L→R 岡本仁志(Gu)、古井弘人(Key&Arrange)、AZUKI七(Key&Lyrics)、中村由利(Vo&Songwriting)

L→R 岡本仁志(Gu)、古井弘人(Key&Arrange)、AZUKI七(Key&Lyrics)、中村由利(Vo&Songwriting)

【GARNET CROW】瞬発力や勢いを大事
にしたものを作りたかった

2010年はデビュー10周年ということで、ベストアルバムやコンセプトアルバムをリリースしてきたGARNET CROWから、アニバーサリーイヤーを締め括るオリジナルアルバム『parallel universe』が届いた。いつもの世界と新しい世界が共存する新作について、中村由利(Vo&Songwriting)と岡本仁志(Gu)が語ってくれる。
取材:石田博嗣

8枚目のオリジナルアルバム『parallel universe』が完成しましたね。

中村
今までのアルバムはデモのストックからチョイスしたり、1年間寝かせて再びアレンジした曲とかがあったんですけど、今回はデビュー10周年の今年に書き下ろした曲ばかりなんですよ。だから、もぎ立てのフレッシュなGARNET CROWを感じてもらえるアルバムって言ってもいいのかなって。

最初からそういうものにしようと?

中村
結果的にそうなったんですけど、『名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)』主題歌だった「Over Drive」(2010年4月リリースのシングル)を作ったことが大きいですね。テレビ版は担当したことはあるんですけど、初めて劇場版の主題歌を担当して…絵コンテや台本もあったし、“さわやかな風”とか“青い空”とかのキーワードがいくつかあって、かなり細かいオーダーを受けての書き下ろしだったんです。すごく難産だったんですけど、“こういう音楽の世界もあるんだ”って思えた…非常に解放感があって、色鮮やかな世界というか。そういうアップテンポのポップチューンを今まで書いてこなかったんですけど、その世界を掘り下げてみようっていう気になって、「アオゾラ カナタ」や「tell me something」とかが生まれてきたんですね。そこからどんどん曲を書いていったんで、今年に書いたものだけでまとめてみようって。

そういう方向性でやりたいということは、メンバーにも話されるのですか?

中村
まったく話してなくて、デモを渡しただけです。でも、自分のデモがそういう心情を移した楽曲になっていたから、希望が感じられたり、明るかったり、元気付けられたり…そういう方向に引っ張られたかなっていうのは思いますね。デビュー10周年だし、ライヴもコンスタントにありましたから、常に高揚感みたいなものをメンバー全員が持っていたので、それが作品にも表れているのかなって。

岡本くんは中村さんのデモを聴いて、統一した世界を感じていました?

岡本
1曲1曲集中してやっていたせいか、並んだ時ほどは気付かなかったですね。でも、“あっ、今度はこんな感じの曲か”って思わなかったから、世界観みたいなものがつながっているのかなとは感じていました。

それは思いました。世界観のつながりというか、曲の主人公が同じなのかなって。歌詞にも“海”や“空”という言葉が多いし、“上空、舞う者達”や“羽持つ者達”という同じようなイメージをもたらす言葉が散らばっていたし。

中村
私の作ったデモの心情がそういうものだったんで、メロディーが持っているパワーというか、言いたいことと、AZUKIさんが書いた言葉がぴったりリンクしている…それは曲を書いた時期が今年ということや、メンバーの持っている気持ちが同じだったから、そういう言葉が出てきたんだと思うし、それが今のGARNET CROWなんだと素直に受け止めています。自分たちが意図してなくても自然とそういう気持ちのモードになっていて、導かれるメロディーだったり、歌詞だったり、サウンドもそういうものが出てくるというか。

なるほど。そして、そんな明るい曲もあれば、「The Crack-up」のような憂いの曲もあると。

中村
“お任せください!”という曲ですね(笑)。こういったタイプの曲は好きなので、黙っていても書いちゃいますね。切なさや儚さ、無常観…そういう重いものが好きだし、それが根底になってこそのバリエーションだと思っているので、ここがGARNET CROWの核になる部分だと思っています。それは本作でも変わらないですね。

この曲で特に思ったのですが、中村さんの歌の強さがすごく増しているなと。

中村
ありがとうございます。よく言われるんですけど、自分では分からないんですよね。ライヴとかが多かったから、そこで鍛えられたのかなっていう結論になっているんですけど(笑)。声量が上がってきてるんですかね。でも、1曲に対する集中力というのは、今まで以上にあったんですよ。ギュッと凝縮してバッと発散させる歌の瞬発力というのはあると思うので、それで力強いヴォーカルになったのかもしれないですね。今作に限って言うと、じっくりと練って作品を作り上げるっていうモードよりかは、瞬発力や勢いを大事にしたものを作りたいっていう想いがあったから、その辺が影響しているかもしれないです。

まさに10周年のGARNET CROWが詰まったアルバムですね。

岡本
旬ですね。“もぎ立て”って言ってましたけど、決して渋いわけではなく、いい感じに熟しているというか。あとは…ちょっと乱暴な言い方ですけど、窓口が広いアルバムなんで、GARNET CROWのことを知らなくてもスッと入ってこれるんじゃないかなって思います。

そんなアルバムを引っ提げたツアーが控えているのですが、ライヴが楽しみな曲が多いだけに面白くなりそうですね。

中村
そうですね。今年はカウントダウンで始まって、ベストアルバムのツアーもあって、10周年のアニバーサリーイヤーの締め括りもライヴで…それもファンのみなさんと一緒に締め括れるっていうのがすごくうれしいですね。みなさんからパワーをいただいて曲作りをしてきたので、それのお礼っていうか、お返しができればなって思っています。
岡本
締めるっていう意味で大事ですし、次へのスタートと考えればさらに大事なライヴなんできっちりやっていきたいですね。ただ、すごい日程なんで…12月25日が移動日っていう。スタッフのみなさん、ごめんなさい!(笑)
中村
色気ないですよね(笑)。でも、クリスマスのテイストも入った、賑やかなパーティーのようなライヴにしたいと思っています。

さらにカウントダウンライヴも決まりましたが。

中村
今年もやります! 10周年の“ありがとう”という感謝の気持ちと、“11周年もよろしく”っていう感じなんでけど、まだそこまで頭が回っておりません(笑)。でも、10周年の勢いを引き継いで、気が付いたら11周年になっていたっていう感じでいいんじゃないかと。ライヴっていうよりも、お祭りっていう感じで、みなさんとはっちゃけようって思ってます。
『parallel universe』2010年12月08日発売GIZA studio
    • 初回限定盤(DVD付)
    • GZCA-5230 3500円
    • 通常盤
    • GZCA-5231 3059円
GARNET CROW プロフィール

全作曲を手掛けるヴォーカルの中村由利、全作詞とキーボードのAZUKI 七、アレンジとキーボードの古井弘人、ギターの岡本仁志の4人からなる男女混成ポップ・ロック・バンド。洋楽的なサウンド・プロダクツに絡む、深遠な歌詞、憂いと優しさを秘めたヴォーカル。そこはかとなく覆うダークな雰囲気が、他のJポップ・グループとは一線を画す、GARNET CROWならではの世界観を醸し出している。オフィシャルHP
オフィシャルサイト

OKMusic編集部

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