【miwa】できることが増えていってる
のですごく楽しい

“アクアリウム(水族館)のように、ペンギンがいたり、サメがいたり、クマノミがいたりするようなバラエティーに富んだアルバムになりました”と笑顔で語ってくれた2ndアルバム『guitarium』を紐解いていく!
取材:ジャガー

前作『guitarissimo』のリリースツアーと弾き語りツアー『acoguissimo』に加え、夏フェス、学園祭ツアーととにかくライヴ三昧な2011年を経て、ライヴの熱気が伝わってくる熱量の高いアルバムになりましたね。

本当に凄まじかったです。曲順を考える日すらなくて、ギリギリの進行でした(笑)。煮詰まることもなかったし、同じところでつまずくこともなく、頑張ってやりたいことをちゃんとやって来れたはずなのに“これって間に合うのかな?”って(笑)。だから、スタジオに入った時の待ち時間にロビーで出来上がった曲を聴いて、曲順を考えたりしてましたね。せっかくこだわって作ってるんだから、並びも適当にしたくなくて。気持ち良く次にスゥっと入っていけるものにしたいなと思ったので、いろんな場所で常に聴いてました。『いくつになっても』『441』『ふたりのサタディ』は直感でこうだなと。『guitarissimo』の流れも汲んで考えたんですけど、4曲目以降が結構悩みましたね。しかも、最初はアップテンポで明るい曲しかないっていう。ライヴをずっとやってたから、ライヴの気分のままで本当にアッパーな曲が多かったんですよ。気付いたらそうなっていたので、ヤバイぞと(笑)。で、去年の秋ぐらいからバラードやミドルなナンバーを作って、全体のバランスを調整しました。

胸が締め付けられるような切ない曲の後に明るい曲と交互に入ってくるので、感情の起伏を楽しみながら聴くことができました。

そうですよね。『またね』から『コットンの季節』が特に救われるポイントになっていると思います。『Jexxxa』『またね』で結構ズドーンと気持ちが落ちちゃいますからね。そこからちょっと上げて、後半はライヴと同じく盛り上がって、アップテンポで畳み掛ける。丁度良い流れです。

逆に「片想い」のようなバラードを作るには、モードの切り替えが難しかったのではないですか?

『acoguissimo』ツアーが終わってからバラードは作り始めたんで、ちょうど良い感じに気持ちも入っていけたというか。ひとまずそこでライヴはひと区切り着いたので、曲作りに集中できる時間があって。『片想い』は曲作りからレコーディングまで地続きですごく集中して作ることができたんですけど、それが初めてだったんじゃないかな? こんなに地続きで作業ができたのは。

1曲目の「いくつになっても」は、重たいイントロからスカになって、最終的にはパンクになってと構成が面白いですよね。

初めてレコーディングするメンバーが多かった曲ですね。でも、三沢またろう(Per)さんは『平安神宮 月夜の宴』のイベントでご一緒して、仲良くしていただいてるので、つながりみたいなのは音に閉じ込めることができたのかなって思います。私のことをよく分かってくれてるし、またろうさんのことも分かるから、“こんな感じでやってほしいんですよー”ってことにフランクに応えてくれたので、こんなに弾けた曲になりました。

“MAGiC!”“マジっ!?”での声の加工も新鮮でした。

一番遊び心のある曲かもしれない! 映画『桜蘭高校ホスト部』のために書き下ろした曲なので、編集前の映像や台本を見てアイデアをどんどん出していって…あの物語自体がすごいはっちゃけてるじゃないですか。それに負けないぐらい、曲もはっちゃけようと(笑)。ドラマからの流れもあるし、私も引き続いて曲を書いたので、ドラマの時の『FRiDAY-MA-MAGiC』の要素も入れつつ。

王道のアメリカンロックだった「FRiDAY-MA-MAGiC」ありきの曲だと。それにしても1曲目からパンチが効いてますよね。

パンクがやりたくて。そこまで聴き込んでいたわけではなかったので、今改めてパンクをいろいろ聴いてるんですけど、とにかくカッコ良くて。こういうのをやろう!って直感です。

