約1年という長さの期間をかけて制作されたアルバム『MUSIC AND THE CITY』。苦難の末に産み落とされた楽曲たちはきらびやかでありながら、ARIAというシンガーの存在意義が刻印された、パワフルなものに仕上がった。
取材:金澤隆志

本作は都会に住む女性を連想しました。仕事、恋愛に妥協せず奮闘していくさまが自分で自分を磨いていく女性のようで。

私自身、リアルな女性の心情を描いているドラマがすごく好きだったりするんですね。仕事においても恋愛においても女性ならではの強さが描かれていて、すごくパワーを与えてくれるのが。実は1年ほど前、ベスト盤のリリースに合わせてブログをリニューアルして、タイトルをずっと前から温めていた“MUSIC AND THE CITY”にしたんです。街という人工物の中で喜怒哀楽があって、切磋琢磨して生きる生身の人間の姿を描きたくて。音楽というのは、本来そうした人工物と生身の人間の間をつなぎ止めてくれる存在だと思っていたので、このアイデアを作品に結び付けたかったんです。でも、アルバムタイトルにしようと決意したのは、3カ月ほど前にこの曲ができた時ですね。

今回はフィーチャリングアーティストを一切起用せず、全て単独で制作していますね。

作業自体に変わりはないんだけど、楽曲を全てひとりで背負わなければならないという点においてはまったく違いました。フィーチャリングの時にもアーティストを迎える責任感を背負ってはいるけど、同時に相談相手にもなってもらえますからね。単純な話、“これ、すごくいいじゃん!”って言ってもらえる相手がいれば、それだけでテンションが上がるんです。今回はそういう存在がいなかったので、常に自分に“最高!”って言い聞かせなければならなかった。

ひとりでやると決めたきっかけはあったのですか?

最初はフィーチャリングの話も出てたんだけど、アルバムの船頭がいないような状況が続いてしまって、ここは私がしっかりしないとダメだなと思い“ひとりでやります!”と。体調を崩してしまったこともあって、昨年末頃には、もうアルバムは出せないと考えるぐらい苦しい状況だったんです。でも、ブログでみんなが本気で心配してくれているのを目にして、待ってくれている人がひとりでもいる限り、アルバムを完成させなきゃダメだと気付いて。自分が苦しかった分、楽になりたい人の気持ちが分かるから、みんなの乾いた心を少しでも潤すことができる音楽となるなら、これを世に出す意義があるんじゃないかって。

でも、力強い「V.I.C.T.O.R.Y.」を聴くと、そうした苦しい状況がまったく想像できませんよ。

音楽は負の力を前向きな力に変えるものだと思っているんですね。私自身、このトラックをいただいた時にすごく元気をもらったんです。この曲はもともと映画『昴ースバルー』のダンスバトルシーンで使いたいというオファーから生まれた曲なんだけど、私はそこに自分の人生観をオーバーラップさせたつもり。ライヴではずっとオープニングで歌っていて、オーディエンスのみんなとVサインを掲げて“私のVでもあり、みんなのVでもあるんだよ”というメッセージを送っているんです。

際立って実験的だったのが「YES ROBOT」です。これはあっと言う間にできたとか?

一番早かったですね。怒りのパワーのおかげで(笑)。スタッフに“何言ってるか分からないぐらいがちょうどいい”と言われ、カチンときて1日で一気に書き上げたの。言葉遊びですね。子供が言いそうな無意味なフレーズを並べて、それをエレクトリックなビートに乗せて言葉の響きを楽しもうと。NHKの『みんなのうた』狙ってます(笑)。タイトルは、日本人はよくイエスマンって言われるのを皮肉ってます。

オートチューンヴォイス全開の「Moonlilght Journey」は、80年代っぽい切ないメロディーラインが印象的でした。

80年代的なみんなで踊れるようなものにしたかったので、すごく時間がかかりました。80年代ダンスポップのコンピレーションを片っ端から買い漁って、徹底的に“80年代臭さ”を研究し尽くして。そうして生まれたメロディーを、今っぽいオートチューンヴォイスで歌っているところが面白いんじゃないかな。

フューチャーポップ色が強いサウンドは、アルバム全体のコンセプトにも通じるかもしれませんね。

2007年の2ndアルバム『THE JUKEBOX』がオーガニック&ウォームな方向性だったこともあって、今回はその逆の近未来的なエレクトロな世界観に挑戦してみたんです。アルバム一枚を通じてとなると厳しい部分もあったけど、やはり一本筋を通したかったし、シンガーとして成長させてもらえたと思う。『Again』だけが違うタイミングで作った曲なので、ちょっとカラーが違います。

アルバムの制作期間が長かったことが作風に影響を与えた部分というのもあったのでは?

海外ではアルバム間に2~3年開くのが当たり前で、さらにアルバム単位で考えた上でシングルを切るというのが普通の考え方。今回これに近い方法でやらせてもらえて、私はこのやりかたに慣れたほうがいいのかなと思ったんですよ。これからは私にとってこれが普通になるかも。あと、いろいろと考える機会があった中、次はユニットを組んでもいいかなと思って。これまで組んだことないので。そうすることが、ソロにもいい意味でフィードバックできると思うし。

それでは最後に、本作を漢字ひと文字で例えると?

“息”。音楽と街を呼吸するARIAの歌を聴いてほしいですね。
<h4>COPYRIGHT 2008 ブレイブシップ Coporation. ALL RIGHT RESERVED.</h4>。
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ARIA プロフィール

3歳からクラッシック・ピアノに没頭し音楽大学を目指す傍ら、13歳からサックスやウッド・ベースなどを経て、次第にブラック・ミュージックに傾倒。チャカ・カーン、ロバータ・フラック、アースウィンド&ファイヤー、ティナ・ターナー、マライア・キャリー、メアリー・J・ブライジなど、多くのアーティストのCDを片っ端から聴き込み、完コピに明け暮れて歌い込むようになる。幼少時代や多感な10代には、音楽や歌うことで、様々な葛藤や孤独感を乗り越え、自己存在意義を見い出すようになっていく。

大学入学後、遊びに行ったクラブで飛び入りで歌ったクイーン「ボヘミアン・ラプソディー」。初めて人前で歌を披露したこの1ステージが関西アンダーグランド界で話題を呼び、96年にライヴ活動を本格的に始動させた。この時期にカヴァー曲だけでは自己の感情を抑えきれず、オリジナル音源制作にも力を注ぐようになった。そんな才能、オリジナル曲に目をつけたクラブ系メジャー・レーベル<rhythm zone>から、さらなる音楽的深究を求め、05年12月に1stシングル「Beautiful Life」でメジャー・デビューを飾った。

洋楽のクオリティーに全く引けを取らない奥深く伸びやかな歌聖。エモーショナルでメロディアスなメロディー。ラップ的要素が多分に含まれたテクリカルでトリッキーなフロウ。メッセージ性とファッション性、両極を兼ね備えたリリック。そして、幼少の頃から培った表現力豊かなヴォーカル・スキル。その全てが圧倒的に唯一無二な存在で、同じシーンで活動する多くのアーティスト達からも指示を得ている。オフィシャルHP
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