【hitomi】いくつになっても恋してい
たい!
“恋”にスポットを当て、恋心を赤裸々に綴ることで新たな自分に出会えた自信作。迷宮に迷い込んだかのようなリアルでシュールな世界が、その心を絶妙に表現している。
取材:藤坂 綾
ニューアルバム『∞』ですが、ご自身にとってどんなアルバムになりました?
一番好きなアルバムができたと思います。今回はディレクターと分担して歌詞を書いたんですけど、普段ふたりで話してることがリアルで赤裸々で、女子トークみたいな感じだったんですね。だから、自分の赤裸々な部分が表現できた気がするんです。そういった意味では、新しい自分に出会えた一枚かなとも思ってて。自分の歌詞よりは、ディレクターが書いた歌詞のほうが、私の素直な部分を赤裸々に表現してくれた感じになったと思います。
楽曲の作りやアレンジは凝ってるんですけど、すごくポップで聴きやすい仕上がりになっていますよね。
言葉遊びも盛り込まれていて、今回はノリをすごく大事にしたかった…長年作詞をしてきたせいか、作詞をする上で自分のクセがあって、ここ数年そのクセからどうやったら抜け出せるだろうかってずっと考えてたんですよ。作詞をするとなると、いつもどこか構えちゃう。でも、今回は“書きたいことを書く”、だから書ける曲のものを厳選して、それ以外はディレクターに振ったので、すごくラクになれた。今回は別の人に歌詞を振ることでいい意味で引っ張られるところもあったので、今までとは違う作り方ができて、“ノリ=聴きやすさ”っていうところに躊躇なくいけたのかなと思いますね。
制作に入る前に、何か具体的なアルバムのビジョンはあったのですか?
今回はあんまり考えないで作りました。あとは恋をしてたんですけど(笑)、その気持ちをディレクターと話してたらそっちに結び付いて、結果、恋のアルバムだったり、人生のアップダウンというテーマに寄っていきました。“王子様を待ってるんです、私”みたいなのって、意外とこっぱずかしいんですよ(笑)。でも、女性は強くあるべきだって言われたり、自分も強い女性のイメージがあるのかもしれないけど、実はとても弱いし、男性に守ってほしい気持ちもすごくある。そういった部分を赤裸々に表現しましたね。
“恋心”という点ではリアルだけど、すごくシュールなところもありますよね。
非現実とリアルの繰り返しというか。だから、歌詞も童話みたいな部分が出てきたのかもしれないし。
今作のジャケット写真やアーティスト写真のビジュアルも童話をイメージして?
童話的なワードが多いので、『不思議の国のアリス』のアリスっぽくもあり、結果的にマリリン・モンローっぽくもなりました。歌詞が女子的なので、そのイメージがこのアートワークにも込められてると思います。
やっぱりいくつになっても恋はしていたいですか?
そうですね。常々思うのは、諦めないことだと思うんです。歳を重ねていくと、歳のせいにして諦めちゃおうとしません?
しますします。
勝手なイメージで恋やいろんなことを諦めちゃったらすごくもったいない気がして。1ミリでも可能性があるなら、そこを追求して、そこに勇気を持ち、そしてそれを楽しむほうが人生に潤いがある気がするし。“いくつになっても恋してたいんですけど!”くらいでいたいですね。
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