バンドヴォーカルの歌い方で、それはやはりライヴイヤーにつながるのかなと。「メリーゴーランド」では、エレクトロにも挑戦されていますが。

生音と打ち込みの融合をやってみたくて。ライヴでタオルを回しているイメージで、電子的な音もフェスとかで面白いんじゃないかなと。内容としてはライヴのことを歌っていて、“ステージと客席でぐるぐるパワーを循環させていく”というイメージです。ライヴに来てくれた人にもそれぞれの生活があって、ライヴをきっかけに人がつながっていく…そういう世界観を見せたかったんです。でも、それを重苦しく諭すようなものにしたくはなくて、こういうワクワクするような曲調で循環そのものを楽しんじゃう感じですね。愛も経済も何もかもが実はつながっていて、ぐるぐる循環しているんだっていうテーマは大きいんですけど。

「again×again」でのシャウトもカッコ良くて。

良かったー、初シャウトなんです(笑)。この曲はエレキを前面に押し出した『chAngE』を超えたくて、気合いを入れて作ったので歌声やノリも前のめりな感じになってますね。

ライヴメンバーで録ることができた「Jexxxa」はいかがですか?

本当に実現できて良かったなって思ってます。回数は重ねてるんですけど、基本的にはライヴと同じ一発録りでレコーディングしたので、誰かが間違えると連帯責任で(笑)。結構な人数でやっているので良い緊張感がありましたね。意外にアコギのシンプルなロックサウンドがないなと思い、シンプルなものを最初は考えていたんですけど、ちょうどライヴメンバーとレコーディングできそうって話が浮上して。今回はさすがに時間的にも間に合わないだろうなって諦めていたのですが。で、できるんだったらやりたいので、もう急ピッチで作業を進めて。アレンジもバンドメンバーとやるんだったら、それぞれのパートが活かせるようにしたいしってことで、結果すごく良いものになりました。当初、作っていた時のシンプルなものよりも熱が上がってるし、バンド感もある。そして、もとがシンプルだからこそみんなの個性が引き出された曲なんじゃないかなって思います。結果オーライです。

「Take@chance」のバンジョーも素敵な音色ですよね。

カントリーが好きだから、バンジョーの音も好きで入れたかったんです。『Take@chance』はデビュー前からライヴハウスで歌っていた曲で、今回カントリー風にアレンジを変えたんです。弾き語りから始まった曲なので、生まれ変わったというか、パワーアップして今回収録できて嬉しいです。

やはり、ライヴで受けた熱が今作へ大きな影響を与えているのでしょうか?

そうですね。あとは、“こういうのやってみたい!”っていうインスピレーションを実現するまでに時間があまりかからなくなってきたのかなって。制作を繰り返して、アレンジの方法も見て学んで、分かってきたことがたくさんあるので、意見の伝え方も上手くなりました。できることが増えていってるのですごく楽しいですよ。
『guitarium』2012年03月14日発売Sony Music Records
    • 初回生産限定盤(DVD付)
    • SRCL-7890〜1 3500円
    • SRCL-7892 3059円
miwa プロフィール

1990年6月15日生まれ、東京都出身の女性シンガーソングライター。音楽好きな父親の影響でいつも音楽が身近にある環境で育ち、15歳から曲を書くようになる。2010年に1stシングル「don't cry anymore」でメジャーデビュー。同年4月にニッポン放送『miwaのオールナイトニッポンR』がスタートし、8月にカバー曲「僕が僕であるために」(原曲:尾崎豊)、「青空」(原曲:THE BLUE HEARTS)をデジタル・リリースした。11年1月、『第25回日本ゴールドディスク大賞』にてザ・ベスト5ニュー・アーティストを受賞。2月発表した5thシングル「春になったら」は、期間限定でJR東日本山手線原宿駅の発車メロディに起用された。同年4月にニッポン放送『miwaのオールナイトニッポン』が放送開始。同月に発売した1stアルバム『guitarissimo』はオリコン週間チャート1位にランクインした。12年3月に『COTTON USA』のイメージ・キャラクターに抜擢され、8月にシングル「ヒカリへ」をリリース。13年1月に発表した10thシングル「ホイッスル~君と過ごした日々~」は『第91回全国高等学校サッカー選手権大会』の応援歌に決定。3月に自身初となる武道館公演『miwa live at 武道館 ~卒業式~』を実施し、12月に『NHK紅白歌合戦』初出場を果たした。14年2月に13枚目となるシングル「Faith」を発表。3月に『miwa spring concert 2014 "渋谷物語~完~"』と題し、国立代々木競技場第一体育館にて2日間連続単独公演を実施した。miwa オフィシャルHP

OKMusic編集部

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