子のこととか、実はそのくらいシンプルなことなんですよ。
要するに対象があるということです。“世の中の万物を愛します”というような博愛的な視点ではなくて、リアルなものですよね。
想像ではなく…ね。だから、何度も何度も書き直しました。ちょっと言葉を変えると意味が広くなりすぎて伝わりづらくなったりしたから、その日に思ったことをその日に綴るような気持ちで…。

隣にいる人に伝えるようなシンプルな言葉の方が、逆に広がりを持つのではないかということですか?

ええ。最近特にそう思うようになりましたよ。
kannivalism プロフィール

05年12月、10代の頃にそれぞれが数組のバンド活動を経験し、圭(g)、怜(vo)、裕地(b)の3人が再結集して結成されたビジュアル系ミクスチャー・ロック・バンド、kannivalism。結成後間もなく、名古屋・新宿でシークレット・ライヴを行い、06年3月に新木場STUDIO COASTで行われた『independence-D 2006』に出演した際には入場規制がかかる程多くのファンが集まった。

06年4月、1stミニ・アルバム『奏功 humority』でインディーズ・デビュー。そこから約5ヶ月という猛スピードで、<avex trax>より1stシングル「リトリ」でメジャー・デビューを飾った。07年2月に1stフル・アルバム『Nu age.』をリリースし、初の全国ツアーでも大成功を収め、シングル作品を順調にリリースしていた最中、怜(vo)の適応障害による入院のため08年1月をもって活動休止を発表。

その後1年7ヶ月を経て、怜(vo)の回復を機に活動再開を宣言。さらに新メンバーとして光也(dr)を迎え、バンドとして再スタートを切った。 メンバーの音楽的志向、音楽的バック・グラウンドは幅広くそれぞれ異なるが、それを自由奔放にクロス・オーバーさせ作る楽曲はジャンルレス&新感覚なものだ。オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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