L→R Taro Houjou(Ba&Cho)、Yutaka Furukawa(Vo&Gu&Pro&ROCK STAR)、Hayato(Dr&Per&Cho)

L→R Taro Houjou(Ba&Cho)、Yutaka Furukawa(Vo&Gu&Pro&ROCK STAR)、Hayato(Dr&Per&Cho)

【DOPING PANDA】自分が音で興奮して
いたところに戻りたい

DOPING PANDAが、約2年振りとなる4thアルバム『YELLOW FUNK』を完成させた。プライベートスタジオで、Yutaka Furukawa(Vo&Gu&Pro&ROCK STAR)が自らレコーディングとマスタリングを敢行。ここから新たなドーパンが始まると言えるような、しなやかでまっさらな力作だ。
取材:高橋美穂

プライベートスタジオでレコーディングされたそうですが、いつくらいからその構想はあったのですか?

2009年の4月くらいかな。ディレクターさんから、“次のアルバムはエンジニアを頼んだり、スタジオを借りるんじゃなくて、制作費全部使ってスタジオを作って、自分でやってみたらどうか?”って言われて。そうしたらタイミング良く、防音の場所が見つかったんです。

口火を切ったのはFurukawaさんじゃないのですね。

でもね、僕のちっちゃな夢だったんで。ヨーロッパツアーとスタジオを持つことが。それと、『decadence』までのエンジニアと話し合う僕をメンバーもスタッフも見てたんで、本当にこの人は自分でやりたいんだっていうのはみんな分かってたことで。あとは条件とタイミング次第だったんですよ。ただ、スタジオが集合住宅の地下で、オーナーが趣味で作ったようなところなんで、所謂音楽をちゃんと録るために作ってないから、ここからしんどいことになるなっていうのはあって。

でも、以前よりはストレスはない?

もちろん。オン/オフがないんでね。普通ならスタジオ出るとオフになるじゃないですか。それがないんですよね。思い付いたらすぐ行動に起こせるし。あとは、ずっと疑問に思ってたことを検証する実験室みたいな感覚もあって。だから、良いことの方が何倍も多かったですね。

しかし、判断基準が全て自分になるわけじゃないですか。客観性が欲しくなる時ってありませんでした?

そうですね。客観的な意見をどんどん聞き辛い状況になっているんで、危険ではあるんですけど…そもそも、最近は物作りに客観的な意見は必要なのかって思ってるんで。ゴッホが“これって良い絵?”って周りに訊いたかっていう。

確かに。では、アルバムそのもののテーマはあったのですか?

一個あるとすると、タイトルの“YELLOW FUNK”っていうのがキーワードにはなるんだけど。ずっと洋楽に憧れて育ってきたんで、タイムラグなしの模倣みたいなところを自分の中でテーマにしてたんですよ。でも、それ自体がコンプレックスな気がしてきて。僕は洋楽に憧れてるけど、決して洋楽至上主義ではなくて。むしろ、何で自分たちにできないんだっていうところに焦りを覚えたり、落ち込んだりするんですよ。だから、今まで影響を受けてきた洋楽はあるけど、大袈裟に言うと、そこにどんだけ血とか肉とか骨とかDNAっていうピュアなものを乗せられるかっていう。白人や黒人の音楽を聴いても、向こうで対バンしても、彼らはピュアな部分がすごく真ん中にあって。その周りに好きなバンドからの影響があるけど、僕たちはピュアな部分ががっさり抜けている気がするんです。ビートルズなのか、エルヴィス・プレスリーなのか、ビーチボーイズなのか、分からないですけど、おじさんたちが50年代や60年代にショックを受けたものには日本人の血肉はないわけで、それを永遠にリレーしてるだけでは、彼らの文化の隅っこで泳がせてもらっているだけに過ぎないんじゃないかなって。せっかくこういう機会を与えられたんだから、これくらいのことをしたいんですよね。自分がすげぇ衝撃を受けたものを自らの手で作ってみたいんですよ。

