【DJ☆GO】リリックを理解しながら
じっくり聴きこんでほしい
プロデューサーとしても活躍するヒップホップアーティストのDJ☆GOが、リアルな思いを音楽にした、メロウかつ夜をイメージさせるオリジナル3rdアルバム『THE BLUE LINE』を完成させた。
取材:土屋恵介
『THE BLUE LINE』は、夜を感じさせるメロウな作品ですね。
アルバムを作る時、いつも季節感は意識するんです。今回は秋冬ですね。前作『LONG TIME BLUE』はリリックの内容を聴かなくても気持ち良くテンションの上がるものだったけど、今回はビートとリリックの意味合いにこだわっていて、メッセージ性が強いと思う。ビートも前作は最新の音ばかりだったけど、今回は最新の音と懐かしいもののハイブリッドになっています。
アルバムは70年代のブラックムービーのサントラを彷彿させる「INTRO」から始まり、夜のムードの広がるの世界観に入って行きます。GAYA-Kさん、K-YOさんをフィーチャーした「BLUE LINE」は哀愁漂うビートで、車や音楽といったDJ☆GOさんのスタイルを描くナンバーですね。
強い言葉、吐き捨てる言葉をメロウな中に入れると、そんなに尖ったように聴こえなくなるんですよね。そこはあえてそうしたんです。
強さや弱さ、男の内面的な部分をリアルにリリックや音で表現されていますが、何かきっかけがあったのですか?
3月11日の震災では大きな気持ちの動揺があったんだけど、その直後にチャリティーソングを作ったりして、音楽に救われたんですね。苦しい状況下ではあったけど、自分を改めて見つめ直せる良い時間だったし、それを乗り越えたことで人として強くなりましたね。それで、僕のこだわりや生き方、思いをひとつずつ曲にしていったら、全体的に男目線なものになったんです。どんなネガティブなことも音楽にすることで、僕はポジティブになると思ってるんです。
音楽にはそうした力がありますよね。さて、AK-69さん、GAYA-Kさんをフィーチャーした「土砂降りのRUN THIS TOWN」は泣きメロ感がたまらない曲でした。
イメージ的には、ソファーに座っている今の自分が窓の外を見ると、雨に打たれてる過去の自分を見つけて、声をかけて励ます感じ。聴いてる人それぞれの立場に置き換えられる歌かなって。
DJ☆GOさんの楽曲って映像が見えてきますね。
そう言ってもらえるのは嬉しいです。曲を作ってる時点で、景色やシチュエーションが浮かんでて、常に全体を考えながら曲を作ってるんですよ。だから、自分でビートを作り、歌もメロディーも乗せられる強みが生まれるのかも。
夜の世界観から、Kayzabroさん、TEE TEEさんをフィーチャーした優しいメロディーの「JUST KEEPIN’,MOVIN’」は気持ちを新たに頑張っていく力強さを感じる、朝に似合うチューン。そして、ラストを飾る綺麗なメロディーのTEE TEEさんをフィーチャーした「IF...」は、ストレートなラブソングですね。
『IF...』は一番力を入れた曲ですね。僕がとある人に向けて書いた曲なんで、鋭い人なら聴けば分かるかもしれないですね(笑)
面白い仕掛けですね(笑)。新作は、まさにDJ☆GOさんのパーソナリティーが詰まった作品なんですね。
今の時点の自分を切り取れたし、良いものができたと思ってます。ネクストレベルへの一歩となったなって。いつものノリ重視とは違って深いことを言ってたりするし、今回は内容を理解しながらじっくり聴きこんでほしいですね。そうすると、僕のことも分かるだろうし、共感してもらえる部分も必ずあると思うんで。
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