L→R 恵梨香(Cho&Gu)、千晶(Vo&Gu)

L→R 恵梨香(Cho&Gu)、千晶(Vo&Gu)

【ひいらぎ】自分たちも楽しんで歌う
ことができた

アニメ『もやしもん リターンズ』のエンディングテーマとして書き下ろされた新曲「最近」。作品の内容に寄り添うことで誕生した同曲は、暗い気持ちをどこかへ吹き飛ばしてくれる不思議なエネルギーを持っている!
取材:ジャガー

シングル「最近」は、鼓笛隊が街を練り歩いていくような楽しげな雰囲気と可愛らしさが詰まった曲になりましたね。

恵梨香
わいわいした雰囲気になればいいなと思って、はい。まさか自分たちの曲にホーンが入るなんてっていうのがあったので、不思議でしたね。
千晶
いろんな楽器が入っていて、オレスカバンドのSAKIちゃん(Trumpet)、もりこちゃん(Tenor Sax)、ハヤミちゃん(Trombone)にもレコーディングに参加してもらいました。他のアーティストのレコーディングをなかなか観る機会もないので新鮮でしたし、“こういう感じでレコーディングしてるんだ”っていうのを知れて楽しかったです。
恵梨香
今までは主に自分のことばかりを歌ってきてたんですけど、今回はアニメ『もやしもん リターンズ』のエンディングテーマを書いてみませんか?というお話から始まったんで、せっかくだからちゃんと作品に寄り添った内容にしたいと思って、原作を読んだり、DVDを観て、世界観を掴んでいきました。で、『もやしもん』の舞台は農業大学なんですけど、自分は大学に行ってなかったので大学への憧れが強いんですよ。
千晶
キャンパスライフね。
恵梨香
そう! その響きが(笑)。サークルに入ったり、ゼミがどうだとか。しかも、この作品は楽しそうな描写が多いので、同じように楽しそうな曲を書きたいなと思って書きました。なので、どちらかと言えば、今までのひいらぎじゃない感じがするだろうし、今回は歌詞の内容よりも音の響きや言葉遊びを重視して作りました。《小さな冒険に変わる》《時計はチクタク進むけど》とか、選ぶ言葉も違いましたね。

確かにサビの《ルルル♪》も普段のひいらぎからは出てこないであろう言葉のひとつですよね。音符まで付いてすごく上機嫌な様子がうかがえます(笑)。私もつい一緒になって歌いたくなりました。

千晶
覚えやすいですし、自分たちも楽しんで歌うことができたので、ライヴではみんなで一緒になって歌いたいですね。
恵梨香
あっけらかんというか、朗らかというか、天真爛漫というか。そういう歌い方を今回は意識しました。

『もやしもん』にちなんで、細菌を羅列した「サイキン〈アニメVer.〉」も面白いですよね。

恵梨香
もともとは、こっちを先に作ってたんです。本当にかわいい菌がいっぱい出てくるので、純粋に覚えたいなっていうのがあって。小さい頃に観ていたアニメの曲って意外に覚えてたりするじゃないですか。そうやっていつまでも記憶に残るような曲になればいいなと思って書いたんですけど、カタカナが苦手で全然歌えなくて(笑)。歌っていくうちに口も回ってきて、歌い終わった時にはある種の達成感がありましたね。
千晶
《赤色色素》とか、早口言葉みたい。しかも、メロディーやリズムに合わせながらなんで、よけいに大変です。

学校で単語を暗記するための歌だったり、世代的には「ポケモン言えるかな?」だったり。聴いてるうちに自然と覚えていく部分もあるけど、完璧にマスターしてやるぞと意地もありつつ、覚えちゃうんですよね。

恵梨香
自分もポケモンがすごい好きだったんですよ。もちろん、「ポケモン言えるかな?」も全部歌えましたし。だから、「サイキン〈アニメVer.〉」がそういう曲になってくれたら嬉しいですね。

ジャケ写も初回生産限定盤ではおふたりが見事に菌たちに“かもされて”ますよね。

千晶
自分たちはほとんど見えませんが、かわいらしくしていただいて。
恵梨香
通常盤では自分たちが“最近”好きなもの…恵梨香だったらミシンのボビン、千晶さんはペンダントトップを使って、“サイキン”の文字を作ってるんです。

いつもと違った楽曲制作をやってみていかがでした?

