【MARIA】このアルバムの曲通りに私
は成長している
自分の声の魅力を模索した末に辿り着いた2ndアルバム『MERCI VOX』。ロックを基調としていた1stアルバム『WILL』とは違う表情を見せる本作を、MARIAは“実はこっちのほうが私に合ってる”と語った。
取材:石田博嗣
1stアルバム以降の3枚のシングルが、しっかりと布石になっていますね。
そうですね。歌の感じとか、エレクトロの感じとか、延長線上にあるものになっているというか。
歌い方が変わったことも如実に出ていますよ。
そこが一番大変だったところですね。すごく時間がかかった…レコーディングまでにたくさん練習しましたからね。最初は“歌えるのかな?”って戸惑いもあったんですけど、最終的には自分のものにすることができたので、今までとは違うところに私の声の魅力があるって言ってくれたスタッフさんに感謝してます。今ではどっちかと言うと、みんなを歌で癒してあげることができればいいなって思っているというか、今の歌い方のほうが自分に合っていると思いますね。だから、違和感がない。しっかりと自分を見つめ直すことができたし、最終的に自分のものになったし、自信も持てました。
ヴォーカルスタイルを変えたことで、1stアルバムにはなかった曲調のものになってくるのですが、やはり一曲一曲がトライでした?
楽曲のセレクトに関しては“歌いたい!”っていう直感で決めたんですけどね(笑)。でも、細かいことを言えば、音符に乗せて歌うとか、リズムの曲だから言い回しを変えようとかやってましたね。今までは自分本位だったっていうか、何も言われることなく録っちゃってたんですけど、今回は細かく言ってくれる人がいてくれた…最初は大変でしたけどね。何がどう違うのか分からなくて、“えー、もう一回!? 何が違うの~?”ってなったり(笑)。でも、性格的にすごく悔しくなって、“ディレクターが求めているものに絶対にしてやる!”って。だから、いろいろ探りなら歌ってました。そうやってやっていくうちに“あー、こういうことか!”って分かってくるんですよ。大変ではあったんですけど、私も“やってみたい!”っていう気持ちが大きかったし、そういう意味では楽しくやれました。
いろいろ試行錯誤した結果辿り着いた、ひとつの到達点という感じ?
そうですね。歌詞もそうなんですけど、“こうだったらいいのにな”っていう自分の理想を描いていたりするし…歌詞にも現在の自分が出てますね。以前の私では思わなかったようなこととか、少し大人になった私が思うことを素直に書いてます。今回のアルバムってポップで明るいから、ポジティブな自分…常にピュアでありたいと思ってるんですけど、そういう部分が嘘偽りなく出せたので、私のことを知ってる人から“MARIAっぽいね”って言われるんですよ。私自身がそのまま出ていると言っても過言じゃないですね。自分の曲なんですけど、自分で聴いて心地良いと思うし、いいアルバムが作れたなって思ってます。
1stアルバムとの違いは、ジャケットにも表れていますよね。マーシャルの前でのロックっぽい表情だったのが、今回はお菓子の国で笑顔だし。
別人ですよね(笑)。実はこっちのほうが私に合ってるんですよね。今だから言えますけど、やっぱり前は無理していた部分がある。ジャケットに関しても、私が料理好きってことからお菓子の国って感じで…表情とかもそうですけど、素の私に近いんですよ。
すごく自然体ですもんね。
まさに自然体ですね。人の意見を聞くことができるようになったことが大きい…って、どんだけ聞いてなかった!んだってなりますけど(笑)。デビューシングルの『Getaway』で“大人なんて”って歌っているけど、今は全然そんなこと思ってないですからね。逆に“大人から何でも学ぼう!”って思うぐらいに自分が変わった。それも“私、変わった!”って自分で分かるぐらいに変わったから(笑)、そういう気持ちがアルバムに出ていると思います。『Never End』っていう曲の歌詞にも書いたんですけど、“何も考えなくても大丈夫!”と思っていたけど違うって。周りの人あっての自分だし、簡単に奇跡が起きるほど人生は甘くないってことも学んだから、今の自分を象徴しているっていうか、今の気持ちを正直に書いてます。でも、だからって我慢ばかりするのは良くないんで、恋もして、仕事も頑張ってって。“仕事を頑張らないといけないから、恋なんてしてる場合じゃない”とか、まずそういうことを思うのは止めたほうがいい。そこは好きにやればいいじゃん。人生は短いんだから、やりたいことはやって、しっかり考えながら成長していかないとって。
おー、大人になりましたね!(笑)
そうですね(笑)。昔はこんなこと思わなかったし。
あと、初回盤のボーナストラックとして、3枚のシングルの表題曲のリミックスも収録されていますけど、これも1stアルバムの頃だったら考えれないことですよね。
聴く音楽も変わったきたんですよ。昔はクラブミュージックとかR&Bって全然聴いてなかったんですけど、いつの間にか聴くようになって、だんだん好きになっていったんです。だから、そういう踊れる感じのサウンドも欲しいなって思ったし、それも自分の曲でやったら面白そうって思って作っていただきました。“あっ、こういう聴こえ方するんだな”って、すごく気に入ってます。
聴く音楽が変わったから、「love again? feat.童子-T」のような切な系のアプローチもできるようになったわけですね。
絶対にそうだと思いますね。そうやって視野が広がったのもすごく良かったです。すごい難しい…一番大変でしたけど(笑)
またデビューアルバムを作ったみたいな感じですか?
新しくデビューって感じがしますね。1stアルバムと比較して聴いてみるのも面白いでしょうね、全然違うんで(笑)。素直に今の自分が出ているし、すごくやわらかくなったなって思います。このアルバムの曲通りに私は成長しているっていうか、変わっていってるっていうのが分かると思います。
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