まっさらな環境を作ったことで、音楽的にも原点に帰れたのですね。

そうですね。最初は、シンバルの音ひとつで鳥肌が立つかどうかが判断基準だったのに、人が聴いてくれて良いって言われるのが興奮にすり替わっていたっていうか。それは非常におかしなことだなって思うようになったんですよね。やっぱり自分が音で興奮したところに戻りたいっていうのが正直な話ですね。どうでもいいのかなって、人の評価は。

血肉というところだと、歌詞も日本語が多いですよね。

メジャーにきて、英詞にしっかりディレクションを入れて、文法と発音をやって、日常会話程度喋れるようになって、海外でもライヴをやるうちに、英語の歌詞をいい加減に作れなくなったんですよね。もちろん、英詞の楽曲を作るのも好きですけど、それが減った理由の一個は精神的にしんどいから(笑)。でも、もう一個は日本語の曲も書きたいっていう。時として日本語が武器になることもあるんですよね。あと、日本語の方が圧倒的に歌いやすいし。だから、今後増える可能性の方があるかなとは思ってますけど。

そのためか、素直な思いが必然的に出ていますよね。

そうなってる感じがするんです。曲もそうだし、自分がやってることも、ライヴのパフォーマンスも変わってきてて、素でやりたいっていう。そうなると歌詞だけごまかすと変な感じになって、ある程度ストレートなものにしかならなくなってきちゃったんですよね。

ちなみに、エンジニアとしては音作りにどんなイメージを?

簡単な話ですよ。僕の趣味で話してると、上手けりゃいいのか、綺麗だったらいいのかって話になりますけど、要は感動できるかどうかっていうか。それが音楽なんで。音が悪くても、演奏が下手でも実は構わないんですよね、ものすごく迫るものがあれば。ただ、それが矛盾してちゃいけないっていうことですよね。歌を一番聴かせたいっていうバンドなのに、ライヴが終わったら耳鳴りがするとか、そんなバンドばっかなんですよ、日本は(苦笑)。もっと寄り添ってるから、外人は、音楽と。ロックもブルースもジャズもファンクも彼らのものだから。僕らだって、祭りに行って祭囃子を聴いてる時にぶらないでしょ? 僕らのものだから。そういう意味で、ロックやる時にぶってるのがすごく嫌なんです。卑屈になり過ぎてるって揶揄されることもあるんですけど、そこを越えなきゃ狼少年で終わっちゃうから。

じゃあ、これは日本のロックバンド、DOPING PANDAのありのままと言えるアルバムなのですね。

そうですね。精神的にすごく楽です。
DOPING PANDA プロフィール

FURUKAWA(vo&g)、HOUJOU(b)、HAYATO(ds)からなる3ピース・ロック・バンド。クラブ・ミュージックの要素を大胆に導入したダンス・ロックが彼らの持ち味である。
97年の結成直後はメロディック・パンクなイメージが強かったが、ディズニーのカヴァー・コンピレーション・アルバム『DIVE INTO DISNEY』参加などの活動を経ていく中で、徐々にその雑食性を露にしていく。05年には『High Fidelity』でメジャー・デビュー。06年には“m-flo loves DOPING PANDA”として「she loves the CREAM」でm-floとの共演も実現。
ヴォーカルのFURUKAWAは、自身を「ロック・スター」または「スター」と自称し、それが愛称にもなっている。また、DOPING PANDAのファンは「ドーパメイニア」および「メイニア」と呼ばれており、一種のファン・シーンが形成されていると言えよう。
05年作『High Pressure』に続き、07年には“High”3部作シリーズ完結編となるアルバム『High Brid』をリリース。“ハイパー・ポップ・ロック”との呼び声も高い本作は、一度聴いたら忘れられないそのバンド名同様、非常にキャッチーかつエンターテイメント精神溢れる音楽を構築している。DOPING PANDA Official Website
DOPING PANDA Official Website
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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