恵梨香
楽しむことを優先して曲を書いたので、自分の気持ちとしても楽でしたね。こんなふうに楽しんで曲作りもできるんんだなって新たな発見でもありましたし。菌の名前を羅列するところまでいくとルールなんてあってないようなものなので(笑)、ただただ聴いた時の響きの良さだったり、気持ち良く歌える歌詞にしたいっていうのは守りながら。

愛犬への愛情を綴った2曲目「銀のバラード」は、千晶さんの歌い方が優しいですよね。

千晶
歌詞を見た時に、恵梨香の愛犬・銀への思いがめちゃくちゃあふれてたので、それをそのまま歌った感じなんですけど、本当に心が温かくなるような曲になったなと思います。
恵梨香
もう銀ちゃんへの思いがあふれすぎて、5分じゃ収まんないなって大変でした。全然こんなんじゃないんですよ、私の愛は! 愛犬を恋人に見立てたラブソングを書きたいなっていうのはずっと考えてはいて…というのも、ひいらぎはハッピーな曲が少ないので。でも、いざ書き始めると何ページにも思いは膨らみ、どうまとめようか着地点を見つけるまでが苦労しましたね。愛犬は自分にとっては、恋人のような、家族のような、子どものような、親のような、いろんなかたちで無償の愛を注ぐことのできる存在なので。

リリースを経て、各地で歌ってきているせいか「今、このとき。〈一発録れたて編〉」は力強さを感じました。

恵梨香
路上時代から歌っていたのもあるんですけど、アニメ『夏目友人帳 肆』のオープニングテーマになったことで、多くの人に聴いてもらえて…それまでは自分の過去、学校に行けなかったこととか、部屋から出られなかったことってあまり話したくなかったんですけど、この曲をリリースするにあたり改めて話す機会もあって。そうしたら、“私も今そういう状況なんですよ”や“もともとそうでした”だったり、“娘が今そういう状況なんです”と打ち明けてくれる方々がいて。嫌だった過去を経験して良かったなっていうふうには全然思わないですけど、この経験を無駄にしなくて良かったなってやっと思えるようになってきて、自分の中で整理できたんですね。だから、今回改めて“一発録れたて編”でそういう思いを伝えられたらいいなと。
「最近」2012年08月22日発売Sony Music Records
    • 【初回生産限定盤(DVD 付)】
    • SRCL-8077 〜8 1600円
    • 【通常盤】
    • SRCL-8079 1200円
ひいらぎ プロフィール

千晶(Vo&Gt)、恵梨香(Cho&Gt)からなる、札幌・路上ライヴ発の女性アコースティック・デュオ。2000年10月、愛美を含む3人組アコースティック・ユニットとして“柊”を結成。2003年12月、東京にて初のライヴを決行。その後も路上を中心に積極的にライヴ活動を続けるが、2005年10月の5周年記念ワンマン・ライヴを最後に解散。2006年 10 月に活動を再開し、2008 年2月に<Sony Music Records>と契約。2009年2月にシングル「みず」でメジャーデビューを果たすも、2009年7月に愛美が卒業。千晶・恵梨香の2人で活動を開始し、2009 年8月にZepp Sapporo でワンマン・ライヴを行ない、新生・ひいらぎとしてスタートを切る。温かみのある歌声とサウンドに注目が集まり、2009年8月にリリースされた2ndシングル「かけら」が好評を得る。2010年10月、1stアルバム『地平線と秋の空』を発表。アニメ『夏目友人帳 肆』オープニングテーマの「今、このとき。」、アニメ『もやしもん リターンズ』 エンディングテーマの「最近」など数枚のシングルリリースを経て、2012年9月に2ndアルバム『ドーナツの穴』を発表。しかし、2013年11月の結成13周年記念ワンマン・ライヴ『いつもありが十三キュー!』ツアー最終日、札幌公演をもって惜しまれながら解散した。オフィシャルHP
恵梨香 Official Twitter

OKMusic編集部

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